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【読書記録】成瀬は天下を取りにいく

おすすめ度 ★★☆☆☆

本屋大賞をとった話題作をたまたま借りられたので読んでみた。
可愛い表紙と「最高の主人公!」という帯に期待したのだけど、私にはイマイチ魅力がわからなかった。

本屋大賞受賞作様に真っ向から文句をつける勇気もない。でも何がいいのかよくわからない。わからない時は人に聞く。ということで、他の人の書評を読んでみることにした。

他の人の書評で書評を書くってどうなんだと自分でも思うけど、お許しいただきたい。


まず、この小説の魅力は「軽さ」と「明るさ」にあるという。
なるほど、確かに軽い。
重い背景や、暗い事件や、裏に潜む伏線などはなく、とてもさっぱりしている。文体もさっぱり系で、あっという間に読める。
かといって、軽薄ではない。軽やか、という表現がちょうどいい。
書評を読んで、なるほど今の時代にあえて軽い物語、というのが一つの魅力なのだと納得した。

個人的に重めの話が好みなので、小説かくあるべし、という偏見があったのだと思う。偏見は良くない。


あとは、成瀬という主人公の少女が魅力的らしい。
ぶっ飛んだことをするけれど、目立ちたくてやってるわけじゃない。自分をしっかり持ってるけど、自意識過剰なわけでもない、地元や友情を大事にするけどベタベタはしない。カリスマ的な存在。

おそらく成瀬を好きになれるかどうか、が好みの分かれ目で、私は苦手だった。

「いや、こんな人おらんやろ」と鼻白んでしまう。自分でも斜に構えてんなぁと思うが、成瀬みたいな子マンガにしか出てこない。
成瀬がマンガなら多分好きになれるけど、小説で読むには物足りない。
もっと成瀬がどういう子なのか、しっかり描写して欲しいのだ。
やはり私は重め好きなのだろう。

それから、超人すぎる主人公を僻む気持ちもあると思う。
思春期なんて、みんな自意識過剰だし、目立ちたがりだし、ベタベタするやろ!と思ってしまう。
実は私は学生時代、作中の成瀬と同じ髪型にしたことがあるのだけど(ネタバレするのでどんな髪型かは書かない)、バリバリに自意識過剰だったし、目立ちたくてやった。
成瀬みたいになりたかったけど、溢れる自意識が抑えられなかったのを自覚しているから、僻みのような恥ずかしさを覚えてしまう。


結果的に作品というより、拗らせている自分の問題なのだなと思えてきた。自意識過剰である。

あと、noteの書評はやはり偉大だ。自分が気づかなかった視点や魅力を教えてくれる。書評を書いた方々が、この記事を読んで不快にならないでくれるといいのだけど。

私にはハマらなかったけど、こういう真っ直ぐで明るい作品が本屋大賞を取り、たくさんの人が魅力を感じることは素敵だと思う。
マンガかドラマか映画になりそうなので、それに期待しよう。多分好きになれる。


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