見出し画像

【読んだ】これからの男の子たちへ

おすすめ度 ★★★★☆

息子が思春期を迎えるにあたり、知識はいくらあってもよかろう、ということで色々読んでいる。

太田啓子さんという方も、SNSで炎上している人という偏見(私の偏見コレばっかし)があったが、想像よりずっとフラットで冷静な文章だった。
読みやすく、説得力もある。


網の目のようなジェンダーバイアス

自分の世代や親世代と比べると、随分改善していると思うけど、未だにジェンダーバイアスは社会にはびこっている。

女は女らしく、男は男らしく、女のくせに、男のくせに、と正面からいうような人は減ったと思う。
でも、「やっぱり女の子はしっかりしてお利口さんね」とか「やっぱり男の子って戦い好きだよね」とかいう会話は、ママ友同士で普通に出てくるし、私もつい言ってしまう。
実際、男女両方を育ててみると、色んなところが違いすぎて、あるある話に共感してしまう。

悪意はないし、差をつけたりしているつもりはない。
それでも、例えば「男の子だから戦いが好き」というのは、「女の子なのに戦いが好きなんておかしい」とか「男の子なのに大人しいのは情けない」の裏返しになりかねない。立派なジェンダーバイアスだ。

はー、むず。
本には、こういった例がたくさん載せられている。自分では気をつけているつもりだったけど、「あぁ、これは言ったことある」「やっちゃってたかも」とチクチク刺されるような気持ちになった。

弁明したくなるのが人の常

「いや、そうは言うても、あれもこれもアカンていうのは息苦しいわ。何も言えなくなるやん」といいたい気持ちが出てくる。
フェミニズム批判にも、しばしば見られる意見だ。

はー、むず。
著者も2人の男の子を育てる母親として、その難しさを語っている。
理想と現実のギャップ。

抗議したから、改善された歴史がある

だけど、「何も言えなくなるやん」「その程度は仕方ないよね」「全部が無くなるわけじゃないし」といってスルーしていいのだろうか。

何もしないことは、不正義に消極的に加担することです

こう著者がいうように、ジェンダーバイアスや性差別、性暴力に対して「中立」というスタンスは無いのだと思う。

1990年代、生命保険会社が女性のヌード写真のカレンダーを営業として配るという風習があったらしい。また、温泉旅館では男湯が広くて立派な露天付き、女湯は質素というのがよくあったらしい。
それらは、女性団体が各所に質問状を送り、抗議をすることで変化してきたのだそうだ。

今では、考えられないような性差別だと思う。だが当時は違った。

問題提起は、当時の週刊誌などで冷ややかに見られ、バカにされ、笑われました。「女は子宮で考える」とか「モテない女のひがみ」「女のヒステリー」といった嘲笑が浴びせられました。
職場にヌードカレンダーを置くのは非常識だとか、そんな当然のようになっていることが、実は私達の前に、嘲笑を受け、バカにされながらも社会をより良くしようと動いた人たちの成果である、ということはたくさんあります。

時代は、どこかの誰かが勝手に良くしてくれるものではないのだと思う。
壮大な言い方かもしれないが、私たち一人ひとりの考えや行動で変えていけるのだと。
思考停止せず、アンテナを張り続けることが必要なんだと思う。

理不尽や違和感をスルーせず、考えて子どもたちに伝えていきたい。
これからの時代を生きる子どもたちに、少しでも良い世界を見せてあげたい。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?