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『フーミンの詩（うた）』

作・絵　鈴木邦弘／2008年、ハガキサイズ、全24P／ナイーブシンクタンク「第17回創作絵本展」（池袋、東京芸術劇場）出展作品。

扉ページに書かれているように、当時僕が働いていたデイサービスの利用者、故・佐藤富美江さんの歌集「生きこし日々」より、短歌を二首、ご家族の了解を得た上で引用させていただいてます。

フーミンが初めてうちのデイに来た

「何もしたかないよ」

フーミンは機嫌が悪い

「食べられないよ」

二口しか食べてないじゃん

ベッドに移ろうか

「よいしょー」

かけ声は元気

大きいのが出たね

ちょっと恥ずかしそう

「あー気持ちいいねえ」

風呂入ってよかったでしょ

デイサービス　受けし心のとまどひに　桜の花はわれに優しく

フーミンは車窓から遠くをみつめた

今日はフーミンと外出

「いい天気だねえ　ありがとう」

ごきげんな笑顔

「天国でまた会いましょう」

そう言ってフーミンは笑った

だいぶ先だなあ　待っててくれる？

それっきり　フーミンが来ることはなかった

誰もいないベッドのナースコールが鳴った

心よし　からだもよしと身も軽く　桜日和の春の末日

また今度！