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「Invert 城塚翡翠倒叙集」を読んだ


「Invert 城塚翡翠倒叙集」 相沢沙呼 講談社 を読んだ。

綿密な犯罪計画により実行された殺人事件。アリバイは鉄壁、計画は完璧、事件は事故として処理される……はずだった。
だが、犯人たちのもとに、死者の声を聴く美女、城塚翡翠が現れる。大丈夫。霊能力なんかで自分が捕まるはずなんてない。ところが……。
ITエンジニア、小学校教師、そして人を殺すことを厭わない犯罪界のナポレオン。すべてを見通す翡翠の目から、彼らは逃れることができるのか?

ミステリランキング五冠を獲得した『medium 霊媒探偵城塚翡翠』、待望の続編は犯人たちの視点で描かれる、傑作倒叙ミステリ中編集!

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犯人たちの視点で描かれるから、私も犯人と同化してしまうのか、城塚翡翠の言動にいちいち苛つく。まんまと術中にはまる私は、冷徹な殺人者にはなれそうにない。残念。

「雲上の晴れ間」「泡沫の審判」「信用ならない目撃者」の三篇からなるが、やはり最後の話がやられた感が強い。

まぁ、ネタばらししたらつまらないから、それ以外で私の心に残った城塚翡翠の言葉はこちら。

「推理小説は、推理を楽しむよりも、驚くことが目的となって読まれているんじゃないでしょうか。意外な犯人に意外な結末。推理小説といいながら、驚きの犯人や意外な結末さえ示せれば、探偵の論理なんてどうでもいいのです。そんなのに夢中なのは作者と一部のマニアだけ。犯人を当てたい人たちも、論理を組み立てたいわけじゃなくて、勘で察して当たった快感を得たいだけなのです。なんとなくわかったで済むのなら、探偵も警察も検事も要らないのに。」

「ミステリとは、すなわち謎、そして推理小説とは、つまり推理をする小説……。だというのに、普通の人たちが求めているのは、びっくり小説、驚き小説、予測不可能小説なんですよ。」

P297

はい、ごめんなさい。
普通の読者です。
翡翠に推理してみろと言われても、ちょっと考えてわからなければ、いや、ほとんど考えずに答えを知りたく、先に読み進めてしまいました。
そして、やっぱり、最後の話が「びっくり小説、驚き小説、予測不可能小説」だったので、一番面白く思いました。
あー、なんという凡人。
作者の手のひらで転がされている…

まぁ、私のような凡人も、きちんと論理的に推理をする人も楽しめる本だと思います。

少しは、推理出来る脳ミソになりたいけど、やっぱり1秒でも早く、先が知りたい欲求の方が強いんだよなぁ…
いや、パート主婦って忙しいからさ(笑)


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