積み重ねの力が未来を作る
数日前、齢65歳の実父が心筋梗塞で入院しました。今も集中治療室ですが、点滴も酸素吸入も外れ、術後の経過もよさそうです。
父は男やもめですから、身の回りの手続きは祖母と叔母に手伝ってもらいつつ、私が中心におこなっています。今日はその間、ちょっと胸が熱くなった話を記しておこうと思います。
「しっかり治して戻ってこい」
この4月から、父は県外で所長を務めることになっていました。60歳の定年退職後、契約社員として再雇用していただいているのにも関わらず、社長直々にそういった話をいただいていたのです。
しかし新天地に向かう数日前に心筋梗塞で入院、手術。術後に話をした際、父が「所長は無理だな……」と呟いたのを覚えています。
この後、私は必要最低限の荷物を取りに帰宅。父は病院を通して社長に連絡を取りました。そこで言われたのが「しっかり治して戻ってこい」という言葉だったそうです。
「積み重ね」の重みを感じる
すごいですよね、これを言ってくださった社長。
任期が始まる直前に入院ということになったら、普通は「別の人に任せるからしっかり休んで」と言われそうなもの。それが「しっかり治して戻ってこい」ですから、やはり社長たる方は違いますね。
そして身内自慢になってしまいますが、これを言われる父もすごいなあと思いました。十数年の間に父が会社で積み重ねてきた実績、信頼、人間関係の重みを感じたのです。
実直な父ですから、最初は不器用な点もたくさんあったのかな、と想像します。しかし1つ1つ丁寧に、レンガ積みのように仕事を積み重ねてきたのではないか、と。
レンガ積み、あるいは道路掃除夫ベッポのように
レンガを積んだり敷いたりする前には、丁寧な土台作りが欠かせないそうですね。穴を掘り下地を作って踏み固める。要所要所で水平になっているかどうかを確かめる。この土台が仕上がりの美しさを決める、と。土台ができたら終わりでなく、随所にコツが必要なレンガ積みの作業が待っています。
参考:コメリ レンガの敷き方|howto情報、レンガの積み方|howto情報
父が評価をいただいている理由は、こんな風に仕事を1つずつ積み重ねてきたからではないでしょうか。
決して派手な仕事ではなくても、レンガ積みのように1つずつ積み重ねていく。あるいは道路掃除夫ベッポのように、地道に地道に1歩ずつ磨き上げていく。地道に積み重ねる力が素敵な花壇を作り、綺麗な道路を作り、その結果が未来を作るのです。
周りには一足飛びに駆け上がる人もいます。そちらのほうが派手で目立ちますし、時には勇気をくれるかもしれませんね。だけどどんな人でも、1つ1つの積み重ねがあって、今があって。
1つ1つをあらためて大切にし、真摯に向き合っていこうと思います。
おまけ
道路掃除夫ベッポはミヒャエル・エンデの作品「モモ」に登場するおじいさん。身も心も焦るとき、なぜか彼の生き方を思い出すことが多い。
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