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『ビーナスとセリーナ テニスを変えた伝説の姉妹』の訳者、松浦直美さん 映画「ドリームプラン」試写会へ!

 世界最強のテニスプレーヤー、ビーナスとセリーナ・ウィリアムズ姉妹。ふたりを育てたのはテニス未経験の父リチャードでした。なんと、ふたりが生まれる前から“常識破りの計画”を立てていたのです。

 この驚きの実話が、映画「ドリームプラン」に! 2月23日(水)の公開に先立ち、絵本『ビーナスとセリーナ テニスを変えた伝説の姉妹』の訳者の松浦直美さんと、2022年1月18日(木)に試写会へ行ってきました。

▲入口のポスター前にて。
「リチャード役のウィル・スミスさん、ファンなんです~」と翻訳家の松浦直美さん

娘ふたりを、世界最高のテニスプレーヤーにする!
夢にむかい 練習に明け暮れる日々

 映画が始まるや、リチャード父さんは、朝暗いうちから5人の娘たちをバンにのせ、ボールをいれたショッピングカートやラケット、掃除用具も積みこんでコートへ向かいます。テニスが大好きなビーナスとセリーナは雨の日も風の日も練習あるのみ。

▲映画のパンフレットより

 金無しコネ無し。近所の人にはバカにされ不審がられ、娘たちを狙う不良に暴行を受けたりしながらも、リチャード父さんは夢の実現にむかって日中は全力で指導し、夜は掛け持ちで働きます。お母さんのオラシーンは看護師として一家を支えています。

▲まだ幼いころのふたり。絵本『ビーナスとセリーナ テニスを変えた伝説の姉妹』より
▲貧しいなか、練習方法を工夫しながら身体能力と技に磨きをかけていきました

 驚くのは、リチャードの信念の強さと行動力。めきめきと上達するふたりのプロモーションビデオを撮影し、有名なコーチたちに直接アタックを開始します。

才能ある娘たちを ”無料で” 指導してほしい
常識破りの リチャードの交渉術

 断られても断られてもあきらめず、ようやく無料での指導を引き受けてくれるコーチを見つけたリチャードは、ことあるごとに自分のプランや指導の持論を主張し、衝突します。また、ふたりに厳しい練習を積ませるものの、「準備ができるまでは試合には出さない」と言ってゆずりません。

 映画では、わが子へのテニスの英才教育にすべてのエネルギーを注いでいるような親や、ジュニアの熾烈な戦い、過剰なストレス、プロになるまでに燃え尽きてしまうジュニア選手の姿も描かれます。

 コーチやスポンサーがどれほどデビューを迫ろうと、マスコミに叩かれようと、信念を貫くリチャード。ずっと我慢していたビーナスが14歳のとき、試合に出たいとはっきり主張し、妻のオラシーンに説得されて、ついにトーナメントに出場する日がやってきます。

子どもたちを奮い立たせる
リチャードの名言集

 自分のプランに固執するあまり、ときに身勝手とさえ見えるリチャードですが、娘たちへの想いは言葉の端々ににじみ出ています。

「俺は誰からも敬意を払われなかったが、
お前たちは違う。世界中が敬意を払う」

▲映画では、父リチャードの少年時代のエピソードも描かれています

「娘たちに厳しすぎる?
そのとおりだとも。危険から守るのが親の務めだ」

▲学業もおろそかにさせず、子どもでいられる時間をもつことも、リチャードは大事にしました

 オラシーン母さんも、要所要所で大切な役割を果たしています。常に姉のビーナスに注目が向けられ、仲はいいけれども複雑な心境の妹セリーナにむかって、「あなたはラッキーよ、私っていう最高のコーチがついてるのだから!」と練習相手になります。自身もテニスを学び、助言できるまでになっていたのです。

 リチャード自身、セリーナのことを気にかけていないはずがありません。ビーナスが試合に出たその日、こんなふうに声をかけます。

「お前の姉さんは世界一の選手になる 間違いない
でもお前は…史上最高の選手になる かつてない偉大な選手に
パパはお前のためにもプランがある」

リチャードの予言通り、1990年代以降、ふたりはテニス界に新風を巻き起こし、
グランドスラム30回優勝、金メダル5つ獲得という快挙を成し遂げました

「強い精神力と工夫次第で
一見不可能な夢だってかなえられる」

 上映後、松浦さんに感想をおたずねすると、開口一番「よかったです!」と目元をうるませつつ話してくれました。

「自分が絵本『ビーナスとセリーナ テニスを変えた伝説の姉妹』を訳したいと思ったいちばんの理由が、映画にも描かれていました」。それは、「恵まれない環境にあっても、強い精神力と工夫次第で一見不可能な夢だってかなえられる」ことだそうです。

「子どものころ親に守ってもらえなかったリチャードが親になり、あらゆるリスクを考えぬいて家族を守ろうとする姿には、特に心を打たれました」と松浦さん。「ビーナスとセリーナを育てた家族の物語は、格差の拡大が指摘される社会においても忘れたくない心のもちようを思い出させてくれます」

▲練習中、町のギャングたちの発砲騒ぎにおびえることもあったといいます

 お父さんだけでなく、お母さんやお姉さんたちも一緒になって、ふたりを応援し、ときに支えあい、笑いあいながら、夢に向かっていく姿は感動的です。どんなときも、どんな立場であっても、自分の役割を果たし、同時に自分の人生の主人公となって歩んでいく。そんな自立した力強い家族の姿が感じられます。

「映画のストーリーはビーナスが初のプロトーナメントで大健闘したところで終わりますが、ふたりのその後が気になりますよね? 絵本『ビーナスとセリーナ テニスを変えた伝説の姉妹』を手に取ってみてください」と松浦さん。「セリーナが表舞台に躍り出てからの姉妹の大活躍、ビジネス界での成功や社会貢献活動にも注目し、ふたりが直面した困難にも触れています」。

絵本の裏表紙より。シングルスではトップをかけて戦い、ダブルスではペアを組んで活躍しました

 字幕監修のプロテニスプレーヤー・伊達公子さんも絶賛の映画「ドリームプラン」。Sexy Zoneの中島健人さんも、文化放送ラジオ「Qrzone」でおすすめされたとか! 著名人コメントはこちらから。
 ぜひ映画と絵本と合わせてお楽しみください。