お空に帰った赤ちゃんが私達夫婦に教えてくれた事

稽留流産の原因を調べるために、赤ちゃんは染色体検査を受ける事になった。

M先生には、多くは胎児側の染色体異常が原因だと言われたが、私には橋本病、着床障害の不安要素があるので原因をはっきりさせるためにも検査を希望した。

胎児染色体検査は海外の検査会社と提携しているらしく、海外に輸送する必要があり、検査後は帰ってこないらしい。
供養もできなかった。

3週間後、検査結果を聞いた。

赤ちゃん側の染色体異常だった。
ダウン症の女の子。
トリソミー21。21番目の染色体が通常より1本多い3本ある染色体異常

そして、8週3日まで育つことができたのは、とても生命力が強かったのだろうとM先生は言った。普通はもっと初期の段階で自然淘汰されるらしい。
稀に生まれてくる子もいるが、その子にはきっと強い生命力が備わっているのだろう。

私は結果を聞いて、なんと言ってよいのかわからなかった。私はこの時39歳、出産すれば世間では高齢出産と言われるだろう。高齢になればなるほど染色体異常をもった赤ちゃんが産まれる可能性は高くなる。

今回、私は稽留流産で胎児染色体検査をした結果がトリソミー21(ダウン症)であることがわかったが、違ったケースならどうだろうか。
最近はニュースでも「新型出生前診断」について取り上げられていたし、実際に採血1つで簡単に赤ちゃんの染色体分析ができる。そして陽性が出た場合90%の妊婦が堕胎を望むらしい。

M先生が言うには、1度でも染色体異常の赤ちゃんを妊娠すると、今後の妊娠でも染色体異常の赤ちゃんを妊娠する確立が少し上がるらしい。ますます人事ではなくなってきた。

お腹の中に宿った命。ここまでくるのは奇跡の連続である事は身を持って知っている。そして赤ちゃんは生きたいと望んでいるかもしれない。我が子は障害があったとしても愛しい存在だと思うし、実際にダウン症の赤ちゃんを育てながら幸せに暮らしている家族は大勢いると思う。

自分は赤ちゃんをお腹に宿し、母親になる。
自分の血液を介して赤ちゃんは成長している。だからこそ余計に答えを出すのは難しいのだと思う。ここで堕胎を選択したら命の選別をすることになるし、そんな事はしたくないとも思うから。

染色体異常の赤ちゃんを育てるには並々ならぬ覚悟がいると思う。私達2人は旅行に行ったり、映画を観たり、外に出て日常では得られない景色を見ることが大好きだ。夫婦2人の時間が長かっただけに、周りの夫婦に比べても自由気ままに生活していたかもしれない。赤ちゃんを授かれば環境はガラリと変化し、今までのような非日常の世界は制限される。子供に障害があれば尚のこと制限されてくると思う。
私は母親になる覚悟とともに、それ以上の重圧に耐えられるだろうか。

お腹に宿り、お空に帰った赤ちゃんは私達夫婦に沢山の事を教えてくれた。
妊娠できる身体である事。
そして母親になる覚悟はあるか。

自分の身をもって私に教えてくれた。
私はこれを決して無駄にはしない。
そしてまた妊娠できるような気がしていた。

#繋留流産 #不妊治療 #不育症 #橋本病

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