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正直な、嘘。「表現を仕事にするということ」

劇作家、演出家である小林賢太郎さんの著書「表現を仕事にするということ」を読みました。

表現に対する真摯な姿勢、作ることが本当に大好きだと分かる熱量たっぷりの文章、そしてまとめの部分に毎回登場する、クスリと笑える一服のユーモア。

表現者として、最高な方だと思いました!!

前に「発信する勇気」を読んで、発信することへのモチベーションが高くなっていたこともあり、「表現」「仕事」という魅惑的なワードに魅かれて即買いした本でしたが、冒頭から最後まで共感と感動、そして涙と興奮で溢れ、一気読みしました!

小林さんは、表現とは「正直であり、嘘つきであること」が特徴としてあるとおっしゃっています。
以前から、小説や映画など創作物に触れるたびに何となく感じていたことではありましたが、スパーンと気持ちよく言語化してくださったおかげで、「なるほど!」と感心したのと、「そうか!」と目からウロコがごっそり落ちた気がしました。

例えば、小説とはつまり虚構であり本当の事実ではありません。
でも、時代考証の正確さや登場人物の性格の一貫性など、正直さが求められる部分も多くあります。

この正直さと嘘のバランス加減が、いい創作のポイントなのかなと個人的には思いました。
僕の尊敬するクリエイター・飯野賢治さんの言葉の中に、「リアリティーのある物話の中に嘘を1つ入れる」という言葉がありますが、場合によってはそれぐらいのバランスがちょうどいい時もあるのかもしれません。

逆にハリウッドの大作SF映画のように、ほぼほぼ嘘だらけのストーリーだけど家族愛、人類愛に関しては一本筋がビシッと通っているというような作り方もありそうです。

私に関して言えば、昔短編小説を書いていた時期があるのですが、正直とか嘘とかに関わらず、思いついたネタをただ思いつくがままに書き散らしていくちらし寿司のような小説だったので、小説というよりその当時の自分の心情を素直に反映したエッセイのようなものだった記憶があります。黒歴史です、はい。

何にせよ、ゼロからイチを生み出す人を私は尊敬します。
生み出すまでの苦しみと、生み出した後の喜び全部含めて、それまでになかったものを作るって本当にすごいことです。創造するわけですから。

このnoteでの私の書評は、あくまでも著者様の原本があっての文章なので、純粋な創作とは全然呼べません。
でも、全くのゼロからではなく本という確かな足がかりが存在してくれるからこそ、読者の方々からの共感がもしかしたら得られやすいという部分もあるのかなと思ったりもします。

小林さんの著書は、全編を通して表現への温かい愛情に溢れていて、優しさや温もりみたいなものまで感じるような、思い溢れる素敵な文章でした。

特に、これから何か表現を始めてみたいけど迷っている方や、すでに表現活動をしているけどこれでいいのか不安を感じている方には本当にイチオシの1冊です!

最後に、表現をするのはなぜか、私なりに考えてみました。

導き出した結論は。

「どうしてもやりたいから!」

これ一択です。

親に反対された。それでもやりたい!
お金が足りない。それでもやりたい!
時間が足りない。それでもやりたい!
仕事にならない。それでもやりたい!

どうしてもやりたい人、表現しましょう。
そんなにやりたくない人、やめときましょう。

それでも。
やっぱり。
表現って楽しい。
表現っていいな、そう思います。

これからも色んな表現に出会い、自分も表現する側でいたい、そう強く思います。





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