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エッセイ『平成生まれの怪獣少年』13 ~90年代後期は昭和懐古時代①~



今回は、シリーズ物の括りではなく、我々の世代に特撮やアニメへの興味を持たせた社会の環境みたいな所に触れていきたいと思います。


……というのも、実は平成生まれの中には、「昭和リバイバルブーム」の環境を生きた人も一定数いて、その中で結構昭和アニメやアニソンに触れ、特撮ヒーローについても意外とマニアックなキャラクターを幼少期から知っていた人って意外と少なくないと思うんですよね。


要するに、古い特撮・アニメについて英才教育を受けて大人になった子供もいるはずなんです。
この波について、これから数回触れていき、またウルトラマンや仮面ライダーの話に戻りたいかなと思います。




今回は、かつてのバラエティ番組の話題について提起します。



幻の『快進撃TVうたえモン』


1999年の1月から9月にフジテレビで、『快進撃TVうたえモン』というバラエティ番組が放映されていました。
こちらは今田耕司さんが司会を務める、地上波ゴールデンのアニソン番組です。
まあ、実は90年代の終わりや2000年代前半ごろって、やっぱりこの手の「懐かしアニメ・ヒーロー特番」が非常に多かったんですよね。
特定の世代の懐古心に突き刺さるようなネタの一つとして、アニメや特撮が親しまれていた頃だったのでしょう。
今後触れていきますが、テレビの世界だけでなく、ガチャポンや食玩など子供の身近なトイ類も、キャラクターゲームも、基本的には「70年代・80年代推し」の強いラインナップが多かったんですね。


ただ、「うたえモン」も、ぶっちゃけると、内容の方はあまり記憶にはないんですが、確かよくスタジオにアニソン歌手がやって来て、大御所として結構歌う感じです。
中でも水木一郎さんは大スターで、『マジンガーZ』(1972)は勿論の事、『がんばれ!!ロボコン』(1974)や『超人バロム1』(1972)のような特撮系の歌も歌っていたと思います。
あとは、ささきいさおさんや影山ヒロノブさんといったところが当時、アニソンスターとして引っ張りだこでしたが、私は断然この番組の中でも水木一郎が好きで、小さい頃は「水木一郎になりたい」という夢を持っていて親に笑われた覚えがありますね。


また、この番組の特殊なところといえば、TBSの『ウルトラマンガイア』(1998)やテレビ朝日の『おジャ魔女どれみ』(1999)といった他局の番組すらも特集して宣伝する点でした。
2010年代の特番だと、『サザエさん』が1位、『ワンピース』を大特集といった傾向が目立ったフジテレビですが、当時は局とか一切関係なしに話題性のある物をガンガン流していたんですよね。
たぶん、『ガイア』や『仮面ライダー』を入り口にこの手のバラエティを見ていた形だと思うので、今ではそういう忖度で番組への入り口が消されてしまうのはちょっと悲しかったですね。


私は、この番組を毎週楽しみにしていたので、当時終わるのを残念がっていたのを記憶しています。
この番組から発売された三枚のCDもすべて購入してましたが、ちょっと今はほぼ紛失してどこにあるのか……って感じです。


そういえば、この頃って、「あの作品の代表曲といえばコレ!」っていうのが今とちょっと違ったんですよね。
『銀河鉄道999』(1978)の曲はゴダイゴではなく、ささきいさおバージョンでしたし、『聖闘士星矢』(1986)は初代ではなく影山ヒロノブが歌う『聖闘士神話 〜ソルジャー・ドリーム〜』の方が代表曲っぽかった覚えがあります。
あとは、やっぱり『サイボーグ009』ですが、これも1979年版の『誰がために』ではなく、1968年版の『サイボーグ009』という曲で紹介される事が多くて、後にネット時代で「009といえば、『誰がために』」という認識が蔓延している事にはカルチャーショックを受けました。


また、70年代ごろのアニメ・特撮に親しんだ人をターゲットとした為か、『がんばれ!!ロボコン』『超人バロム1』『人造人間キカイダー』(1972)、『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975)といったヒーローが画面に登場する事もかなり当たり前だったように思います。
それがやっぱり当時のテレビの魅力でしたね。この手のバラエティもアニメが中心になって、あんまり特撮って紹介されなくなっていった(ウルトラマン単品、仮面ライダー単品は多少あるけど……)ので、あの頃って本当にそういう意味でよほど特殊なタイミングだったように思います。


それでいて、出てくるとしっかり子供心にも何か印象に残してくれたので、キカイダーやロボコンはただの親世代の懐かしヒーローとしては終わりませんでした。
ちゃっかり最新作も特集されてアリバイは作られているので、「こんな古い番組知らない」みたいな気持ちには全然なりませんでしたし。むしろそこが面白かったですよね。
キカイダーやロボコンのオープニングってかなり子供心に聞き心地も良くて面白い歌詞でしたし、キカイダーやバロム1の変身方法も大昔なのに「斬新」でしたしね。




ありがとう!『これが日本のベスト100』


また、その数年後、小学生になった後になってからは、爆笑問題が司会を務める『決定!これが日本のベスト100』というバラエティ番組が放映されました。
こちらの番組については、リアルタイムで紹介したホームページとかは今も結構現存してなかなかビビるんですが、色んな物を視聴者投票でランク付けしていく番組でしたね。
あの『劇的ビフォーアフター』の前後くらいにやっていた番組なので、わりと同世代で記憶にある方も多いんじゃないでしょうか?



まあ、この番組って、別にアニメバラエティ番組とかではないんですが、それにしてはやたらと高い頻度でアニメランキング、アニメキャラランキング、アニソンランキング、アニメ名場面ランキング……といった内容を放送していたんですよね。
(アニメランキングと、ヒーロー&ヒロインランキング(特撮&アニメ)みたいなのだけ、いまだにビデオで残してあります。)

まあ、アニメランキングの方だと、案の定、1位はテレビ朝日系列の『ドラえもん』なんですが、私は『ドラえもん』は大好きだったので普通に納得でした。
キャラクターの方でもドラえもんが第1位でしたし、そういうのがわかった時には、大山のぶ代さんをはじめとする当時のキャストがVTRで視聴者に挨拶するんですよね。
小原乃梨子さん「やったよ、ドラえもん!僕たちが1位だって!」みたいに、キャラの声だけで話してからいつもの面子の演技とコントをするんです。

「えっ!?あののび太たちをこんな人たちが演じているの!?」っていう衝撃もなかなかありましたけど、和気あいあいとした様子が非常に印象的です。今では、たてかべ和也さん肝付兼太さんなど、鬼籍に入られた方もいて凄く寂しいですね。
大山ドラが聞き馴染んだ声だったのは、こうしたメディア露出の多さで妙に親近感があったお陰だったりもするんでしょうね。


あとは、『金田一少年の事件簿』(1997)って、めちゃくちゃマニアックな番組だと思っていたので、いきなりランクインしたのは衝撃でしたね(いうほどマニアックでもないが……)。
「第100位は……『IQ180!名探偵の孫が事件を解く!?』」みたいな煽りを入れた後で映像とともに作品名・キャラ名が出てくるので、「あっ!これわかる!」みたいな一瞬のクイズ形式みたいな面白さもあるんです。
テレビで見ていて、「これもしかしてアレかな!」っていうドキドキを体感しながら番組の進行を見送っていたのも覚えています。


あとは、太田光さんが視聴者からのレアなお便りをランキング化する「これが太田のベスト3!」みたいなミニコーナーもありました。
『新造人間キャシャーン』(1973)や『宇宙戦士バルティオス』(1980)の衝撃の最終回を解説したんですよね。
確か、この時はもう、このコーナーはネタが切れて、「これが太田のベスト2!」でやっていたような記憶すらありますが……。

バルディオスの最終回を伝えられた衝撃ときたら……。太田さんの解説も面白かったですし。
他にも、「衝撃の実写化ランキング!」『鉄腕アトム』(1959)、『鉄人28号』(1960)、『忍者ハットリくん』(1966)、『マグマ大使』(1966)のパイロット版の顔なんかも特集されて笑った覚えがありましたね。
「パクリ特集」では、後々有名になっていって日本でDVDが出た『テコンV』だとかやってましたし。
こういったマイナー作品への興味や逸話も、バラエティ番組から吸収していく事になりました。


で、「ヒーロー&ヒロインランキング」の方がまた衝撃で、アニメばかり特集していたこの番組で「アニメ・特撮」で合体して特集されてるんですよね。
しかも、その番組予告の中で使われている映像に、『重甲ビーファイター』(1995)の姿があった衝撃度は半端なかったですわ。
「えっ!?マジでこんなヒーローまでやるの!?」みたいなドキドキワクワクの中で見ていました。

最初は、『仮面ライダーBLACK』(1987)なんかが特集されて、ゲストの松村邦洋さんだったか伊集院光さんだったかが、やっくんに「え?大人になって見てたの?それはちょっと……」みたいな引かれ方をしていた覚えもあります。
更には、『美少女仮面ポワトリン』(1989)、『忍者戦隊カクレンジャー』(1994)のように何となく知ってはいたけど映像で見た事がなかった作品の映像を見たりもしました。
『仮面ライダー龍騎』(2002)のように当時のヒーローについては、軽く触れる程度でしたが、TVSP版の直前くらいに放映した番組だったので、TVSPの宣伝も兼ねていましたね。
その時には「イケメンヒーロー」として扱われて特集されるんですが、そこが「お母さんの方がハマる」という話題に繋がっていた当時らしさです。今ではもう、大人の特撮好きを公言している人って、珍しくないですし。


まあ、見たいヒーローがわりと映像なしで飛ばされちゃうのがちょっと残念でしたけど、それでも特撮・アニメ入り乱れてあらゆる作品名やキャラクター映像が出てくるのは見ていて楽しいんですね。
ちょっと古い作品の映像がテレビで流れると、今でもテンションが上がります。


で、一番は、ランキング中のヒーローがスタジオに現れるんですね。
『超光戦隊オーレンジャー』(1995)がなんとスタジオに現れるんですよ。
バラノイアがスタジオに攻めてきて、オーピンク以外の全員が登場。
レギュラーだったさとう珠緒が、周りに煽られて超力変身して、バラノイアを倒します。
そして、最後には戻ってきて、戦闘中にうろうろしていた太田光さんに「もう邪魔~っ!」って愚痴るんですよね。
あんまりさとうさん自体を知らなかったので、この番組では「ああ、この人が昔オーピンクを演じてたんだな」くらいには思いましたけど、それからは「あっ、さとう珠緒って有名な人なんだ」みたいにどんどん認識が変わっていきましたね。
気づけば、最近テレビに出なくて寂しいと思うようになっていきました。

あとは、ウルトラマンガイアが確かアパテーとスタジオで戦って、まさかの第1位になった『仮面ライダークウガ』(2000)からは、オダギリジョーさんのインタビューの後、スタジオに今度はグロンギが現れてグロンギ語で戦線布告した後、クウガVSグロンギ軍団って感じで〆ていったんですね。

この一連の流れが衝撃的で、「ヒーロー番組じゃないのにヒーローが出た!」なんていう驚きもありましたし、それを当時録画していたのがマジの永久保存版になっていきました。
何しろ、これはソフト化もしないですし、仮にウェブ上で違法アップロードされても当然削除対象ですからね。
そういう意味で保管し続けられるのはかなり嬉しいですわ。懐かしいCMとかも入ってますし。


この手の懐かしアニメ特番が消えていったのは非常に惜しいところです。
私の場合は、こうした過去と今とを振り返る特番によって知識や関心、趣味の広がりを得ていきましたし、テレビというわかりやすい宣伝媒体の中でマニアック寄りなアニメばかりが特集されていくようになると、文化として開けた物ではなくなっていくだろうと思っています。
単純に、短い時間の中で多くのアニメや特撮が映像として流れる事が面白くもありましたし、欠かしてはならない楽しみの一つだったように思います。


そんなワケで、今回は「特撮・アニメのバラエティの中で名作を知れた時代」についてお話ししました。





今回のまとめ:ささきいさおが歌っていた銀河鉄道999も忘れないであげて。
(どうでもいいけど、小学校の「朝の歌」がささきいさお版銀河鉄道999だった事がある……。)









これより前のお話はこちらのマガジン参照です。

概要
その1→エッセイの意図と説明

「昭和ライダーとの思い出」編
その2→1997年の『仮面ライダー大集合』ショー
その3→仮面ライダーケーキ、仮面ライダーシンの人形の話
その4→再編集VHSとの思い出話
「クウガとの思い出」編
その5→クウガ視聴当時の事・前編
その6→クウガ視聴当時の事・後編
「ゴジラとの思い出」編
その7→FWまでのゴジラについて書いてあります。
「ウルトラマンとの思い出」編
その8→サンタがくれたソングコレクションについて
その9→ウルトラ兄弟やゾフィー兄さんについて平成世代の私見
その10→ティガ・ダイナ・ガイアの映画
その11→ウルトラマンの自転車の話
「ガメラ」編
その12→小さき勇者たちGAMERAについて


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画像は幼少期の私の思い出の写真なので、無断転載はご勘弁を!


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