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おみやげにマグカップを買った話

いつの頃からか、遠出してもおみやげを買わなくなった。

友人や家族のためのおみやげはきちんと買うのだけれども、自分のためとなると、まあいいか、と購買欲が消えてしまう。

理由は簡単で、モノとして残るようなものは、よほどのことがないと増やしたくなかったからだ。
ちょっとした飾りものや小物、食器を買っても、飽きてしまいこむことになってしまったことが何度かあって、またそうなるかもしれないと思うと買う気になれなかった。

どこに行っても、買うのは消え物、すなわち食べ物ばかりだった。
食べたらなくなるし、食べている間はしあわせだ。
モノを買わない代わりに、たくさん写真を撮る。
自分の旅は、そういうスタイルで行われていくのだろうと思っていた。

フランスから帰る時も、同じように、モノは買わないつもりだった。
チーズやおかし、それに絶対に使うであろう化粧品をいくつか買って、それで済ますつもりだった。

それが、帰国する3日前だったろうか、急にスタバのマグカップが欲しくなった。
ぜんぜん、スタバに通ったわけでもないのに、ホームメイトの用事に付き合って降りた駅にスタバがあるのを見て、「あ、欲しいかも」と思った。
結局そのスタバにはマグカップは売っていなくて、別の日にわざわざ別のスタバまで行ってマグカップを探した。

スタバのマグカップは、そう、国や都市ごとにデザインが違う。
リヨン版のデザインは、まあはっきり言って地味で、あんまり特徴のない、いかにも「ヨーロッパの街並み」って感じだ。

マグカップなんて食器棚の中で存在感を発揮しそうなもの、これまでなら絶対に買わなかったのだけれど。
今回ばかりは「まあいいか」と購入した。
引っ越しのためにマグカップをいくつも捨てたし、ひとつくらいならあっても邪魔にならないだろう、と思った。

今回だけ残るモノを買いたくなったのは、それだけ、この経験を忘れたくなかったから。
それこそ、見る度にフランスでの日々を思い出せるようなモノを、近くに置きたくなったから。

まだ帰ってきて少ししか経っていないけれど、今回の滞在は、本当に、いい経験だった。
noteに書いてきたこと、まだ言葉にできていないことも含めて、たくさんのことを学んだし、これからやっていきたいことの道筋もできた。
間違いなく、わたしにとっての転換点だった。

そんな日々のことを、いつでも思い出せるように、スタバのマグカップを使おう。
新しい街に引っ越したら使い始めようと思っている。
あのマグカップでカフェラテや紅茶を飲む日が、今から楽しみだ。

最後までお読みいただきありがとうございます。 これからもたくさん書いていきますので、また会えますように。