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スーツが似合わない

以前から就活スタイルになった自分が気に入らなくて、スーツを着ている時に鏡を見るのが嫌だった。
就活にネガティブなイメージがあるせいだと思っていたが、ふと単に就活スタイルが似合わないからではないかと気づいた。

私はそんなにファッショナブルな方ではないけれど、どうせ着るなら似合うものを着たいと思っている。
自分に合う色やシルエット―長すぎないAラインのスカートに、短めのトップス―の服を着ていると、少ししゃっきりして、はきはき話せる。

リクルートスーツは、長めのジャケットに膝丈のタイトスカートだ。
ブランドによって違いがあると言っても、大した違いじゃない。

私がリクルートスーツを着ると、どうにも鈍くさく見えてしまう。
色が黒やネイビーの無地ばかりなのも減点ポイントだ。
スーツの場合は、明るめのネイビーで縦にストライプが入っているのが、私には一番似合う。
インナーはワイシャツじゃなくて、カットソーの方がすっきりして見える。

もっと言えば、いわゆる就活メイクだって似合わない。
私はアイメイクもリップもがっつり濃いめの色を乗せる方が好きだ。
奮発した、その代わりにとびきり気に入っているデパコスの、派手な色を付けるのが落ち着く。

けれどそれは、就活では良しとされない。
威圧感のない、優しい、落ち着いた、清潔感のある薄いブラウンのアイメイクに、ベージュピンクのリップ。
そんな頼りないメイクが歓迎される。

普段の自分らしいどころか似合いもしない格好をして歩いていると、自分を嫌いになりそうになる。
おまけに夏は暑くてスーツは窮屈だわメイクは流れるわ、最悪だった。

就活スタイルをした自分が気に入らない原因は、みんなと同じ格好をしなくちゃいけないことに対する反発というより、明らかに似合わないものを着なくてはいけないことへの抵抗感だ。
知らない人相手に話す場にテンションが上がらない服を着て出かけるのは、決していい気分じゃない。

一部の企業ではラフな格好でいいと言ってくれるところもあるけれど、それはそれで何を着たらいいのかわからない。
結局はリクルートスーツに就活メイクが無難だからそうしてしまう。

何のためにあるのかよくわからないルールにも、ルールに逆らうと不利になってしまうから従う。
そんな自分の矮小さを反映しているから、就活スタイルが嫌だったのかもしれない。

今日はいつも来ている服にいつも通り濃い目のメイクをして、大ぶりのピアスを付けて出かけている。
16時間も寝た後だからかもしれないが、すっきりとしていい気分だ。
鏡やショーウィンドウに映る自分を見る度、そうそう私はこうでなくちゃ、と小さくにんまりする。

リクルートスーツなんて、似合わないままでいい。
似合わない装いが似合うように自分を変えるよりも、違和感を我慢する方がまだましだ。

あれこれ忙しかったせいで、今年度に入ってから全然服を買っていない。
秋冬は好きなものだけを着よう。
そろそろ秋物が出始めたショップを眺めながら、そんなことを考えている。

最後までお読みいただきありがとうございます。 これからもたくさん書いていきますので、また会えますように。