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「クィア・アイ」にはまり中

Netflixで配信されている「クィア・アイ」にはまっている。
2018年から配信が始まったので今更感は満載だが、最近は作業する際にドキュメンタリーを観ることが多くなり、その流れでようやく「クィア・アイ」を見始めた。
現在、シーズン8まであるのでしばらく大丈夫だろうと思っていたら、もう4シーズン目に突入である。
自分のペースに呆れが入ってきている。

ご存知でない方のためにどんな番組かお伝えすると、ファブ5と呼ばれるゲイの5人が、「この人の大改革をしてほしい」という推薦人の依頼を受けて、その人物を見た目も中身も住居も大改革する、という番組である。
5人がそれぞれ専門を持っていて、カルチャー担当のカラモ、美容担当のジョナサン、ファッション担当のタン、インテリア担当のボビー、そして料理担当のアントニーとなっている。

大改革の対象は、例えば仕事一筋で彼女が何年もいない男性を大改革とか、家族を亡くしてから自分のことを大事にしなくなった女性を大改革とか、実家に暮らし続ける売れないコメディアンを大改革とか、さまざまである。

この番組が、ただもっさい人が垢抜けたり、汚い部屋がおしゃれな部屋になったりといった大改革で終わるのであれば、こんなに愛されなかったと思う。
ファッションであったり部屋であったりは、本人が自信を持つツールの一環に留まっており、一番重要とされているのが本人の意識の変革となっているのが、この番組の素晴らしさである。

例えば、仕事一筋のアプリ開発者の場合、人付き合いが苦手で顔をヒゲで覆い、服も気にせず、部屋の中は犬の毛だらけ。しかも部屋のあちこちが改造の途中で終わっている。
なぜ他人に心を開かないのか、というのを紐解きながら、本人にも色々と話をさせつつ、カルチャー担当のカラモがボクシングに誘う。フィジカルな運動をすることで他人との間にある壁を打破させようとするのだ。最終的にはボクシングの対戦相手であるカラモとアイコンタクトを取れるようになる。
更にヒゲをそり、自分に合った服を着ることで自信をつけていく。
そして家に帰ってくれば、新しい自分にぴったりのような素敵な部屋が待っている。
というのが大体のドキュメンタリーの流れである。

登場する人たちは男性が多めであるものの、バックグラウンドも人種も年齢も異なる人たちばかり。
もちろん体型も違うし、一般の人たちなのでとてつもなくかっこいい/美人といった人たちではない。
でも番組の終わりには、めちゃくちゃかっこよく/きれいになるのだ!
太っている人でも自分に合った服を着て、髪や顔もトリートメントすれば、レベルがぐっと上がるし、その上がったところで自信もつけば更に堂々としてきて、その堂々とした姿がめちゃくちゃかっこいいのだ。

そして部屋がガラッと変わるのも割と見もの。
というかあまりに違いすぎて、ボビーすごすぎ…となる。
インテリアのみが基本的に本人を巻き込まずに、最後に「Surprise~~~」みたいになるので、唐突感が否めないところがあるが、大改革の本人からしたら、新しい自分をキープし続けるモチベーションになるのかなと思う。

既にこの番組の魅力を挙げてきたが、ここで自分の好きなポイントをもう2つ挙げたいと思う。
1つ目が、ファブ5がそれぞれ人生経験が豊富で、それだからこそ一人一人の言葉に重みがあるところだ。
ゲイということで家族や社会に拒否された過去を持っていたり、養子だったり、若くして子どもを持ったりと様々な経験を持っている。だからこそ人々が抱く悲しみや葛藤に本当に心の底から寄り添っていて、時には共感もしつつ励ましている。
また場合によっては「自分の無知が本当に申し訳ないと思う」と前置きをしながら、本人が置かれているシチュエーションや葛藤を聞いている。
その傾聴の姿、寄り添う姿を見ていると心を打たれるのだ。

2つ目が、アメリカ社会をよりよく知る機会となっている点である。
例えば、教会との密接な関わり方について、なんとなくは知っていたけれども、こんなにも人生の基礎になっているんだということが、番組を通してよく分かった。
キリスト教とLGBTQ+の関係についても、本の中の知識でしかなかったのが、生身の人間の問題として痛感した。
ファブ5を受け容れている時点で、LTBTQ+を真っ向から否定しているキリスト教信者とは違うことは分かるけれども、彼らたちも理解しようと葛藤しているのが垣間見れたのは大きな学びであった。
キリストは大きな愛を示したのに、隣人を愛することができなかった自分がいかに間違っていたのか分かったと、ゲイとカミングアウトした息子を一度拒否してしまった信心深い女性が、その息子に許しを乞うたと言っていたのは涙なしでは見れなかった。

因みにファブ5の中で一番好きなのは美容担当のジョナサンである。
天真爛漫な感じでスーパーキュート。
気持ちの良いくらいのポジティブさで、どんなに自分のことを不細工と思っている人にも、そのポジティブエネルギーで最終的には自己肯定感を与えてしまうのがすごい!
個人的に自分もかなりポジティブな人間だと思っていたけれども、ジョナサンはかいくぐってきて経験値が違いすぎて、人に影響を与えられるレベルのポジティブさ。皆をハッピーにできるエネルギーに尊敬するしかないのだ。

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