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質の良い睡眠とは

みさなん、こんにちは!

私は、理学療法士として病院に勤務しています。

そうすると、

「 食事 」と「 運動 」と「 睡眠 」は大切!

という言葉をよく耳にします。

「 食事 」は栄養面で大切だし、

「 運動 」は筋力や体力、代謝の面で大切だし、

「 睡眠 」は・・・ なんで大切なんだ?

と思ったのが睡眠について

調べようと思ったきっかけです。

「 睡眠 」は毎日行っている行動なのに、

意外と睡眠の役割や重要性を理解していないのではないでしょうか?

そのため、目標を以下に設定してみました!

目標

☑ 睡眠について理解を深める
☑ 質の良い炭んの取り方を知る
☑ 質の良い睡眠の取り方を他者に指導できる

noteの最後で、達成具合を確認してみてください!

ではいきましょう!

睡眠の悩み

厚生労働省によると、日本人一般成人の約20%が不眠に悩み、6%の人が睡眠薬やアルコールを常用しているらしいです。

この結果、5人に1人が睡眠で悩んでいることになりますね。

そしてその中の6%は睡眠薬やアルコールを常用している

つまり、

睡眠薬アルコールが睡眠に対してどうような効果をもたらしているのか

それさえわかれば、代用手段さえあれば、

睡眠薬やアルコールはいらないのでは?と考えました。

睡眠薬

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睡眠薬と言っても、種類が複数あり、

①GABA(神経伝達物質)の促進により神経細胞の興奮を抑制させ沈静化を図る
②メラトニン(睡眠物質)の分泌促進
③オレキシン(覚醒物質)の分泌抑制
④精神安定

などがあります。

薬に関しては、調べても難しくてよくわかりませんでした。

詳しい方いれば、教えてください。

担当している患者様や今内服されている方は、

どの機序にアプローチしているのか調べてみると面白いかもです。

そして、薬といえば、気になるのが副作用ですよね。

副作用

副作用として、

持ち越し効果、眠気、倦怠感、軽度記憶障害、
筋弛緩作用、依存、薬剤耐性などがあります。

院内においてはどの症状もよく確認されます。

朝なのに、覚醒が悪い。力が入らない。薬がないと不安で仕方がない。

日に日に、薬の効き目が短くなる、または効かなくなっている気がする

これらは副作用の可能性があります。

薬の注意事項に、一定期間の使用を勧める、毎日内服しないというような表記がされているものがほとんどです。

お医者さんは、当然、それらを熟知していると思いますが、

きっと「 依存 」が形成されている方が多く、

日常的に睡眠薬を内服するという形になっているのだと思います。

結論からいいますと、

睡眠物質であるメラトニンに対してはアプローチが可能です。

というよりも、すでに皆さまが実践しているあの行動こそが、

メラトニンン(睡眠物質)に効果があったのです。

詳細はこの後、説明致します。

アルコール

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「 寝る前にお酒を飲むと寝つきが良い 」これも良く聞きますね

アルコール(ワインやウイスキー、ホイップの香りなど)は一時的に

リラックス効果があると言われています。

しかし、アルコールは肝臓でアセトアルデヒドという物質に分解され、

さらに水と二酸化炭素に分解され、汗や尿、呼気から排出されます。

アセドアルデヒドは交感神経を刺激すると考えられているのと

アルコールを分解・排出するため利尿作用を伴います。

そのため、入眠がうまくいっても、

途中で排尿のために中途覚醒してしまうという恐れがあります。

つまりは、睡眠薬もアルコールも、

万能ではないということですね。

リラックス効果に関しては、アロマを焚いたり、音楽鑑賞をしたりと自分の中で何か合うものを見つけると良いかと思います。

著名人の共通点

フィギュアスケートの浅田真央選手
野球の田中将大選手
サッカーの長友佑都選手
レスリングの吉田沙保里選手

この方たちに共通しているものはなんでしょうか?

一流のスポーツ選手で、

世界で活躍されている選手ですね!

この方たちは、共通点があります。

それは、寝具メーカーと契約をしているという共通点です。

結果を出す一流の選手は、睡眠の重要性について理解しています。

睡眠によって自身のパフォーマンスが変わることを知っているのです。

なので空港や遠征先にも寝具を持ち運んでいる映像を見たことありますよね。

では一体、睡眠にはどのような役割があるのでしょうか?

睡眠の役割

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睡眠の役割として、

・脳の休息・メンテナンス
・心身の疲労回復
・身体の成長・修復
・免疫機能の強化
・学習の強化
・情報の整理

などがあります。

脳の休息

脳の休息を考えていくのですが、

みなさんは、なぜ人間は目を閉じて寝るのか考えたことがありますか?

ちなみに野生のウサギは目を開けて寝るみたいです。

これは、弱肉強食の厳しい環境で、危険から身を守るためにこうした寝方をしている様です。(家庭で飼育されているウサギは目を閉じて寝るらしい)

下の表は、五感からの情報処置量を表したものです。

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引用文献:屋内照明のガイド
     産業教育機器システム便覧

2つのデータで若干の差はありますが、

人間は、視覚から得る情報量が約8割を占めていることがわかります。

つまりは、目を開けているだけで、

脳が様々な情報を処理するために疲労が溜まるということです。

そのため、脳を休息させるためには、

目を閉じて寝ることが効率的なのですね!

心身の疲労回復

これには、活性酸素の除去が関係していると考えられています。

酸素の一部は、代謝過程で活性酸素に変わります。(吸い込んだ酸素の2-3%が体を酸化させる活性酸素に変化)活性酸素は、他の物質を酸化させ神経細胞の破壊を促します。さらには、癌、生活習慣病、しみ、しわなどに関与するとも言われています。いいことでいうと、細菌やウイルスの除去に働きかけます。

身体の成長・修復

よく「 寝る子はよく育つ 」なんて言葉を聞きますよね?

もう成人してしまって成長なんてしないよって方、安心して下さい。

これは身長が伸びるとかそういう成長ではなく、成長ホルモンによって、細胞の新陳代謝を促進することを指します。また、抗老化作用も成長ホルモンの機能としてあるとされています。

学習、情報、記憶の整理

「いつまでも悩んでいても仕方がない。寝て忘れよう。」とか、

「一晩眠って考えたら、決心がついた。」

なんて言葉もよく聞きますよね?

記憶には、2段階モデルというものが存在して、

まず、海馬という場所に短期記憶として保存されます。そこから側頭葉に長期記憶として移されるのですが、この作業は睡眠時に行われると言われています。

なので、テスト前に

「一夜漬けで勉強はダメ、しっかり寝なさい」

というのは、この作業を働かせて

記憶の定着を図りたいためです。

これらを聞くと、

睡眠てすっごい重要だと感じますよね!

では次に、

睡眠不足によるデメリットと寝すぎによるデメリットについて考えていきましょう!

睡眠不足によるデメリット

まずみなさん、下記の項目にいくつチェックが入りますか?

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1つでもチェックが入ると、睡眠不足の可能性があります。

睡眠不足によるデメリットには、

・高血圧、糖尿病を発症しやすい
・疼痛を生じやすい
・精神の不安定
・肥満になりやすい
・瞬間的居眠り

などが挙げられます。

高血圧や糖尿病、精神の不安定に関しては、

交感神経が興奮することで、血管の収縮や、インスリンなどのホルモンバランスの分泌量異常をきたすことが原因とされています。

肥満の要因としては、

脳の覚醒レベルが低下すると、脳がエネルギー不足と判断をし、

危機管理システムによって脂肪を蓄えようとするみたいです。

そのため、食欲亢進ホルモンであるグレリンの分泌量が増大し、

食欲旺盛となる。結果、肥満となるという流れです。

瞬間的居眠りとは、

自動車の運転中、信号の待ち時間で一瞬寝入ってしまった とか、

PTの学生時、実習中の治療見学中に一瞬寝入ってしまった とか

大きな問題となり兼ねないですよね。

また、

健康成人を対象にした研究では、人間が十分に覚醒して作業を行うことが可能なのは、起床後12-13時間が限界であり、起床後15時間以上では酒気帯び運転と同じ程度の作業効率まで低下する。
「厚生労働省 健康づくりのための睡眠指針2014」

といわれています。

さらに、

睡眠不足が、5大生活習慣病(癌/糖尿病/心疾患/高血圧性疾患/脳血管疾患)の発症と強く関係しているとの報告もあります。

さらにさらに、睡眠時には、

アミロイドβを脳脊髄液に流す役割があるとされています。

アミロイドβは脳細胞を死滅させ、アミロイドβが脳内に沈着すると、

アルツハイマー型認知症の原因となるとも考えられています。

つまりは、睡眠不足により、アミロイドβを脳脊髄液に正常に流せないと認知症になる可能性が高いかもしれません。


寝すぎによるデメリット

寝過ぎによるデメリットには、

・倦怠感
・頭痛
・疼痛
・ストレスが溜まる
・糖尿病や心疾患のリスクが高まる
・生活リズムの乱れ

などが挙げられます。

頭痛は、

寝ることで副交感神経が優位となり、血管が拡張します。三叉神経と血管は近くに位置しているため、血管が拡張したことにより神経を圧迫することで頭痛が生じることがあるといわれています。

疼痛に関しては、

不動時間の長いこと、同一姿勢によるものが多く、水分不足時間が長くなり、虚血や血行障害が疼痛に繋がると考えられています。

寝不足 VS 寝過ぎ

今まで、寝不足・寝すぎによるデメリットをお話してきましたが、結局どっちがいいのでしょうか?

そもそも、寝不足とか、寝すぎと判断する睡眠時間の基準て

いったい何時間なの?と思いますよね?

厚生労働省は、7時間前後の睡眠が、
死亡リスク、生活習慣病リスクが少ない
と報告している。

よく睡眠時間は7時間が良い!と

聞くのはおそらくこういうことからだと思います。

じゃあ、みなさん

「 今日から睡眠時間7時間取るようにしましょう! 」

っていうのは、少し難しくないですか?

予期せぬことが起きるのが人生ですから。

仕事が長引いてしまったり、急遽友人とごはんに行ったり、

子どもがぐずって世話をしたりと・・・

睡眠時間の管理は難しく、

日本人の睡眠時間は過去20年間減少し続けている

というデータもあります。

そうなってくると、

睡眠時間ではなく、

短くても質の良い睡眠が必要となってくるわけです!

質の良い睡眠とはどのような睡眠?


では、みなさん

質の良い睡眠とはどのような睡眠ですか?

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上の写真は、

財布、お肉、レビューの写真です。

みなさんは、何の財布を使っていますか?

ブランド物ではないでしょうか?

スーパーで安売りの肉とブランド肉

どっちがおいしくて希少な物でしょうか?

ネットショッピングの際、

みなさんはレビューや評価を参考にしませんか?

あれは、なんのために確認しているのでしょうか?

きっと、買い物を失敗したくないから、

外れの商品を引きたくないから、

質の保証がある程度確認できているものを選んで購入しているのではないですか?

100円ですぐ壊れてしまうものなら、

1000円出して長く使える物が良くないですか?

私たちは、無意識のうちに、

食べ物でも日用品でも、

「価格」と「質」を見て

妥協点でモノを、選択していると思います。

では、睡眠に関してですが、

体調の悪い時にわたしたちが取る行動というのは、

「調子悪いから、早く寝よう」の一択ではないですか?

「調子悪いから、今日は質の良い睡眠取るぞー!」

なんて人間を私は見たことがありません。笑

きっと、質の良い睡眠の取り方を知らない人が多く、

そうした場合に、量なのか質なのかと

選ぶ選択肢がないのだと思います。

ここからは質の良い睡眠についてお話していきます!

質の良い睡眠とは

長らくお待たせしました。

メインテーマである質の良い睡眠にやっとたどり着けました。

でも導入がすっごい大切だと思いますので、

時間を掛けてやってきました。

質の良い睡眠とは、

ずばり「 眠り始めの90分間のノンレム睡眠の質が良い 」睡眠を指します。

また、質の向上には、

・睡眠の特徴
・体温
・脳の特徴

に関しての知識も必要となります。

まずは、睡眠について軽く説明していきます。

レム睡眠

Rapid Eye Movement(眼球運動) の頭文字を取ってREM睡眠です。

別名逆説睡眠とも呼ばれます。

特徴は、

・脳は起きているが、身体は眠っている
・夢を見ることが多い(情報を整理、夢の内容はストーリー展開で支離滅裂な内容が多い)
・大脳辺縁系が盛んに活動(記憶の2段階モデル)
・筋緊張低下
・呼吸・心拍数は不規則
・陰茎の勃起

ノンレム睡眠

Non Rapid Eye Movement の頭文字を取ってNon REM睡眠

別名徐派睡眠とも呼ばれます。

特徴は、

・脳も体も眠っている
・知覚、随意運動、思考は休息
・夢の内容はシンプル
・嫌な記憶の消去
・非陳述記憶の固定化
・血圧低下
・呼吸緩徐
・体温降下

です。

冒頭にもお話したように、

睡眠の役割として、脳の休息がありました。

私たち人間は、基本的に寝る時間外は、目を開けており、そこから情報が入力され、脳で処理しています。

1日中パソコンをカチカチしていたら、

段々と本体、コンセントが熱くなり、操作が重くなり、時にはフリーズなんかしませんか?

脳も一緒で、ノンレム睡眠で脳も体も休めることが非常に重要となります。

ちなみに脳波は、

δ(デルタ)波:4Hz以下 「睡眠」 中~深睡眠期
θ(シータ)波:4-8Hz 「睡眠」 入眠期~軽睡眠期
α(アルファ)波:8-13Hz「閉眼・安静状態」
β(ベータ)波:14-30Hz 「大脳活動、開眼」
γ(ガンマ)波:それ以上

となっています。


眠り始めの90分

質の良い睡眠とは、

眠り始めの90分間のノンレム睡眠の質が良いことです。

では、なぜ眠り始めの90分がそんなにも大切なのでしょうか?

それは、

睡眠全体の中で、最も深い眠りが眠り始めの90分間だからです。

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この最も深い眠りの間に、

睡眠圧(眠気)の解消
自律神経の調整
成長ホルモンの分泌(全体の70-80%)
記憶の定着

を行っています。

眠り始めの最初の90分間を阻害すると、

その後の睡眠の波形が乱れ、波形が取れなくなってしまうこともあるみたいです。

なので、

大事な人が寝たか寝ないかわからないときには

そっとしておくことをお勧めします。笑

睡眠を司る3つのリズム

睡眠には、生体内でリズムが決められています。

このリズムを無視することは困難です。

そのため、リズムを理解して、生活リズムを作りましょう。

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3つのリズムとは、

・メラトニンリズム
・睡眠-覚醒リズム
・深部体温リズム

です。以下に説明します。

メラトニンリズム

メラトニンは睡眠を誘発する役割があります。

また活性酸素の除去やがん細胞の中和などの役割も担っています。

メラトニンは、

起床後、14-16時間で分泌が上昇し、眠気を催します。

そこから1-2時間の間に眠りたいという生体リズムです。

例:6時起床の場合、
20-22時に睡眠圧が上昇し、21-24時の間に眠りたいという生体のリズムになります。

この時間になると眠くなるのは、

リズムを考えると当然っちゃ当然なので、

無理をして起きているというのは非効率的であると言えます。

そして、これもまた冒頭の方でお話しましたが、

メラトニンに関しては薬ではなく、

私たちでもアプローチができるとお話しましまた。

まず、メラトニンの原料はトリプトファンという必須アミノ酸です。

これらは、豚肉、魚、豆類、豆乳、乳製品に多く含まれます。なので食品としてのアプローチも可能です。

あとは、メラトニンの特徴として、

光を感知すると分泌が減少し、

暗くなると分泌が増大するという特徴を持ちます。

つまりは、朝、日光を浴びる、電気を付ける等の行動は、

メラトニンの分泌量を減少させるので、覚醒を促す行動といえます。

一方で、暗い部屋ではメラトニンの分泌が増大するので、

眠くなりやすいといえます。

(私はこれを見てから、豆電球を付けて寝るのを消して寝るように変更しました。)

さらに、メラトニンは日中分泌を減らせば減らした分だけ、夜に分泌が増えるという特徴を持っています。

つまりは、日中屋外などで日光を浴びれば浴びた分だけ、

夜間に睡眠を誘発するメラトニンの分泌量が増えるということです!

朝からアクティブに行動すると、
夜ぐっすり眠れるのはこの効果もあるからです。

睡眠覚醒リズム

大脳を眠らせるシステムは、

起床から8時間後と22時間後に強く働くといリズムです。

例:6時起床の場合、14時と4時に眠くなる。

お昼過ぎに眠くなる現象を、アフタヌーンディップといいます。

よく、お昼を食べた後は眠くなるね。というあれです。

これには諸説ありますが、
食事を摂取しなかった場合においても、
眠くなるというデータもあるみたいでして、
やはり生体リズムが関与しているのではないかと言われています。

深部体温リズム

このリズムの説明の前に少し、

体温について理解しておく必要があります。

体温といっても一概には現わせなくて・・・

人間は、恒温動物でありホメオシタシスで体温はほぼ一定に保たれます。

体温は、

深部温
外殻温

に分けられます。

深部温は核心温とも呼ばれます。

よく私たちが計る腋窩温も深部温に含まれます。

一番正確な値は直腸温らしいですが、

一般ではなかなか計ることもなですよね・・・

直腸温はだいたい37.0℃といわれています。

なかなか計ることができませんが、

腋窩温+0.8℃が直腸温というおおまかな計算法があります。

例:腋窩温が36.3℃だった場合、
  直腸温は約37.1℃

そして深部温の特徴は、環境影響を受けいにくいということです。

外が寒くて、直腸温や腋窩温が容易に低下してしまったら、

私たちは寒い地域での生命維持活動は難しくなりますよね。

なのでホメシタシスで一定に保持しようとする機構があります。

ありがたい。生体機能バンザイ!

一方で、

外殻温は皮膚温とも呼ばれます。

皮膚温は、冷たい水に触れると手も冷たくなるように、

環境温や循環血液量の影響を受けやすいという特徴があります。

はい。ということで、

おさらい+追加情報を載せますと、

深部温は、
日中高くて、夜に低くなる(夜間に-0.3℃程度下がる)
そして、深部体温リズムは、起床から11時間後に最も高くなり、22時間後に最も低くなるというリズムがあります。

例:6時起床の場合、17時に深部体温最高、4時に最低となる

余談ですが、深部体温が高いほど、身体がよく動き、パフォーマンスが高くなるいうのを見たことがあります。そのため、スポーツの新記録は、15-20時によく出るそうです!

皮膚温は、
日中低くて、夜高くなる

通常、深部温は皮膚温より2℃以上高いです。

ここがポイントなのですが、

通常、深部温が皮膚温よりも2℃以上高いのですが、

眠くなる条件として、

深部温と皮膚温との差が小さくなればなるほど眠気が強まるという特徴があります。

深部温は日中高くて夜低い

皮膚温は日中低くて夜高い

という性質があるので勝手に差は小さくなるのですが、

どうせならより効果的に差を小さくして

良い眠りにつきたいですよね?

しかし、深部温はホメオシタシスの影響で、

環境温の影響を受けいにくいんです!

なにかないかな~?

唯一、深部温に効果的にアプローチできる方法があります。

それは、「入浴」です。

40度のお風呂に15分浸かると深部温+0.5℃

皮膚温+0.8-1.2℃の上昇が見込めます。

「ちょっと待って!」と思った方、

するどいですね。

良い眠りのためには、

深部温は下げて、皮膚温を上げて差を小さくするんじゃないの?

お風呂入って、深部温上げてどうするの?

というところまで考えた方、素晴らしいです。

これは、深部温の特徴を熟知したアプローチでして、

深部温は、「上がった分だけ下がろうとする」という特徴があります。

つまりは、なかなか深部温はホメオシタシスで変動がありませんが、

唯一入浴では、深部温を少しだけ上昇させることができる。

そして深部温は上がった分だけ下がる性質があるので、

下がり幅が急下降となり皮膚温との差が一気に縮まるというわけです!

40℃のお湯に15分程度つかる場合は、睡眠の90分前に入浴を済ませると深部温の下降と睡眠が丁度良いと言われています。

すぐ寝たい場合などは、お湯の温度を40℃以下にしたり、入浴時間を15分より短くすればOKです。

体温管理

入浴で通常、変化しにくい深部温を上昇させることができると説明しましたが、入院患者様や怪我等で毎日の入浴が難しい方も中にはいらっしゃいますよね?

そうした場合は、シャワーや足湯でも構いません。

入浴 ➡ 深部温を上げるアプローチ
シャワー・足湯 ➡ 皮膚温を上げるアプローチ

入浴とシャワー・足湯では、
アプローチする場所が異なるという点を
理解しておきましょう。

でも入浴もシャワーもどっちも困難な方も中にはいらっしゃいますよね?

そうした場合は、軽い運動で四肢の血行を良くしましょう!

ここのポイントは軽い運動です。

就寝前の運動は、交感神経が優位となる、体温が上昇する

上記2点より睡眠の質は低下します。

そのため、軽い運動、ストレッチ程度で血行を良くすることを推奨致します。この軽い運動という表現が曖昧になってしまうのですが、リラックスして行えるレベルと考えてください。

もし、運動を行う習慣がある方は、

就寝の3時間前程度には運動を終えるといいみたいです!


脳の睡眠スイッチを入れる


ここまで、生体内にはいくつものリズムが存在し、ある程度それに沿って睡眠は成り立っているとお伝えしてきました。

そのリズムを無視しないよう、睡眠を確保していくのはもちろんですが、

脳を睡眠へと導く準備 ”脳の睡眠スイッチを入れる”ことが非常に重要となります。

それは、脳はモノトナス(単調)を好むためです!

現在の社会は、昔と比べて睡眠スイッチが入りづらい状態といえます。


それは、照明の発達、24時間営業店の増加、スマートフォン、パソコン、ゲームの普及等

夜間においても、脳は興奮状態となっていることが容易に予測できます。

逆にですね、

単調な状況だと脳を使わないため、眠くなります。

例えば、

長い高速道路の1本道の場合、
代り映えのない景色、信号もありませんから、
ただアクセルを踏む作業で眠くなった経験はありませんか?


また、抑揚のない決まったような内容の先生の話
居眠りしたくなりませんか?

つまりは、脳を単調な状態に導くことが、

脳の睡眠スイッチを入れることに繋がるのです。

では、脳を単調な状態に持っていくには何をするの?

答えは、いつも通りのルーティンを作ることです。

例:起床・就寝時間の固定
  寝具、枕の固定
  服装(パジャマなど)
  照明の明るさ
  音楽
  寝る場所
  など・・・

自分だけの睡眠前ルーティンを作り、

習慣化することで脳の睡眠スイッチを入れてください。

電気を消したら、スマホをいじらない。寝るだけ
パジャマを着たら、布団に入り寝るだけ
音楽を聴かないのなら聴かない
聴くのであれば固定化
横になるのはベッドだけソファでは寝ない

等、〇〇をしたら、寝るだけという風に

脳内に植え付けさせることが大切です!

逆を考えると、私もそうなんですが

宿泊先のホテルや友達の家では寝付けない、寝れても浅いなんて人はいませんか?これはきっと、枕も違いますし、照明や環境、何より寝る場所がいつもと違うため、脳は安心できず興奮している状態のためです。

そのため、自分だけの睡眠ルーティンを作って、

脳を睡眠へと導くことが大切です。

まとめ

ここまで睡眠について説明してきました。

脳の役割は、

1.脳の休息・メンテナンス
2.心身の疲労回復
3.身体の成長・修復
4.免疫機能の強化
5.学習の強化
6.情報の整理

でした。

そして、睡眠時間の確保は生活スタイルによって管理が難しい

そのため、睡眠時間よりも睡眠の質を高めていくことが大切になってきます。

睡眠の質を高めるには、
体温管理と脳の特性を知ることが必要です。

体温は、
皮膚温と深部温があり、
通常2℃以上差があるが、これが2℃以下に縮まったときに眠くなる性質があります。

そのため、深部温のアプローチとして入浴、
皮膚温のアプローチとしてシャワーや足湯、軽い運動が効果的です。

そして脳の睡眠スイッチを入れることが重要で
睡眠前の自分だけのルーティンを作ってください。そして眠る前は、出来る限り脳への刺激を遮断することを意識して下さい。

今まで長く説明してきましたが、
要約するとここがポイントかなと思います。

番外編


ここまではいかに眠るかということに関してお話してきましたが、

逆に、眠くなったらどうすればいいのかを少しお話しようかと思います。

大事な会議中、通勤時の運転中など、

絶対に寝てはいけない状況があるかと思います。

それらに向けてすぐにでも取り組める内容をいくつかお話します。

①光を浴びる

これは前述しましたが、

光を浴びることで、メラトニン(睡眠物質)が減少するためです。

私はリハビリ職なので、
覚醒度が低い方や精神的に悩みを抱えている方は、よく景色の見える日の当たりの良い場所へと誘導することを心がけています。

②裸足になる

これはすぐにできるかわかりませんが・・・笑

これは皮膚感覚が上行性網様体を活性化させるためです。
※網様体は覚醒と関連あり

また、裸足になることで、

皮膚温が低下しますので、皮膚温と深部温の差が広がるため覚醒状態を促すことになります。

③カフェイン摂取

よく眠気覚ましにブラックコーヒーを

って人は多いのではないでしょうか?

人は何もしていなくても睡眠物質であるプラスタグランディンD2が溜まっていきます。このプラスタグランディンD2は、アデノシンに変換されて、GABA(神経伝達物質で神経細胞の興奮を抑制させる)を増やします。このGABAが脳を覚醒させるヒスタミンを抑制し眠くなります。

カフェインは、アデノシンがGABAを増やす段階をブロックすると言われています。

つまりは、脳内に睡眠物質であるプラスタグランディンD2は溜まっているが、脳を抑制させるのをブロック(麻痺させているいった感じでしょうか)しているため、眠くならないというわけです。

なので効果はありますが、一時的といった印象です。

④仮眠

よく院内でも、

「〇〇さん、また昼間寝ちゃったの?
そんなんじゃ夜寝れなくなっちゃいますよ?」

という言葉を聞くことが多くあります。

本当にそうでしょうか? それはなぜですか?

仮眠については、厚生労働省も推奨をしています。

30分未満の昼寝をする人は、しない人と比べて認知症発症率が1/7
1時間以上の昼寝をする人は、しない人と比べて発症率は2倍高い

しかしこんなデータもあります。
絶対に当てはまるということはありませんが、
ここから導き出せるのは、

昼寝をした方が良さそう
でもし過ぎはよくないよね 

ということです。

では、仮眠はどの程度なら良いのでしょうか?

データと自分の体感からお話しますと・・・

5分以内:主観的にはスッキリした感じ
睡眠負債は変わらない
パフォーマンスも変わらない
10分ー15分:睡眠負債減少
パフォーマンス向上
15分-30分:起きた後、ぼーっとすることがある
50歳以降は適切な長さ?
30分以上:起きた後、倦怠感
深い脳波となり、夜間に影響をきたす

私は上記のことから、仕事の昼休みは、

10-15分の仮眠をとるようにしています。

場合によっては、仮眠が取れないような日もあるのですが、

仮眠を取る日と取らない日とでは、
午後の集中力や生産性が大きく変わる感じがします。

職場によっては、寝れないなんて場所もあるかと思いますが、

これは、眠らなくても、閉眼するだけで効果があります。

理由は前述したように、

人間は視覚からの情報処理量が多いため、脳が疲労しやすいです。視覚を遮断することで、他からの情報(視覚以外の5感)処理量は増大しますが、

8割も担う視覚を休めることができます。

また閉眼するだけでも、脳波はα波になりますので効果があるといわれています。(上記脳波参照)

そんな仮眠ですが、1つ注意していただきたいのは、行う時間帯です。

昼寝をする場合は、15時までに行った方が良いといわれています。

明確な根拠はわかりませんが、

暗くなるとメラトニン物質が増加することにより、深い睡眠となりやすいからではないかと思います。

なので、昼寝をする場合は、
15時までに10-15分を推奨
致します。

更に、③と④の合わせ技”カフェインナップ”というのがあります。

これは、仮眠を取る前にコーヒーを飲みます。

コーヒーを飲んで、仮眠(10-15分)を取ることで、

ちょうど覚醒した後からカフェインの効果で
脳沈静作用ブロックする効果が期待できます。
しかも脳内に溜まっている睡眠物質は、
仮眠で少し回収済みです。

是非、試してみてください!

睡眠の質の確認

睡眠の質の高め方についてお話してきましたが、

どうなったら睡眠の質が良くなったか?

というのは、目に見て判断しづらいですよね。

簡単な指標として、

睡眠や仮眠を終えた後のぼーっとする感じ(睡眠慣性)といいますが、

それが長いほど睡眠負債が溜まっている状態といえます。

それが、この睡眠法を実践してみて、
睡眠慣性が短縮あるいは消失していれば、
睡眠の質が向上しているといえます。

あとは、主観的ではありますが、
集中力や意欲、感覚等で判断してみてください。

おまけ

食事

運動と同様に、食事も遅くても就寝の3時間前には済ませるといいみたいです。これは、食べた物にもよりますが、だいたい消化には3時間程度かかると言われています。消化できずに就寝した場合、就寝中にも内臓器官が消化機能を遂行しないといけないので、睡眠の役割である心身の疲労回復が期待できなくなってしまいます。

冷え性

冷え性の方の中には、
手袋や靴下を付けたり履いて寝る方も多いのではないでしょうか?


これを少し掘り下げると、

冷え性というのは、
四肢末梢血管が収縮して熱を閉じ込めている状態といえます。この状態では、熱放散は行われません。

靴下を履いて、皮膚温を上げることで、
末梢血管を拡張させて血行を良くするのは理にかなっています。

しかし、質の良い睡眠では、

深部の熱を毛細血管豊富な四肢に流してそこから熱放散をして体外に熱を逃がすことが重要となります。

手袋や靴下を履いてる状態では、
手足から熱放散が行われないために、
深部温を下げることが難しくなり、
睡眠に必要な深部温の下降と皮膚温の上昇を
創り出すことが困難となります。

したがって、

手袋や靴下を着用して皮膚温を上げることは良いと思いますが、ある程度温まった段階で着脱すると良いのではないかと考えます。

そのため、何がいいのか考えると、

湯たんぽって非常に有能だと思います。

かなり温まりますし、時間の経過とともに
湯たんぽ自体の温度も下降していくので、
熱放散の邪魔も少ないかと思います。

参考・引用文献

「健康づくりのための睡眠指針2014」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf

最期に

☑睡眠について理解を深める
☑質の良い炭んの取り方を知る
☑質の良い睡眠の取り方を他者に指導できる

冒頭で掲げた目標達成具合はどうでしょうか?

少しでも皆さまの睡眠に対する考え方や
睡眠の質向上に結びつけば嬉しいです。

長いnoteになってしまいましたが、
最期まで読んでいただいた方ありがとうございました。

このような形で、

今後も様々な内容でnoteを更新していきたいと考えています。

少しでも勉強になった、おもしろかった

そんな方がおられましたら、

気軽にフォローや意見交換をしていきたいので
よろしくお願い致します。


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