与えられた男 その1
「鳥肉を焼くのは簡単だ」
三浦は、奥歯で砂肝を噛みながら言った。
「でも、焼き鳥は難しい。スーパーで安売りしているモモ肉か何かを買ってきてだな、自分の家のキッチンで、フライパンで焼いて、これくらいの味が出せるなら、外で食べる必要ないな、なんて言っているようじゃ、ダメなんだよ。本物の味を求めないと」
「本物の味?」
口の中のものを飲み下す三浦の伸びた顎ひげに、白いものが光っているのを、小早川は見逃さなかった。
「外で食べたものを家で食べたくなって、似たようなものを作る。見た目も