見出し画像

命は助かっても

今日、久しぶりに父の面会に行ってきた。

嬉そうに「元気??」

ってかすれ声できいてきて

そのあとはひたすら「眠い」ばっかり

またくるね

と車で1時間弱かけてきたところを

5分しないくらいの面会をして帰る


進んだ医療のおかげで

ドクターの手術のおかげで

父は助かった。

まだ若いし、手術すれば助かります

手術しますか?

そう言われたら

お願いします!!

って誰でもなる

その後のことなんてその時は考えられもしないし

想像もつかないから


母は父の状態を見て

「私がこうなったときは手術しなくていいからね」

と言う。



父は生き延びてよかったのか

面会にいくたびに考えさせられ

死ぬまでかかる介護費用を思うと

あそこで助かってよかったのだろうか

とどうしても考えてしまう

大事なカルチャーや景色は残ればいいし
古民家は新しい使い方で活かしたらいいし
仕事に関してはデジタル化がもっとどんどん進めばいいし考え方や価値観はどんどん先進的になればいいし

教育と医療と技術に関しては進んで悪いことなんてない言いたいところだけど

やっぱり医療に関しては

父が生きていて幸せなのかわからない状態
死ぬまで介護費用ばかりがかかる状況

を目の当たりにすると

なんともいえないし

死んだほうが

父自身も残された私たち家族も

まだよかったんじゃないか

って

不謹慎だと思うかもしれないけど

現実を目の前にすると考えずにはいられない


でも、死んでいたら

今日みたいに

父の手に触れることも

笑顔をみることも

声をきくことも

話すことも

できないのだから

命あるだけ、いいのである

そう思って

なるべく

父に会いに行く

さいしょは変わり果てた父の姿を見るのが辛かったし

今でも施設のにおいは苦手だけど

介護士さんたちへの感謝と尊敬は果てしなく

やっぱり、父にあうと安心する自分がいる


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?