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読書メモ『風のマジム』原田マハ著① 熱意と努力

事務職の派遣社員から、社内ベンチャーの社長に。
沖縄であった実話をもとにしたこの小説は、今回も僕の期待を裏切らなかった。
それだけでなく、本書を通して知った地域の魅力を感じに、実際に現地に行ってみたいと思えるものだった。

前回は図書館についての記事だったので、今回はそこで借りた「本」についてのお話その①
次回は読む中で感じた「地域」と「小説」について書いてみたいと思う。

まじむこみてぃ。

1,「熱意」と「努力」で人は動く

原田マハさんの小説は、少し元気が欲しいときに読むことが多い。
僕を勇気づけ、そっと後押してくれるようなものが多いからだ。
もっとも、本格的に読むようになったのは社会人になってから。
そのときの僕に溶けるようにすっと入っていったことを覚えている。
それ以来、少し元気が欲しいときには意図的に図書館で探すようにしている。

以前は「生きるぼくら」を読み、思わず親に会いに帰ったこともあった。

今回もまた、少し元気が欲しいと思っていたときだった。
上司から度重なる資料の修正を命じられ、なかなかよいものができない自分に自信をなくしかけていた。

そんなときに本書に出会った。
読み進める中、0→1でつくり上げることの大変さ、その結果が表れたときに振り返って感じる何よりの面白さを思い出し、ページをめくる手が止まらなくなっていた。
そして、読み終わった後に改めて感じたのは、「熱意」と「努力」は必ず誰かが見てくれている、ということだった。

本書では、普通の派遣社員だった主人公が、ひょんなことから「アグリコールラム」の魅力、そしてその原材料であるサトウキビが大量にあるにも関わらず沖縄ではそれがつくられていないことにポテンシャルを感じ、社内の新規ベンチャー制度を活用し事業化する様が描かれている。

社内の総務部の先輩には「派遣さんだから」と小言を言われるなど、どことなく下に見られていた主人公。だが、その熱意と努力を先輩も見ていた。アイデアの実現性を評価され、社内ベンチャーの二次審査を通過してからは、いつしか応援者、そしてアドバイザーのような立場に。最終審査では、完全に主人公のサポートとして、部内の反対派の上司にもきっぱりと物申すほど。

ここまで人が変わるのか、とも思えるほどだが、「熱意」と「努力」はそれほど人を感化させ、応援したくなるものだろう。

他にも、なじみのバーの若手バーテンダー、南大東島の首長や商工会議所の重鎮、他にも多くの人を巻き込み、事業化を進めていく。
実際、主人公は現地に行き、現地の風を感じ、商工会や首長にビジョンを伝え、現地の方の信頼を得て…と、自己の実現に向けて熱意を語り、努力をしている。
思いだけでも行動だけでもなく、そのどちらもが備わっていたからこそ、まだ構想段階にも関わらず応援される存在になっていたのだろう。

また、主人公の打たれ強さ、芯を通すことも学ぶべきポイントだ。
本書では、先ほどの反対派の上司は計画段階で「東京の有名な醸造コンサルタント」に杜氏を依頼するように指示した。
しかし、実際呼んでみるとそのコンサルタントは、どこか沖縄を小馬鹿にしたような素振りを随所に見せている。
有名なのには違いないが、私がつくりたい姿とはどこか違う。
そのもやもやを抱え込むだけでなく、なんと沖縄で有名な醸造家を口説き、最終プレゼンでは(上司に知られず勝手に)書き換えてしまう。

結果、その熱意は上層部に伝わり、満場一致で事業化が決定。
主人公の熱意と努力で、人を動かしていったのだ。

翻って自分はどうだろうか。
最近では、「shinくんは素直で勉強熱心」「だんだんコツがわかってきたね」という前向きなフィードバックをいただく機会も増えてきた。
何度も指摘されてもあきらめずに着々とフィードバックを反映させ、よりよい資料となっていること、また、上司が忙しいときも「あと1分、この点だけ確認させてください」と依頼することなどが思い当たる節ではある。

しかし、熱意と努力はまだまだ伝えられるだろう。
上司の期待を超える方法を常に考え、反映させること。
いまの自分のミッションの意義を振り返り、思いをもって課題改善に取り組むこと。
普段あまり感情に出さない僕ではあるが、内なる思いは持っている。
ソフト、ハード、両面でまだまだできることはある。

きっと明日からも上司から指摘されて落ち込むことがあるだろう。
その際でも決してあきらめることなく、「熱意」「努力」をもって業務に取り組んでいきたい。

そうすれば誰かがその姿を必ず見ていて、
必要な時にはきっと協力・応援してくれるのだから。

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