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『助手席の異世界転生』(毎週ショートショートnote)

俺に殺された?生まれ変わり?
ハンドルを握る俺の脇腹に刃物を突き付けながら
助手席の彼女が静かに語りだした。

20年前。
あの夜も今日のように雨が降っていた。
あなたはちょうど今の私くらいの年齢で
運転技術も未熟なうえにお酒を飲んでいた。
信号が青になるのを待って交差点を渡りはじめた私に
あなたが運転する車が信号を無視して突っ込んできた。

気がついたら私の体は土に覆われていた。
見上げるとあなたが私に土をかけているのが見えた。
何度も何度も。
私は埋められているんだと悟った。
そして何も見えなくなった。
そう、あの時、私、まだ生きていたのよ。

彼女は俺が20年前に轢いた女を埋めた場所を知っていて
俺に遺体を掘り起こせと言った。
俺はシャベルを使いながら彼女に言った。
「君は事故だと思っているようだが
俺はあの女が誰だか知ってて轢いたんだよ。
俺は3歳の時に、あの女に虐待されて殺されたんだ」

やがて土の中から白骨した遺体が見えてきた。
「お母さん、、、」

(410文字)

<あとがき>
『異世界』というとファンタジーっぽいものを想像しますが、
ウィキペディアによると異世界転生とは
『一度死亡し、前世の記憶を持ち越したまま別の人物として転生すること』
ということなので、まぁ間違ってはいないかと。

<ChatGPTによる解説>
このストーリーは、過去に起こった事故と、
その事故に関わった二人の人物の再会を描いています。
彼女は20年前、主人公が運転する車に轢かれ、埋められた
過去の事故の被害者でした。
しかし、彼女は埋められた後も生きており、その出来事を覚えていました。

彼女が助手席に座り、主人公に自分の墓所を探し出すよう
要求する場面では、彼女が自分の遺体が埋まった場所を
知っていることが示唆されます。
その場所で遺体を掘り起こし、主人公はその遺体を見て、
それが自分が3歳の時に虐待されて殺された母親であることに気付きます。

このストーリーは、過去の悲劇と運命の絡み合いを描きながら、
過去の罪や苦しみが未解決のまま残り、関係者に影響を与えることを
示しています。
主人公が20年前の出来事を認識し、自身の過去と向き合うことで、
物語は感情的な転換点を迎えることになります。

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