夏は寒くない、暑いはず

暑い日が続きますね。クーラーの効いた冷たい部屋に引きこもっていたくなります。

そう思うのが普通でしょうが、去年の今頃の私はその空間が嫌で嫌で仕方がなかった。毎日寒い寒いと言いながら、長袖を着てガタガタ震えていました。

そこは病室で毎日一定の冷たい空間が保たれていました。さらに、その頃の私は体力もなく、ヒョロヒョロで温度調整さえできなくなっていました。だから、去年の夏の暑さを私は知りません。

面会に来てくれる母親が、今日も暑いよと汗を拭う姿を見て、ああ本当なら暑いのだな、夏なのだなと気付かされました。

7月の頭から入院しており、8月になると、私の住んでいる地では夏の風物詩である よさこい祭りが始まり、テレビで流れていました。

その熱気を感じるために、毎年見に行っていだのですが、まさか病室で見る日が来るなんて考えてもいませんでした。

毎年よさこいが始まると、本当の夏の始まりを感じ、終わると夏がもうすぐ終わってしまうと感じます。

風物詩というものは、すごいもので、体感的にはずっと冬だった去年の私を、それを見るだけで夏の情緒へと蘇らせてくれました。

画面に映る踊り子、毎年この時期だけは人が溢れる商店街の風景、流れるよさこい節に、合わせる乾いた鳴子の音色。

その季節を、夏を、思い出させてくれた風物詩。知らぬ間に、自分の中で なければならないもの、この季節にあって当然なものになっていたのです。

体は確かにいつも通り冷たいままでしたが、それを見ていた時だけは、じんわり熱を思い出していた気がします。

今年の夏、私は半袖を着て、確かに夏の暑さを感じています。生きている、そんな気がします。

そう考えると、去年の私は死んでいた。感情も体温も無くして、体力も無く、歩けなくなって何もできなくなっていた。

生き返った私は、あの死んでいた頃に考えていたやりたかったことをやれているのだろうか。夏の暑さにさえ、ありがたさを感じ生きていけているだろうか。

夏を寒いと感じる自分にはもう戻りたくない。

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夏の思い出

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