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[経営者インタビュー]キャプテン翼,古川洸太郎選手のモデルとなった方に聞いてきた。 「教えること」と、「サッカーとビジネスの共通点」

先日、伝説のサッカーマンガ、キャプテン翼GOLDEN-23のキャラクター、古川洸太郎選手のモデルとなった方にインタビューさせて頂きました。
現在、SOLUM株式会社というスポーツブランドを経営、・ロービジョンサッカー・フットサルコート等で、プロ選手のバックアップをされながら、指導者としても活動されている古川将士さんという方です。芸能活動をされながら、教育者としてサッカーの指導者や学童の先生などもされつつ、サッカーやフットサルと関わる中でSOLUM株式会社を設立されました。今回の記事では、ご自身のキャリア、教えるという事の本質、事業をされていく中で感じたサッカーと事業の共通点について伺ってきました。

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<プロフィール>

古川将士。1975年生まれ。埼玉県出身。SOLUM株式会社代表取締役。
高等学校教員免許 / 児童指導員任用資格や、社会福祉主事任用資格 / 訪問介護員1級の資格を持ち、芸能活動と両立しながらキャリアをスタート。
高橋陽一先生との出会いをきっかけに、漫画「キャプテン翼GOLDEN-23」古川洸太郎選手のモデルになることに。そこから古川選手が漫画で着るウェアーのデザインを始める。その後、フットボールウェアブランドのSOLUM株式会社を設立。現在も育成年代指導や芸能人女子フットサルチーム南葛シューターズでヘッドコーチをしながら、SOLUM株式会社代表取締役を歴任。スポーツブランドの経営や、プロ選手のバックアップ、イベント企画等、財団を立ち上げ、フットサルコート作りなどもしている。

コンビニの立ち読みで知ったキャプテン翼デビュー

僕の中での大きな転機がありました。
2005年にヤングジャンプで発行していた、「キャプテン翼ゴールデンエイジ23」という作品に、翼選手のゴールデンコンビとして、僕がモデルになった古川洸太郎選手が出てきたことです。当時は、高橋陽一先生から何も聞かされていなく、たまたまコンビニでヤングジャンプを立ち読みしていたんです。そうしたら、ヤングジャンプに古川洸太郎選手として自分が出ていたので、とてもびっくりしました。いてもたってもいられず、すぐに高橋先生に電話し「なんですかこれは!?」と聞いたんです。高橋先生は「ごめんごめん、書いちゃった。」という軽い感じでしたね。そのような形で、気づいたらキャプテン翼という偉大なマンガに出ることになったんです。

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高橋陽一先生との出会い

1995年、千住にミズノフットボールプラザというものができました。
そこで高橋先生と出会ったんです。
もともと、個人的にフットサルというものを広めたいという思いがあり、今でいう個サル(フットサルの個人参加)に一人で参加していたんです。
最初の頃はフットサルの認知度も低く、人もなかなか集まらなかったのですが、段々と役者さんのチームだったり、声優さんのチームが参加してくれるようになりました。そして、段々と現在フットサル日本代表で活躍している選手などもプレーしにいらしてくれるようになり、そこに高橋先生も遊びにいらっしゃいました。それが出会いのきっかけです。そうしてプレーしているうちに、高橋先生が僕のプレーを見て「こんなに上手い人見たことない」と言ってくれたんです。それがきっかけで、雑誌のサッカーやフットサルの企画に呼んでいただけるようになりました。それから、芸能人女子フットサルチームで先生が監督、私がヘッドコーチをすることになったりという縁もあり、ご一緒させていただく機会が増えました。

SOLUM株式会社を設立

せっかく、自分がモデルとなった選手がマンガに出ているので、何か出来ないかとずっと考えていました。ある日、マンガ内で古川選手が着用しているスウェットや、パーカーを自分でデザインしても良いかと先生に聞いてみたんです。そうしたら、一つ返事でOKをもらいまして、マンガ内で古川選手が着ているものを作ったり、着るウェアをデザインできることになりました。
そうしてウェアをつくていく中で、自分でいくつかフットサールチームを立ち上げたんです。そこのウェアに自分の作ったものを使用したりしてマンガ以外でもきてくれる人を増やそうと考えました。そして、2014年に上野の森美術館で行われたキャプテン翼展にて、SOLUMの商品を販売して欲しいという依頼を受けました。そこで、脛当てや、ビブス、ポロシャツを新しく作って販売した結果、ありがたいことにとても好評だったんです。
そのタイミングで、SOLUMを法人化しました。事業をしていく中で、始めはウェアの販売をメインにしていたのですが、現在はスポーツに関わる全てのことをやっています。
例えば、陸上のアスリートとつながれば、陸上に携わることもします。
私たちが意識しているのは、物を作って売るということではなく、スポーツを通して社会に価値を還元するということです。
なので、アスリートの教室を開いたり、アスリートにウェアをデザインしてもらい、それを販売するということも行なっていますし、サッカーの指導も行っております。

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安易に教えない

子どもを指導する際に気を付けていることは、なるべく教えないということです。子どもが、自身で何かに気付けるようにする指導を心がけています。
安易に答えを与えるのではなく、自分で答えを発見し、それを正解にできるように寄り添ってあげるということです。
サッカーでは、状況に合わせた問題解決能力がとても大切です。
それを0〜10まで教えてしまうと、私のアイディア以上の選手は生まれません。例えば、私がバルセロナで10番を背負っていて、日本代表でも絶対的な存在であれば、全部教えてもそこまでたどり着く選手が出るかもしれません。しかし、普通の選手として育ってきた私が0〜10で教えてしまったら、僕の指導を受けた選手が普通以上になることはないと思っています。
自分の考えを大きく超えてくる選手の方が、見ていてワクワクするし、面白いです。なのでそのような選手を育てたいと思っています。

安易に教えないといっても、サッカーというゲームをするために必要なルールは教えます。例えば、スローインで足をあげないなどですね。
それも教えないとなれば、ずっと足をあげたりジャンプをして、スローインをしてしまうのでゲームになりません。
なので、最低限のことは教えるようにしています。
子どもってとても賢くて、勝手に近くにいる選手同士で学び合いながら成長していくんです。何も教えなくても考えてプレーできる選手もいるし、ちょっと突いてあげればできる選手もいます。
マニュアルを作るのではなく、目の前の選手を観察して、必要なことをする(手伝う)イメージでしょうか。

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教育とは、「タイミング」である

私の中で「啐啄同時(そったくどうじ)」という禅に出てくる言葉がすごく好きなんです。鶏が、産んだ卵からヒヨコにかえすときの言葉なのですが、卵の殻をひよこが破るタイミングと、親が卵を突っつくタイミングが一致しないとひよこは殻から出てきません。まだ卵の中でひよこになっていないのに、親が卵をつついたら卵は割れてしまいます。

この現象は、人間の世界でも当てはまると思いませんか?
親に「あなたこんなこともできないの?」とか「早く宿題終わったの?」とか言われたことありますよね?
しかも「今やろうと思ってたのに!」というタイミングで。
そうなると、せっかくやろうと思っていたこともやる気がなくなってしまいます。タイミングを見極めることが難しいのはわかります。
しかし、子どもには子どものやりたいタイミングやペースがあるんです。
そのタイミングに合わながら大切なことを伝えるのが、コーチングや教育の本質だと思います。子どもが何かから抜け出そうとしている時に、気づいてあげる。例えば、自分の子どもが、勉強に目覚めようかなと思っているとします。遊びも楽しいよな、でも勉強もしてみたいな、といういうところで葛藤している状況です。そんなとき、子どもが「勉強しようかな」と思っているタイミングを観察し、見つけるようにするんです。
そのタイミングで、参考書や興味がある分野の本などを用意してあげ「これ、面白そうだよ」というような言葉をかけてあげる。
これこそが、理想の教育なのではないでしょうか?

教育とは「啐啄」なんです。
すなわちタイミングです。鳥はよくわかっていますね。
ヒヨコは、卵それぞれ別々のタイミングでできます。
卵が10個あったら、10個分の啐啄の体現を親鳥は分かっているんです。今この子は殻破ろうとしている、というところで卵を突けば、きれいに卵が割れ、ヒヨコから見ても、自分の力でも出ていて、親に少し手助けしもらったとなります。やらせるのではなく、やろうとしていることにそっと手を差し伸べる。これがが最高の教育なのではないかなと思います。
そのためには、形に囚われないことがとても重要になってきます。
実際に見えていないことを見ようとすること、些細な変化を感じ取れるように観察するということです。
サッカーというスポーツは、プレーする側も教える側にとっても、見えないものを見ようとする力を養うには最高のスポーツだと思いますね。

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サッカーとビジネスの共通点

サッカーは、様々な事に置き換えて考えることができるスポーツです。
もちろんビジネスにも置き換えて考えることができます。
サッカーのゲーム中には、様々な駆け引きが行われています。
ビジネスでも同じです。
相手が近くにいて、後ろからボールを奪おうとしているかもしれません。
なので、常に周りの状況を確認する必要があります。
それをビジネスの場面に置き換えると、リサーチすることと、とても似ているんです。今はネットで様々なことを調べられますよね?
何か新しいことを始めるときや、何かにつて調べるときは、インターネットを使って状況を確認(情報を得る)します。そして、その得た情報を基に自分で決断しなければなりません。
そして、仲間からも「相手背負っているよ」「フリーだよ」という情報ももらうことができ、その情報が自分の決断を後押ししてくれます。
ビジネスでも「これいいね」と言われたり、「これは難しいかもしれない」という周りからのフィードバックがありますね。
しかし、フリーだから、行けると言われたからと、単純に前を向くのはよくありません。今は簡単に誰でも簡単に情報が取れますが、ただ情報を取るだけでは不十分です。人生でもサッカーでも多くの情報を得ることができ、周りからのフィードバックを受けることがあります。しかし一番重要なのは、得た情報を基に、それを自分で解釈し、より良い結果のために行動に移せること。それができるのがいい選手(いいビジネスマン)の条件ではないでしょうか?サッカーは人生を学ぶのに大いに役立つスポーツだと思います。

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古川さんが経営するSOLum株式会社のホームページはこちら。


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