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漫勉 手塚治虫

浦沢直樹は、直接手塚治虫と話したことはなかったけれど
「火の鳥」が漫画家としての自分を作っている という。
漫画文化の黎明期から漫画を描き、
漫画の読み方を教え、漫画の読者を育て、漫画家を育てた。
自分自身も楽しめたんだろうか。

映像に残っている手塚治虫は圧倒的に善性の人である。
彼は戦争を憎み、権力に翻弄される庶民の味方だ。
権力に翻弄されながら、生きることを諦めないものの見方だ。


私が「火の鳥」の中で印象に残っている場面はいくつもあるが
一つは
脱出ポットで宇宙をそれぞれ出ていく場面。
もう一つは
500年経ってムーピーの恋人が死んでしまったときの慟哭
また、
生まれ変わりの輪廻が動物の絵で描かれた絵。
それから
極大になれば、宇宙もひとつひとつの小さなものに見え
逆に極小になれば、細胞の中のその中にも宇宙がある と
火の鳥に見せられるところ

そして
王の墳墓に生き埋めにされながら
火の鳥の血を舐めた民衆が、墓の中でストライキのように歌う場面。

私が権力者の側に立ちたくないと思うのはこの場面のせいかもしれない。
背景とか細部とかディテールとかモブとか言うけれど、
「神は細部に宿る」っていうではないか。


未発表未完成の原稿を見ながら、
初めのページから作るのではなくて
ページが飛びながら、ほぼ完成したページや
ネームだけの原稿があるのは面白いと話されていたが
物語が頭の中でできていて
その中に「書きたい場面」があって
という作者の思いがほの見えた。



手塚治虫の関連本が我が家にもいろいろあったのである。
(リストラしない)
手塚治虫は忙しすぎたから小松左京と対談するなんてことは
なかったのかな とは今回思ったりしたのである。



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