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だれかのことを強く思ってみたかった

前半はモノクロの写真。後半はカラー写真。
写真が数ページあって、小説は3ページくらい。
むしろ「詩」なんじゃないかと思うような美しい文章だった。

夢とも現実とも思い出とも言えるような
時間と空間の間を漂うような内容の掌編小説群だった。

「幸福の反対は現実」とか
原っぱなどで「あるはずのない死体を探す」とか
胸に残る言葉がたくさんあった。

むしろ恋愛よりも、家族のことやすれ違う人々のことを
強く思ったり思い出したりする、
「忘れ得ぬ人々」のような小説だった。


写真について
駅とか東京タワーとかビル群とかそういう写真が多かったのだけれど
シクラメンばかりが並ぶ花屋の白黒写真があって
明るいけれど静謐でそれでいて花はちゃんと生きていることが伝わる
そんな写真があって心に残った。



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