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子供が、親(教師)の期待に沿わないことをした時、どうやって注意していますか?

あなたが疲れて仕事から帰ってきて、一息つく間もなく夜ご飯の用意を始めた。すると、今日も子供の部屋から、大音量の、それもあなたが嫌いなジャンルの音楽が流れてきた。

(今までに、あんなに何度も注意したのに……)

そんな時、こんな事を言いたくなりますよね。

「もー、何度も言っているでしょー。うるさいから音楽のボリューム下げなさいよ!!!」


プランA

なぜか私達は、文句の言い方を学ぶ能力はとても優れていて(笑)
腹が立つと、他の人を攻撃する言葉がどんどん出てきます。

「あなたの音楽のせいで、お母さんの頭痛が酷くなったわ。もうご飯作るのも無理。あなたが料理しなさいよ。」

「あなた、そんな風に音楽を聞いているから、ただでさえ良くない頭が働かなくて、成績が上がらないのよ。」

「マンションの隣の部屋の人から文句が来たらどうするの?あなたが自分で謝りに行きなさいよ。お母さんのせいじゃないんだから。
本当に、あなたなんか生まれてこなければ良かった。」

(あなたとお子さんとの関係にもよると思いますが)
子供は、こういう言い方で注意されると

「じゃあ、僕はご飯いらないからいいよ。」とか
「良くない頭は、お母さんからの遺伝だよ」とか
「僕だって、生まれたくて生まれてきたんじゃないよ。」とか

多分、あなたを傷つける様な言い方で返してくるでしょう。

彼らも、どうやったら言葉で人を傷つけられるのか
学校で教えられなくても、既に習得している!笑

(勿論、全ての子供が、この様に怒鳴ってくる訳ではありません。
子供によっては、「もう親とは話さない」とか、「家を出る」とかいう風に
静かに反応してくる事もあります。)

このやり方を『プランA』と呼びましょう。

プランB

では、子供にこんな言い方をするのはどうでしょう。

「ちょっとあなたの時間が空いたら、一緒に話したいんだけれど
都合がいい時に教えてくれる?」

そして、あなたとお子さん両方が落ち着いた心の状態がある時に

「夕方、お母さんがご飯を作っている時間帯に、家族全員が気持ちよく家で過ごせる様にみんなで協力するのが難しいみたいだけど、どうしちゃったのか教えてくれる?」

と、訊いてみる。

子供は多分
「勉強する時に音楽聴くと、はかどるんだよ」とか
「学校が終わって家でホッとする時に、大きな音で好きな音楽を聴きたいんだよ」とか
「イヤホンで聞くと頭が痛くなるんだよ」とか
色々子供なりの理由や考える事を教えてくれるでしょう。

(勿論、親子関係によっては「知らん」とか「もう協力しているよ」とか「話したくない」と言うお子さんもいると思います。
それはまた別の記事で取り上げます。)

お子さんの言いたい事を全部聞いたら、
あなたの困っている事を子供に聞いてもらう。

「お母さん、疲れている時に大音量の曲が流れてくると頭痛くなるんだよね」とか
「あなたが聞いている曲は、お母さんあまり好きじゃなくて楽しめないのよね」とか
「昨日、隣のおばさんが、時々音楽がこっちまで聞こえてくるから気をつけてって言われたのよね」とか。

あなたの心配事を全部聞いて貰ったら、子供に
「どんな解決策があると思う?」と訊いてみる。

子供なりにいろいろ考えて、アイデアを出してくれる事が多いです。
親にとっては???って感じの解決策もあるかもしれない。
例えば「大きい家を建てて、僕の部屋を台所から一番遠い所にする」とか(笑)

でもどんな解決策も、無視せずに書き出してみて下さい。
そして、あなたが考える解決策も書き出して、二人で話し合う。
その中であなたとお子さんが、これなら試せそうと言う案に合意して試してみる。

もしかすると、解決策は
「子供が、音楽を聴いて発散しているストレスの原因にアプローチする」ことにあるかもしれないし
「頭が痛くならないヘッドホンを買うこと」にあるかもしれない。
もしかすると
「子供もお母さんも二人とも好きな曲を流す」事かもしれないし、
「音楽を聴く時は、子供部屋のドアを閉め、他の防音の設備をつける」事かもしれない。

二人で選んだ解決法が上手くいかなければ、また話し合って次の策を考える。

このやり方は、最初の例「プランA」の、「怒鳴り合い」「傷つけ合い」になるケースとは、かなり感じが違いますよね。

この後者のやり方を「プランB」と呼びましょう。

プランAとBの違い

この二つのプランの一番の違いは

「プランA」では、たとえ子供がその日は静かにしても、また同じ行動を繰り返したり、「親が怖いから(または親を喜ばせるために)子供が行動を止める」となる可能性がある。
「プランB」では、親子双方が納得する解決策を見つけられる可能性が高い。

「プランA」では、親子関係が悪くなる可能性が高い。
「プランB」の方法は、親子の関係が良くなる可能性が高い。
子供は、自分の言う事を聞いて貰って理解してもらったと感じる(私たち誰もが、これ求めてますよね。)し、あなたも自分の言いたい事を聞いてもらえる。

更に「プランB」の良いところは、子供が自分で考えて、自分の意見を説明する能力を身につけられる。

この「プランB」の方法は、私の勧めている Collaborative & proactive solutions (CPS)の方法です。


「でも、これやるのって、時間がかかって大変そう」

よく聞く親御さんからの声は
「この方法は、すごく時間がかかりそうじゃない?
いちいち、そんな話し合いをしている時間なんかないわよ。」
というもの。

よーく分かります。
忙しい私達。
余分な時間も忍耐力もありませんよね。笑

でも、よく考えてみて下さい。
プランAを繰り返している事によって、
失われる時間のことを。
ダメージを受ける親子関係の事を。

(CPS を使うのは、最初は時間がかかりますが、
何度もこのやり方をやっていく事で
大人も子供も学んで、そんなに億劫なことでなくなります。
ただ、子供への問題提起の仕方には、いくつか気に留めておく必要がある事があるので、興味がある方は、こちらを参照下さい。)

https://note.com/nodanori/n/n87a601818194

もしもあなたが子供に注意する目的が、「自分のイライラを発散する」という目的であれば「プランB」は適当でないでしょうが、「プランA」も子供に言い返されたら、もっとイライラするから、適当でないかな。笑

もしも、子供への注意が、「子供を素晴らしい人間に育む」という目的ならば、あなたなら、どちらのプランを選びますか。

最後に

子育てに正解がある訳でありません。

それぞれの親が、本質的に大切なものは何か、を見失わず
今までやってきた子育ての方法にとらわれず、
効果的なやり方を試していく。

それによって、私達の次の世代がレジリエントで素晴らしい人間に育っていく。
同時に親も育っていく。

そんな世界になったら良いなと思います。


ニュージーランド在住で、総合診療科医、ライフコーチ、Havening technique ®️プラクティショナーなどをしています。

今日も長文を読んで頂き、ありがとうございました。

「親も育つ子育て」を広めるために、私の持っている知識、経験、資料をできるだけ無料で皆さんに届けたいと思っています。金銭的サポートが可能な方で、私の活動を応援していただける方は、サポートをしていただけると嬉しいです。