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「適応障害」と診断されたあなたへ

ニュージーランド在住で、総合診療科医、ライフコーチ、Havening technique ®️プラクティショナーなどをしています。

noteで皆さんの記事をよく読ませていただいています。
その中で、記事やプロファイルに
「適応障害と診断された」→ 「うつ病(又は双極性障害、不安症、PTSDなど)と診断された」→ 「薬を内服中」というパターンを時々見ます。

私の (ニュージーランドの) 患者さんの中にも、時々似たパターンを見かけます。

もちろん、「適応障害」と診断された後、回復していく人も多いと思いますが、そうならず色々な「精神疾患の病名に変えられていくこと」もあります。

私が思うに、もしもあなたが「適応障害」と診断される前には、全く(又はほとんど)問題がなく暮らしていたのであれば、多分あなたが「他の精神疾患の病名を付けられる前に」そこから抜け出せる可能性はとても高いと思います。
そして、早い段階で抜け出すことが一番の鍵だ、と思います。

(もちろん、どなたも早く抜け出したいと思っていらっしゃるでしょう。また、私がこの記事を読んでいらっしゃる「適応障害の方」を個々に知っている訳では無いので、この先は「そういう考え方があるんだ」という感じで、まず読んでみて下さい。

ご自分がこれから一歩進むのに役に立つのであれば、この考え方を使ってみて下さい。
「全く的外れだ」と思えば、そのままスルーしてください。
またはコメントをください。)


あなたは壊れていない 

まず覚えておいて欲しいのは「あなたは壊れていない」という事。
「適応障害」は、誰でもなる可能性があります。

それは、『現状況からあなたにもとめられている事と、あなたのスキルレベルがマッチしていない』ために起こる問題だからです。

「スキルレベル?」

そうです。
「適応障害」は厚生労働省のウェブサイトで、このように説明されています。

日常生活の中で起こった出来事や環境に対してうまく対処できず、心身に様々な症状が現れて社会生活に支障をきたす状態をいいます。ストレスの原因が明確であることが定義上重要となります。

厚生労働省のウェブサイト

つまり、明確にストレスの原因となる事が起こり、その結果のストレスが原因となって心身のバランスが崩れて社会生活に支障が生じたもの

例えば、新しい会社に就職し、サポートしてくれない同僚や上司に囲まれて長時間仕事をすることになったら。
「どうやってセルフケアや家族の時間の確保するか」
「どうやって怒鳴る上司に対応するか」
「どうやって自分の意見を周りの人に伝えるか」
「どうやってストレスを健康的に解消するか」
などは、スキルのいることです。

「適応障害」は
「離婚、身近な人の死、倒産」など、ネガティブなことだけでなく
「昇進、結婚」など、見た目はポジティブそうな事でも「起こります。

以前の記事に書いたように、
スキルレベルが低くても、周りからの要求が低ければ、問題なくやっていけるし、
スキルレベルが高くても、周りからの要求が高ければ、問題が起こり得ます。

でも、例えば「ブラック企業に入社し、残業ばかりで自分の時間もなく、同僚や上司からサポートがない」状況であれば、これにマッチするスキルレベルというのは途方もなく高いものになります。

正直、私はそんなスキルレベルが自分にあるとは思えません。
(多分ブラック企業に行ったら、私も「適応障害」になると思います。)

また、高いスキルレベルを目指して頑張ろうと思っても、スキルレベルは一日にして上がるものではないです。

それなので、もしも「環境からの要求レベル」の方をあなたが変えられれば、まずそれをする事が先決です。

例えば
「ブラック企業に雇用されていれば、転職を考える」
「結婚相手とうまくいかなければ、夫婦でカウンセリングをするとか、一時期、配偶者と離れて住む」

そして環境を変えるのが難しければ(例えば配偶者がなくなったとか)、自分のスキルレベルを上げることに力を入れる。
例えば
「カウンセリングやコーチングを受ける」とか。

「でもね。仕事を辞めたら、みんなに迷惑かかるし…」
「夫と別居したら、親戚がどんなこと言うか分からないし…」
と色々理由があって、行動を起こせない事がありますよね。

「行動を起こす」事自体がスキルの一つですから、なかなかそれができないと言う方もいらっしゃると思われます。
そうならば、一番敷居の低いと感じるものから、変えていってください。

何かを変えないと、そのまま深みに陥る可能性が高くなります。

「あなた 」= 「診断名」でない

「診断名」は、例えば「医師が証明書に休職の理由を書く時」とか「政府の経済的補助をもらう時」とかには、必要な事が多いと思います。
ある種の薬を処方するには「診断名」が必要な事もあります。

患者さんの中には「診断名」がつく事で
(あー、だから私はこんなに苦しい思いをしていたのだ)
と納得出来て、ほっとする。
そんな事もあります。

でも「診断名」も「診断基準」も人間が便宜的につけたものです。
例えば「高血圧」が「血圧140/90以上」とか、「糖尿病」は「HbA1cが6.5%以上」とかは、
「どの様な値の人が将来問題が起こる事が多いか、と言う研究・調査」から導き出した診断基準です。
「診断」は白黒に見えますが、「じゃあHbA1cが6.4%だから、大丈夫ね」ってことではありませんよね。

メンタルヘルスの「診断」は、「高血圧」や「糖尿病」以上に「白黒」がはっきりしません。
例えば「適応障害」の「変化に上手く対処できず」の「上手く」ってどういう事?

例えば、お酒飲んでストレス晴らしていても、ちゃんと仕事に行けていれば「上手く対処」している事になりますか。

だからこそ、「診断名自体にはとらわれない事」が大切だと私は思うのです。
私の患者さんの中には、「私はうつ病持ちだから」とか「私は複雑性PTSDだから」と言って、自分を病気で定義し、行き詰まっている人がたくさんいます。
その状況になると、その定義を証明する色々な証拠を無意識に探し、さらに確信していく傾向があります。

その悪循環を断ち切るには、本人がそのパターンに気づき、自分で変えていくことが必要です。

「適応障害」から別の「精神疾患の診断」に移行し、そこで長く行き詰まってしまうと言うのも一例ですが
とにかく、自分の効果的でないパターンに気づき、それを断ち切らないでいると、自分の欲しい人生を生きるための変化を起こすことが難しいです。

最後に

「適応障害」と診断されたら、できるだけ早く環境を変える、または自分のスキルレベルを上げることに集中してください。
(できるだけ早い段階で、ご自分の不調に気がつく事が重要です。)

「適応障害」は誰にでも起こりうる、『スキルレベルと環境のミスマッチ』です。あなたが壊れている訳ではありません。

もしも「環境も変えられないし、スキルレベルと言われても何のことかわからない。身動き取れない」と感じたら、まずカウンセリングに行かれることを勧めます。

医師もサポートしてくれると思いますが、日本の5分医療では、薬を処方されて深みに入っていくこともあります。(薬が役に立たないという事ではないです。)
少なくともカウンセリングを併用するのが、個人的には効果的だと思います。


今日も長文を読んで頂き、ありがとうございました。

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