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ウツのち休職、からの退職2



危ない。
前回のタイトル回収できてない。
全然退職してない。

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こんにちは!のがのです。
今回からはちゃんと、退職までの道のりを走り切ります。
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【 ハッピーパウダー 】

ハッピーパウダーとは、日本を代表するお煎餅、「ハッピーターン」にかかっている怪しい美味しい粉である。その怪しい美味しい粉が200%かかっている商品もあり、注意が必要だ。
何故あのお煎餅が人々を魅了してやまないのか。それはひとえに、あの怪しい美味しいヤバい粉に秘密があるのである。

【 断薬願い 】

私はウツなんかじゃない。だから、薬なんて効くはずがない。

休職開始当日、初めて精神科の薬を処方された。
眠剤、抗不安薬、抗うつ薬。

在職中からこっそり通っていたカウンセリングルームで、「病院に行ってみない…?数え役満で薬出ると思うけどなぁ」と言われて、
嫌だ嫌だ病気じゃないこれはただの甘えなんだ病院になんか行く必要は無い、と首をブンブン振っていた。前後にでは無い。
しかしこの度、職場からの通告で精神科を受診する運びとなり、数え役満で薬が出ました。数え役満という言葉を覚えた、32歳の秋でした。
とはいえ。私はウツじゃないので、効くはずがない。
ウツの薬なんて、何が入ってるかわかったもんじゃない。
怪しい白い粉ではないか。この薬に魅了されて、やめられなくなるんじゃないか。全部忘れて、謎のハッピーパーリーピーポーになってしまうのではないか。

先生にはとても迷惑をかけた。
治療するために来ている患者が、薬を飲みたくない、それはハッピーパウダーではないのかと言うのである。何のために来ているんだ。
それでも減薬を強く希望し、先生は渋々了承してくれた。
先生は知っていたんだと思う。減薬したらどうなるか。 
そして怖かったんだと思う。A4レポート用紙2枚にわたって
薬がどんなに危険か、断薬が難しくなる前にやめたい、ウツじゃないから、もうやめてもいいんじゃないか、とかいう嘆願書を渡してくる患者が。

【 シャンビリ 】

果たして数日後、私はほうぼうのていで病院にズルりと向かい、
く、薬…薬をぉ……!と先生にすがる羽目になった。

これは断薬による離脱症状ではないか、やっぱりハッピーパウダーなんじゃないのか、依存してしまうのではないか、と食い下がる私を先生は
今まであった症状がもとに戻っただけですよ。ニコ。
と優しくさとした。

断薬による体調不良には、名前があった。「シャンビリ」である。ネットで見つけて、私の症状にドンピシャだった。
文字通り、頭の中に「シャンシャンシャンシャン!!」という音が大音量で響き渡り、体がジンジンビリビリと痺れる。
体が熱い、プレスされるような頭痛、めまい、吐き気、ギリギリとした胃の痛み…うるさいうるさいうるさい!!
苦しすぎて起き上がれない。当時の日記を読み返すと
「苦しいなんて3文字では表しきれない。この苦しみを言い表す言葉がない」と書いてあった。

今まであった症状がもとに戻っただけですよ。ニコ。

んなわけあるかい。
しかし、薬を元に戻すことでしか、このシャンビリを消す方法は無かった。これは誠に遺憾で痛恨の極みで記憶にございませんで秘書が勝手にやった事だった。

【 ウツは心の風邪キャンペーン 】

これは本当に不思議なことなのだけれども、
頭痛薬とか解熱薬とか、中枢神経に効く咳止め、胃腸薬なんかは皆ほとんど抵抗なく飲んでいるのに
精神科の薬だけは違うのだ。本人の不安はもちろん、
加えて周りも
「それはハッピーパウダーなのではないか?」と訝しみ、ナゾの自然療法を勧めてきたりする。巷には「精神科の薬は飲むな!」的な本もあったりして、不安を煽りに煽ってくる。なんか魔法の壺を売りつけられるし、いつの間にか何かに入信していたりする。

政府が、「うつは心の風邪キャンペーン」を声高らかに張ったのはいつだったか。
おかげで抗うつ薬の売上がぐんぐん伸びたらしい。
それだけだ。
そして、「うつは誰でもなりうる病気ですよ」がいつしか、
「風邪なんだからすぐ治りますよ」に解釈されるようになった気がする。
ウツ病なんて性格の問題!頑張れ!努力しろ!筋トレしろ!性格に効く薬なんて麻薬と同じだ!働け!働け!働け!

日本では、今や2人にひとりが罹患する病気で、適した薬を見つけるのに時間がかかり、副作用に悩まされながら、何年も頑張ったのに、健闘むなしく死んでしまう事もある病をご存知ですか。

ウツは心のソレなのです。風邪なんかではないのです。
いやいや、生きたいか死にたいかには雲泥の差があるだろう?生きたい人に謝れ。なんて声が聞こえてくるようだけど、
ウツは、脳という臓器が誤作動を起こし、「死にたい」という症状を作り出す。そして健康だった頃の自分を忘れて、吊ってしまう、飛び降りてしまう。そんな恐ろしい病気であって、もともとは、生きたい人達と同じ人間だったのです。

なんて言えないから、部屋の隅でうずくまってただ死にたい死にたいと泣きながら、無心にハッピーターンをオーバードーズするのであった。

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真面目なことを書きすぎて恥ずかしくなってきたので
縁もたけなわでは御座いますが、これにてお開きとさせて頂きます。気をつけてお帰りください。

2024年4月  のがの






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