新たな人生

退院した翌日、家内が無事帰ってきた安堵感とこれまでの心労も重なり起床が遅くなりました。この日から家内の試行錯誤の生活が始まります。
お腹の痛みは取れず、想定外だったストーマ対応もあります。
少し動いては横になる、の繰り返しでした。

病院の急な呼び出しから二週間が経過しました。この時期、本来はリンパ節に転移があるかどうかを心配しているはずでした。
それが、命を繋ぐための開腹手術とストーマ創設で身体に相当な負荷をかけたとともに、院内での心ない対応で精神面のダメージも受けたこともあり、がんよりもこの心身状況からどうやって立て直していくのか、これからどう過ごしていくかが焦点でした。

お腹の痛みには鎮痛剤で抑えるものの、看護師の補助がないストーマのパウチ交換は初めてです。私に見られないよう別室でひとり苦闘して交換しているのを想像するだけで、切ない気持ちが込み上がってきます。
少しずつ健常に近づくことを祈るしかありませんでした。

一日一日が経過し、家内は生きていることを日々実感するようになりました。
朝日の光を浴びて朝食を取る、何気ないひと時を大切にしつつ…

退院してしばらくの間、ひとりでは3分も立つことが難しい状態でした。
リハビリして少しずつ歩けるようになりましたが、それでも周囲から目立つくらいの老人よりもゆっくりした歩き方でした。

この時、家内は痛さのあまり挫けそうな自分に対してこう言っていたそうです。

「甘えるな、歩け!」と。

また痛みだけではなく、めまいや立ちくらみも多くなりました。
病院に連絡したところ、運よく執刀医と話すことができました。状況を伝えたところ、翌日病院に来てくれないかと言われました。本来ならもう一週間先の4月に予約を入れていたのですが、前倒しで予約を変更しました。

病院での血液検査では腫瘍マーカー含めて異常は見られず、めまいの原因はわかりませんでした。
ただ嬉しいお知らせがありました。
腹腔鏡手術前から気になっていたリンパ節への転移がなかったということが、手術で切り取ったリンパ節の病理検査で確定したということでした。

ステージ2確定。

今後は抗がん剤処方もなく経過観察となったことは、私たちにとって朗報以外の何ものでもありませんでした。

しかし、今後転移・再発が起きないという保証はないです。そのため転移・再発を起こさないためだけではなく、直腸がん術後を考慮した食事療法を実践していきます。

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