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サイパンのロングステイ中に二重国籍について考えてみた

グリーンカード(米国永住権)保有者は1年以上、アメリカ国外に滞在すると、永住権を失ってしまいます。

「アメリカ国内の居住を希望しているから、永住権を申請した」わけですので、アメリカにいないのであれば、グリーンカードは必要ない、であろうとみなされるのです。

日本人がどれだけ国外に居ようと、日本国籍をはく奪されないように、アメリカ国籍を保有していれば、このような問題はないのですが、日本は二重国籍を現在でも認めていない、世界的にみて少数派、先進国においてはレアな国です。

日本と滞在国、両国にまたがって生活をしている人や、親の海外勤務中に生まれた子供たちにとっては、滞在国の国籍がない場合、出生国において、国籍保有者が持つ権利が尊重されないことばかりか、行政手続きが煩雑だったり、滞在先で出生した子供が日本の戸籍から抜けてしまう可能性があるなど、何かと苦労があるのです。

また、特に災害や有事等の非常時の場合、どの国であっても。自国民保護を優先するのは当たり前のことです。

国会議員や閣僚、幹部公務員は利益相反の恐れがありますので、個人的には二重国籍の保有には反対ですが、それ以外の日本人に対しては二重国籍を認めるべきだと思います。

特に、「国際化」、「グローバル」、「ボーダーレス」などという、言葉が飛び交っている一方で、多国間にまたがる生活がよりしやすくなり、権利が尊重される二重国籍を認めないというのも、なんだか矛盾している感じがしますし、二重国籍反対論者の主張の多くは、中長期にわたる海外生活を経験したことのない人たちの、鎖国主義やナショナリズムに基づく感情論ではなかろうかと感じる時があります。

また、日本の二重国籍を禁ずる法律はかつて日本に徴兵制度があった時代、「徴兵逃れ」を防ぐために制定された経緯があると聞きます。であるとすれば、こんにち、日本に徴兵制度はありませんので、この古びた法律を残す理由はないと思います。

一方で、「二重国籍は言わなければわからない」であるとか、「二重国籍は発覚しても罰則規定がないので問題はない」という意見もありますが、「わからなければ法律を守らなくてもよい」、であるとか、「罰則規定がなければ遵法する必要はない」という考え方は、法治国家の国民としては、いかがなものかと考えます。

わたしたちは法律によって、「制約をうけますが」、法律によって「守られている」ともいえるので、それらの意見は「自分にとって都合のよい法律だけ守ります」と言っているように聞こえます。

国籍問題に関わらず、今日の日本には外国人が多く居住しています。二重国籍に関しては、海外に住んだ事のない人たちの意見よりも、現状の法律に強く影響を受ける海外生活者の希望がより反映されることを望みます。

制度に関しては、諸外国に先進事例があるわけですから、先例をよく研究することにより、日本にあった二重国籍の制度化ができるのではないでしょうか。



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