先の「夢」に関連しているかもしれないが。

好きなことは続けられる。
でも、すぐに壁にぶつかる。

ヨノナカには「好きじゃないこと」が殆どを占めているからだ。
その間をすり抜けて生きていくのは不可能だ。

だから「嫌いなことは捨てて、好きなことだけやりなさい」なんて無責任なことは言えない。
口当たりの良い甘ったるいことは言いたくないから。

嫌いなこと、壁にぶつかってでも乗り越える覚悟があるのなら、好きなことをやりなさい。
そう言うだろう、僕は。

それは僕の人生経験の上で思うことだけども、それほどズレたことでもない、はずだ。

僕は「伝えること」が大好きだ。
この行為を愛していると言っても過言ではない。
いつだってそう生きてきた。

僕は数学が苦手だ。
高校生の時、数学が嫌いすぎて、また自分の腸の弱さもあるのだが、すっっっっっっっごくウンコしたくなる。
なので「すんませーん、ウンコ行ってきまーす」と授業を抜け出したものだ。
抜け出すじゃないな、実際にウンコしてたし。
何故かヤニくさい男子トイレで、ジャパニーズスタイルで。

でもまあ、社会に出たらそういうわけにもいかなくなるわけだ。

PC歴30年、Web歴23年。
ただし、23歳になるまではプログラミングはあまりやらなかったし、好きじゃなかった。
DTMが好きだったしね。

けどまあ、Webでメシをくおうと思った以上避けて通れない。
なので仕方なく勉強を始めた。

その勉強というのも実に地味である。
まずはHTMLの要素の勉強をするのだが、辞典を買ってノートに手書きで書き写す。ひたすらに。
幸い、英語はできるのでそれは思いの外、簡単にできた。

次にデザインだ。
これは今でも苦手な部類だ。
絵心なんか一つもない、所謂「画伯（）」だから。
じゃあどう解決するか。

数学、しかなかった。

黄金比だの白銀比だのフィボナッチ数列だの。
センスがないから、大嫌いな数学を仕方なく勉強した。
ただし腹を括って。
僕はパクチーが大の苦手だけども、ええい！ままよ！と貪り食う感じで。

そうしたら、まあ何とかなった。

その次はプログラミングだ。
僕は元来、怠け者である。
スポーツ専門の通信社に居た頃だ。
その時点では人並み以上にHTMLは書けるようになっていた。
ただし、非常に面倒くさい作業が待ち受けていた。

順位表作成。
こういう感じの。
参照：https://soccer.yahoo.co.jp/jleague/standings/j1
こんなの一々、手で打ち込みたくない。
これをJ1、J2、プレミアリーグ、セリエA、リーガ・エスパニョーラ、ブンデスリーガ、リーグAなどなど。
その上、これがサッカーだけではないという。

やってらんねえよ！
時間かかるし、そもそも手打ちすると間違えるし！
ああああああああ！めんどくせぇな、オイ！！

と発狂寸前だった。
いや、発狂していた。

だったらやってやろうじゃねえかよ、プログラミングで！！
という具合にPHPの勉強を始めた。
今となってはなんてことはないが、本当に作業と勉強、嫌々やっていた。
偶々、怠けグセの方が勝っただけだ。
そうやって表組みの自動生成プログラムを作った。

順位表はExcelファイルで送られてくる。
それを自分でCSVに変換する、これ自体はExcelで簡単にできる。
そのCSVをプログラムにぶち込んで、HTMLを出力させる。
あとはそれをコピペするだけ。
2時間かかった作業が1分以内でできる。
ああ、こりゃあ楽だ。

もう一つ。
その会社は業務の性格上、365日24時間回っていた。
原稿、まだっすか？
あ〜もうちょいかかるわ。
蕎麦屋の出前現象だ。
もうちょいが数時間かかる。
HTMLの骨格もできて、あとはテキストと写真を待つ状態。
会社は渋谷、家は台東区。
迫りくる終電。
タクシーならば5000円以上かかる。
僕はほぼ夜勤だったのだが、出社は14時くらい。
終電を逃したら山手線の始発を待たねばならない。
朝の5時前まで。
明日も仕事なのに。

ここで一計を案じた。

家でやれる環境を作ろう、じゃないとやってらんねえ。
寝る時間がねえ。
自宅のPCをサーバー化した。
そりゃあもう、死物狂いで。
そして「もう終電なんで帰りますわ〜。残りの作業は家でやりますんで、サーバーに諸々アップしたら連絡く〜ださい」と帰る。

今で言うリモートワーク。
それを2003年にやっていた。
時代を先どってたね、僕！

その後もタバコ会社に居た時。
動画サイトをやりましょう！YouTubeってのがあるのでそれを使いましょう！
会社上層部曰く「やるのはOK、でもYouTubeはダメ。あとサービスが止まるのもNGね」
じゃあ仕方ないか、外注に出そう。
見積もりを取ったら、いやいやそんなに出せないよという金額。

だったらやってやろうじゃねえかよ！！

簡単なサーバーは作った経験はあれど、かなりの難易度。
動画を配信するんだから、ネックは回線負荷。
当時は2006年、今みたいにクラウドサーバーを簡単に使えない時代。
ロードバランサー？そんな予算はない！
エッサホイサと4つの動画配信サーバーを作って、プログラム上で分散。

あとは「メールを送ったらその内容についての答えをメールで返信するシステム」を作ってくれという注文がありまして。
ニコニコ動画以前のニワンゴがそう言うサービスをやっていたので、話を持っていき「やりましょう！やりましょう！」となった上で…

「その会社、NG。株主が信用できない」

だったらやってやろうじゃねえかよ！！

作りました、自力で、そういうシステムを。
あのねえ、ディレクターですよ、僕。
しかも高校の数学はほぼ赤点ですよ。
何故にそんなことをしなきゃいけないのよ、プログラマーじゃないんだぞ！

でも、そんな壁が自分の意志とは関係なくひっきりなしに現れて、もう乗り越えるしか無い。
乗り越えて、乗り越えて、乗り越えていったら、Webの殆どができるようになった。
19年間、壁を乗り越えながら。
当然、将来にも数え切れないほどの壁が不意に現れるのだろうけども。

好きなことは続けられる。
実際そうかもしれないけども、相応の覚悟がいる。

PCのことは知ってたし、英語の専門学校に行った。
プログラミングは大体英語だから、なんとかなった。
これは本当に偶然だ。
プログラミング目的で英語を勉強したわけじゃないから。

年寄りの戯言と思うから、話半分で聞いてほしい。

壁から逃げたら、好きなことは死ぬぞ。