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前向きか後ろ向きか

前向き、後ろ向き、という日本語は
「物理的な方向」を指す言葉でもあり
「気持ちのベクトル」を表す言葉でもある。

5月に子宮内膜症(チョコレート嚢胞)の手術を決意してから3ヶ月。
仕事の都合なども考慮して、
9月の初旬に手術と入院の予約を取った。

病院の先生には「そんなに先でいいの?」という反応をされたけど、
もしもそれまでに自然妊娠したら手術せずに済む…という淡い期待もあって
やや強めに「9月でお願いします」と伝えた。

手術まで日はあるものの、準備は着々と進んでいった。
毎年の健康診断なんかより多めの血液を取り、
6月にはMRIを行った。
そういえば内膜症が分かった当初にも
手術を行う前提で話が進み、一度この流れを経験したな〜としみじみ思い出していた。

6月末の通院時に、MRIの結果が知らされた。
そこで「子宮後屈」という聞き馴染みのない言葉を聞いた。
持病があると、その病気にまつわる最低限の知識も持ち合わせておかないといけないから大変だなとつくづく感じる。

自宅に帰ってから調べてみると、
子宮は本来前に傾いてる「前屈」状態なのだけど、まれに「後屈」になることがあるらしい。
もともとその状態の人もいれば、
内膜症などの癒着が影響して後屈になってしまうこともあるということで、病院の先生の話だと私の場合は後者になるようだった。

子宮後屈が妊娠の妨げの一因になっている可能性もあり、かといって内膜症の手術をして後屈が治るというわけでもない(癒着している部分を無理に剥がすのもリスク)そうなのだけど、
いずれにせよ今は内膜症を治すことを優先しましょうという話になった。

その時点で、手術までに自然妊娠のタイミングを取れるのは残すところあと1回。(1周期)
少し焦る気持ちと、手術を受け入れようとする気持ち(正直なところ、まだまだ受け入れきれてなかった。笑)で半々だった。
夫にはあまりプレッシャーに感じてほしくなくて、なるべくいつも通りに過ごした(つもり)。

月日はあっという間に流れて、8月になり、
例の如く血祭り(我が家では生理のことをそう呼んでる)は皮肉なくらい規則正しくやってきた。

いまの職場のチームには既婚女性が多いので、特に業務に関わりのある人にだけ
「もしかしたら1週間ほど入院するかも知れないし、それまでに妊娠したら回避できる」と正直に伝えていたのだけど、いよいよ後者の可能性が途絶えてしまったので、お盆前にはチーム全体に休暇をもらうことをメールで伝えた。

内膜症の手術をおこなった直後は妊娠の可能性がいちばん高まるらしいので、次はそこへ期待を込めるしかない。
…そう考えて手術を前向きに捉えたい一方で、
やっぱり自分の身体に傷を加えるのだから不安な気持ちも大きい。

1週間病院のベッドで過ごすというのも初めての経験になる。
家事もしなくていいし、仕事からも強制的に解放される。
読めていなかった本も読めるし、簡単な手芸キットでも持ち込もうか…
これも必然的に与えられた休息期間と自分に言い聞かせて、いまはその貴重な期間になにをするか考えている。

手術関連の書類は、およそ1週間前の今になってやっとひと通り目を通す気になった。
その中の全身麻酔に関する資料を読んで、また不安になる。
そんな感情の行き来を感じながら、
あとはその日が来るのを待つだけと観念(?)している。

この記事も、いまの自分の気持ちを整理しておきたいと考えながらなかなか書くまで腰が重かったのだけど、
昨晩大学時代の先輩である塩谷舞さんの不妊治療にまつわるnoteを読んで、そのまますぐに自分もこの文章をしたためるに至った。

しおたんさんが書いている一文一文に頷きながら、
それに対して連ねたい思いもたくさんあるけれど、今回のところはこの辺で。

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