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インドネシアのハントゥたち

インドネシアのハントゥたち

視えないものの捉え方インドネシアは一万を優に超える島々があり、350もの民族が暮らす国だ。基本的にはムスリムが多い。けれど、イスラム教的な教えとともにその土地に深く根付いた文化の下暮らしている。

例えば、イスラム教には「幽霊」の概念がないらしい。イスラム教における怪異現象は、天使か悪魔か精霊によるものである。
だからこそ、『アラジン』では魔法のランプから出てきた何かが、幽霊でなく精霊(ジン)であ

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地続きだって知りたくて

地続きだって知りたくて

 地図を開く。いろいろな国があって、大きな大陸がある。日本の地図だから、真ん中に配置されているのが日本。その本州は、青森から山口までひとつながりになっている。果たして本当にそうなんだろうか? 小さいころからずっと不思議だった。

 山梨で生まれ育ったわたしは、地図を眺めては「ずっと歩き続ければ青森や山口に行けるし、途中には福島があったり京都があったりするんだなぁ。本当かな」と、ずっと思っていたのだ

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トイレのドアを眺めながら

トイレのドアを眺めながら

 突然だけれど、わたしはトイレという空間が好きだ。そんなことを言うと、人は汚いとか、意味わからないとか言ってくるけれど好きでまたらない。余談だけれど、次に風呂が落ち着く。最近よく読む椎名誠さんのエッセイ『風景進化論』にこんなことが書いてあった。

 みんな黙っているけれど、ひとにはたいてい一つ二つの記憶の中に「懐かしい便所の壁」というものがあるはずだ。

 なるほど。たしかにある。それは、壁ではな

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ずっと遠くに行きたかった

ずっと遠くに行きたかった

 幼い頃から、外を出歩くのが好きだった。いつも、ここではないどこかに行きたい気持ちだけが、起きている時間のうちの半分くらいは頭の中でぐるぐるしている。特定の場所に行きたいとか、今この瞬間から逃げ出したいとか、そういうわけではなく、ただ本当に純粋な気持ちで「ここではないどこかへ」と、思う。だから、移動を続けてここではないどこかに行けるような気持ちになる旅が好きだ。

 遠くに行きたい気持ち、旅行フリ

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