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体重計、持ってるだけじゃ痩せないね【三日以上続けば万々歳日記】

目覚ましが鳴ってから、一時間後にベッドから起き上がった。
くらくらしながら支度をして、どうにか仕事に間に合う電車に乗れた。
偉かったので今日は自分を褒めたい。しょうもないことだけれど、自分を褒めるハードルは低ければ低いほど良いと思っている。
だって、自分くらいしか自分のこと褒めたたえてくれないから。

一カ月前、元々太いくせにさらに太ってしまったので毎日体重をつけようと思い、お金がないのに体重計を買った。
Bluetoothで自動的に記録してくれるやつだ。FiNCという、体を管理するアプリの公式体重計。なかなかに面白い。体年齢や体脂肪率などを細かくみるのはおもしろい。体脂肪がすごいのはもちろんのこと、わたしは骨がめちゃくちゃ重いらしい。
でも体重計、やっぱり乗ってるだけじゃ痩せないね。一か月で二キロ太った。

学生のころ、同じように体重計を買ったことがあった。
当時付き合っていた恋人に「太ったね」と言われ、まだ乙女心を残していたわたしは痩せることを決意したのだ。
しかし結局、増えていく数字が面白くなって、水をたくさん飲んでから乗ってみたり、一日何も食べないでいてみたりした。体重計をおもちゃにしてしまったのだ。乙女というよりも、男子小学生だ。
結局遊んでいるうちに、日々アプリで管理していたことも相まって体重を増やすゲームのように感じてしまった。ハイスコア更新を目指したわたしは激太り(痩せるよりも太るほうがたやすくスコアを上げられた)。
激太りに頭を悩ませた私は、「乗らなければ増えるのを見ないので、体重が増えていないことと同じ」と思い量らなくなった。そのまま数年、乗らないからといって痩せるわけがなく今に至る。


わたしには、見なければ存在しないも同じ、という感覚がどうにもあるらしい。だからわたしは電気の請求書や自分に都合の悪いものを引き出しの中にしまう癖がある。
とてもよくないことで、大体は電話やメールや催促状がきて後悔するのだ。
後悔するのならばやらなければよいが、見えなくなった=存在しない、というわたしの中の不可解な方程式が働きよくやってしまう。
目の前から消えれば、それはわたしの世界から離脱してもう存在しなくなる。もしかしたら、そのまま魔法のように消えてなくなるかもしれない。記憶からも記録からも。毎回、そんな期待を反射的にしてしまう。

雨が、降ったり止んだりしているのを職場の窓からちらちら見ている。
下を歩く人の傘を見ていると、ビニール傘ばかりでつまらない。
そんなわたしも、傘をよくなくすのでビニール傘だ。いつか大切な傘を一本手に入れて、絶対なくさないという信念のもと雨の日はその傘とともに出かけたい。
傘を開くたびすてきだと思い、置いてある姿を遠くから見ても健気に雨を待っているかのように感じ愛おしさを覚えるだろう。
いつか、よい傘が欲しいものだ。

家に着くと、いつもよりも早起きをしたからか眠くてたまらない。
パンを食べてから、ベッドに寝転ぶと22時ごろまで寝てしまった。
友人からの電話の音で目覚めたのだけれど、それがなかったらきっと3時とかまで寝てしまい、寝れない夜の時間を持て余すところであった。危ない。

実は、1月にコロナに罹患したわたしは疲れるといまだに味がわからない。そういう日は、味がしないので食事の満足感が得られずに手あたり次第に色々なものを食べてしまう。
昼間、あんなにも体重のことを思っていたのに爆食。
こうして何事にも懲りず、喉元を過ぎれば熱さをなんとやらなので、日々の生活は常に己の失敗を模範し続けて生きている。
恐ろしいことだ。

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