「仕事道楽 新版-スタジオジブリの現場」を読んで

鈴木氏を中心とする、ジブリの現場を生きた人たちの物語である。何本かの映画を見ているかのようであった。読後に訪れたのは、途切れることのない羨望とやる気である。
ふと本屋で手に取った本であるが、本当に良かった。

以後の文章は、将来の自分に対するメモである。

・編集者型プロデューサー
1人の作家に作品をつくってもらうこと。作家が何かをつくろうとしたときに最初の読者になること。そのためにポイントとなるのは、作家が何か言ってきたときに相槌をどううつか。相槌をうまく打つには、その作家の教養の元を知っていて、自分も同様の教養を身に着ける必要がある。

・「ナウシカ」に対する高畑氏の考察
近年、「宗教」や「哲学」がかったものが作品の根底におかれていて、「愛」や「友情」を描く位しても、そうした宗教的なものや哲学的なものの照り返しが必要とされるようになってきた。またそれに加え観客は、「今まで見たことのないものが見たい」という欲求が強まっている。単なる異世界物というのではなく、「見たこともないもの」を見せるという点では、こんなに豊富な作品はないでしょう。

・企画は半径三メートル以内にいっぱい転がってる
ジブリで起きていることは東京でも起きている、東京でも起きていることは日本中でも起きている。日本中でも起きていることはたぶん、世界でも起きているだろう

・トトロの意義
トトロは普通のアイドルキャラクターではない。彼は所沢だけでなく、日本全国の身近な森や林にくまなくトトロを住まわせたのだ。トトロは全国の子供たちの心に住み着き、こどもたちは木々をみればトトロが潜んでいることを感ずる。こんなに素晴らしいことはめったにない。

・ミーティングのやり方
楽しい会にすること。若いメンバーを参加させること。全員に意見を言わせる。

・地図を描けるかどうか
プロデューサーの仕事で重要なことのひとつは見取り図を描くこと。物事を大きく把握し、進行状況を確かめるために、図で表示する。

・機能だけでは集団は維持できない
『十五少年漂流記』には完璧な少年はひとりもいない。だから十五人が力を合わせなくてはいけない。そこが面白い。組織づくりにおいてもそれが理想。それぞれが他人とは違った何かを持っていて、ひとりの落ちこぼれもリストラも出さない。そういう集団を現実にあてはめて作ることができないか、と。

・「道楽」
無理に何かになろうとしないで、そのときどきのことを楽しみ、その人が好きだからやる。

・生き方
人間の生き方にも二つあると思っています。目標をもってそれに到達するべく努力する。それは、簡単にできることではありません。もう一つは、目の前にあることをコツコツこなす中で、自分に向いていることを見つけていく。これが”生きる”という事だと思います。
その中では困難に出会うでしょうが、困難は楽しんだほうがいい。その時のコツは、困難を”他人事”とおもうこと。問題を客観的ににみると解決方法がみつかることがあるんです。

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