DJ満員電車【超短編小説】
ここはゴミ溜め
ココア涙目
へそで茶を沸かすバッカス
ぎゅうぎゅうで身動きも出来ない。電車遅延の影響でいつもはそれほど混まない時間帯の帰宅ラッシュ前の夕方、車内は人で溢れかえっていた。
部屋は掃き溜め
ヘアーは愛染
へそで茶を沸かすバッカス
会話はなく、圧迫し合う苛立ち、遠慮が充満し、それぞれが中吊りの広告を注視したり、瞑想するかのように目を閉じていた。
言いたいこと言い合える仲
痛いこと言い合え合える背中
hey ya hey ho
兵は 白虎
僕は虚空を見つめ車内を支配している音楽に耳を傾けることが避けられず不快を飛び越え悟りの境地に辿り着いたような心持になっていた。50代くらいに見える会社員風の男性のヘッドホンから音漏れしていた。彼はDJ満員電車。
へそで茶を沸かすバッカス
へそで茶を沸かすバッカス
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