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雪山登山2シーズン目の装備考察②ウェア

着込めば汗だく、止まれば寒い、風に吹かれて凍える、時には痛くもある。
そんな事になりがちな雪山でのウェア選びに関して、実際に使用しているウェアや登った山を紹介しながら運用状況などを書いていきます。

ハードシェル(上着)

最初の頃はレインウェアを携行し、ベースレイヤーの上にウインドシェルやフリースを羽織った状態で登っていましたが、環境による体感温度のムラが激しく、その都度着脱を繰り返してもなかなか快適な環境をキープできませんでした。
汗濡れが激しく、必ずシャツやフリースを着替える必要があったので、荷物も多かったです。

いくらゴアテックスでもハードシェルの方が通気性は悪いので、蒸れや汗冷え対策としてのハードシェル導入はあまり考えてはいませんでしたが、普段着として使用していたゴアテックスのコートが加水分解で水を弾かなくなったのを機に、登山用のハードシェルを買うことにしました。

私が買ったのはモンベルのダイナアクションパーカ(旧型)という、保温剤の入っていない薄手のハードシェルです。
氷点下のなか、5m先も見えない様な吹雪に見舞われてもしっかり身を守ってくれたので、中に着込む量で調整しやすい分使える機会が多いのは非常に便利で、雪山では必須の装備になりました。

いくら通気性が良い状態であっても気温が低ければ湿気は抜けずに汗冷えするだけで、ハードシェルで適度に熱気を逃さない状態にしてやった方が風にさらされなくとも湯気としてある程度排出される上に、濡れている部分に風が直接あたらないので汗冷えも起こりにくいと感じています。
論理的に整合性があるのかは分かりませんが、体感としては非常に快適でシャツを着替える事がほとんど無くなりました。

現在では、ベースレイヤーの上にハードシェルを着るのが基本で、寒ければ中にフリースを足すという感じで運用しています。

福井県の銀杏峰は雪原の稜線歩きが気持ちの良い山でした
風紋やエビの尻尾からも風の強い山の雰囲気が見てとれますが…この日も時折強風に見舞われてハードシェルのありがたみを感じました

パンツ

タイツと併用して私が雪山で履いているパンツを使い分けと共に紹介します。

・温暖でゲーターがいらない程度の積雪量であればビームスデザインのランニングパンツ(ペラペラでかなり薄い生地)。
・スネ程度までの積雪で気象条件がよければノースフェイスのバーブパンツ(撥水、防風、ストレッチ)。
・より厳しい環境ではミレーのティフォンタフパンツ(ハードシェルパンツ)。

撥水性があれば少々雪が降っていても問題なく、動きやすさ重視で最初はバーブパンツばかり履いていましたが…腰まで埋もれるほどの雪山ではさすがにいろんな箇所が濡れてきて冷たさを感じました。

タイツ次第で気温に対する耐性はかなり確保できると感じていますが、雨風や雪に対しては適切な機能性を持ったパンツでないと快適性を保つのは難しいと思います。
ティフォンタフはしっかり目の生地で過酷な環境でも安心感があり、大きく開くジッパーで通気性を高める事ができるので蒸れにも対処しやすいのが気に入っているポイントです。

気象条件の良い日を選んで山に行くのであれば、よほど積雪量が多くない限りは撥水、防風性のあるパンツで問題ないケースがほとんどだと思いますが、標高が高い山では天候が急に変わることもあります。
雪山登山を続けていくなら、吹雪や転倒に耐えられる丈夫さと活動時の蒸れ対策や動きやすさに配慮されたハードシェルパンツは持っていても無駄にならない装備だと思います。

兵庫県にある氷ノ山は積雪量が多く、本格的な雪山の雰囲気を楽しめます
美しい景色と裏腹に足が埋もれて歩くのが大変でした、幾度となく膝上まで踏み抜いたので撥水性だけでは耐えきれずズボンが濡れて寒かったです

インナー

私は結構汗をかきやすい体質だと思います、特に腰回りと上半身は顕著で下山時にドライな状態であることはまずありません。

上半身は、ドライレイヤーとしてミレーのドライナミックメッシュ、ベースレイヤーとしてモンベルのジオラインシャツ(長袖薄手)をメインにしています。
また、ワークマンのウールシャツモンベルのウールシャツ(薄手)を着替えとして携行していますが、行動時間が短い場合や斜度が緩やかなルートの場合にドライレイヤーなしで最初から着ることもあります。

歩き出したらすぐ暑くなるので、基本的にはベースレイヤーの上にハードシェルを着た状態で寒すぎなければそのままスタートしていますが、食事などで長めに停滞する時以外は寒くならずにオーバーヒートもしにくく快適です。

汗で濡れたシャツが肌に密着し、風にさらされる事で体温を奪い去っていきますが、ドライレイヤーは肌と衣類の密着を軽減してくれます。
とはいえ、ベースレイヤーがびしょ濡れの状態にまでなってしまうとさすがに汗冷えしますので、速乾性のあるジオラインシャツが有効だと考えています。
一方、ウールのシャツは適度な保温性があるので活動量が控えめなルートや下山時に着用すると快適に感じます。

下半身に関してはワークマンのウールパンツウールタイツ、BODY WILDの速乾軽量パンツ、モンベルの中厚手トレールタイツを使用しています。
ワークマンのウールパンツとウールタイツを使用することが殆どですが、活動量の多いルートでは速乾軽量パンツ、耐風性やサポート性能が欲しい時はトレールタイツを使用する事もあります。
また、夏のテント泊などで使っていた山と道のLight Alpha Tightsも雪山での使用はまだありませんが、今後アルプスなどのより環境の厳しい雪山に行く際の重ね着に良いのではないかと思っています。

岐阜県の貝月山は積雪量が多くても険しさは感じないので、気軽に雪山を堪能する事ができます
使われなくなった広いゲレンデを自由に歩けるので足跡だらけです、暑い日でしたがウールのタイツは蒸れずに快適でした

靴下

雪山でも保温剤の入っていない登山靴 LA SPORTIVAのエクイビリウムを使用していますが、モンベルのメリノウールアルパインソックス、FITSのヘビーエクスペディションブーツ、ダーンタフのヘビーウェイトフルクッションソックスの3つで今のところ問題なく運用できています。

ヘビーエクスペディションブーツは極厚で安心感があり、暖かく快適な履き心地が気に入っています。
他の2つも厚手なので十分雪山で使えますが、気温が低かったり積雪量が多い時には足の甲に貼るカイロを併用する事が多いです。

大阪と京都の県境にある深山は北摂地域で雪山歩きが楽しめる貴重な山です
雪が浅い山では、ヘビーウェイトフルクッションソックスが蒸れにくくホールドがしっかり目なので使いやすく感じています

中間着

主にモンベルのシャミースジャケットかSTATICのADRIFT HALF ZIP HOODYを着用しています。
停滞時の保温用にユニクロのウルトラライトダウンや無印のダウンベストを携行したり、より寒さが厳しい環境ではfinetrackのフリースジャケットやモンベルのウインドブラストジャケットを追加することもあります。

状況が読みにくい山ではついつい多めに服を持っていきますが、軽量コンパクトなフリースは負荷が少なく重宝します。
現状のラインナップでも十分快適ですが、ダウン系や追加のジャケット類はいずれパタゴニアのナノパフフーディーに置き換えようかと考えています。

京都の愛宕山は山頂に神社があり、初詣に際して登山のお守りを買いました
木も凍てつく様な寒い日でしたが…まだ衣類での体温調整が下手だったので上半身は全て着替えるほど汗をかきました

その他

ワークマンのウール製品はお気に入りで、ニット帽ネックウォーマーも使っています。
着け心地の良さと薄くて嵩張らない点が気に入っています。
また、ウインドプルーフイヤーウォーマーという耳までカバーするヘッドバンドも持っていますが、頭の部分が涼しく快適で最近はこちらとニット帽を使い分けています。

手袋はモンベルのシャミースフィンガーレスグローブ、ワークマンのユーロリブグローブ、ノースフェイスのイーチップグローブ防寒テムレスを使っています。
カメラやスマホの操作がしやすいので、シャミースフィンガーレスグローブを基本に上からイーチップグローブや防寒テムレスを重ねたりします。
ユーロリブグローブも防風撥水で意外と暖かいので単体でよく使っていますが、厳しい環境でなければ全然問題ありません。

ゲーターはモンベルのライトスパッツロングを使用していますが…これはアイゼンを引っ掛けると簡単に破れます。
雪が靴の中に入るのは防げて軽量コンパクトなので、歩きやすい登山道やチェーンスパイクで歩く時は快適ですが、どちらかと言えば雨に強いオールシーズン用のイメージです。
私も補修しながら使っていますが、雪山用にアイゼンガード付きのゲーターもいずれ購入するつもりです。

バラクラバはモンベルのクリマプレンフェイスバラクラバを使っています。
少々天候が悪い程度であればニット帽とネックウォーマー、ハードシェルのフードでも全然対応できますが、氷点下で吹雪に見舞われると流石に厳しくなってきます。
厚みがあって暖かく、口の位置にある空気穴で呼吸もしやすいこのバラクラバはピンチの時に不安を軽減してくれるので、強風が吹きがちな山に行く時はお守り感覚で携行しています。

福井県の荒島岳は険しい登りもあり、絶景と冒険感が楽しめました
上空を覆っていた雲に突入すると別世界の様な景色になり、山頂では5m先も見えないほどの吹雪に見舞われました…私はバラクラバのおかげでしっかり顔をガードできましたが、帽子やネックウォーマーで登っていた同行者はかなり痛がっていました

まとめ

登山ウェアは種類も多く、値段もピンキリな印象です。
求める特性と合致したものを揃えるのが重要だと思いますので、危機に陥らない様にしっかりリスクをケアできる範囲でいろんな山に行きながら自分に合ったウェアを揃えていくのが良いのではないでしょうか。

個人的にはワークマンの製品が気軽に試せる値段で性能も十分なので、かなり増えました。
そしてハードシェル大事!!
末端も冷えない様にちゃんと保護すれば雪山が身近になります。
冬はなかなか山に足が向かない人やウェア選びに迷っている人の参考材料として、雪山の情緒ある景色を楽しんで頂く一助になれば幸いです。


2024年2月


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