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6歳のバレンタインデー

昔からなぜか、お菓子作りというものが特別苦手だった。
ドーナツを作ってばくだん岩ができあがる実力。料理は感覚的にできるし楽しいし、結構好きなのになぁ。お菓子は哀しいほどにダメ。

そんなワケでバレンタインも嫌いだった。
片思いの人にチョコを作ったりあげたりしたこともない。だいたいバレンタインってなんなわけ、とか言いながら、やりすごしてきた人生。

だけど、あれはお正月に新年の壁かけカレンダーを飾ったときのこと。
息子がまず一目散に3月をめくり、14日のところにペンでぐるぐると印をつけて、力強く「ホワイトデー」と書き込んだのだった。

ときどき一緒に見ている「あたしんち」の影響なのだと思う。
ゆずぴにチョコをあげたい川島が、バレンタインだのホワイトデーだのとやっていた回をなぜだか息子は気に入って、何度も見てたから。

「ホワイトデーには何がほしい?ほしいもの、考えといてね」
「ママにチョコを、100コ買ってあげるからね」

あの日から突然、我が家でホワイトデーが一大イベントと化した。

チョコをもらう日よりも、自分が何かしてあげられる日のほうを楽しみにしているのが、やさしい息子らしいところ。

どっちかっていうと世間でも忘れられがちなホワイトデー。
それがまさかね。年始からこんなに盛り上がってる家、ほかにあるでしょうか。

それから2か月。

「ママの、いちばん好きな色はなに?」
「ママが好きなお菓子ってなに?あのー、たとえばクッキーとか、ケーキとか」

おお、、、明らかにホワイトデーを意識した質問が日々飛んでくる。

でも、その前にまず、バレンタインがあるじゃあないか!

こんなにホワイトデーを楽しみにしている息子。
バレンタインをスルーするわけにはいかない。

せっかくだしなにか作ってあげたいけれど、なにがいいかなぁと考えた。
こんなことできるのもあと何年かと思えば、お菓子作りは苦手だからとか言ってられない気がしてくる。
とりあえず、ベストを尽くすしかない!!

案の定、現場では数々の事件が起きつつ
チョコケーキを焼く

恥を忍んで書くけれど。
40にしてはじめて、チョコのテンパリングってやつをやった。
生まれてはじめて、チョコペンも買った。

チョコペンって、あれだね。湯煎でしっかり溶かさないと、すぐ固まるね。
っていう、小学女児レベルの新発見を添えて。

人よりだいぶ遅めな初体験が色々とあった。
いままでどうやって生きてたんだろうか。
まさかこれでお菓子本の編集もしてただなんて、口が裂けても言えないよ。


すべては息子のために。
不器用な母の精一杯の愛情です。
君がいま大好きなスライム(のつもり)の、ミニケーキ。本日のデザートにお納めください。

スラ…イム…??

「ママ!これっ!ホワイトデーはまだだけど、きょうのバレンタインのお返し!!まずは一回目ね。これとこれと、これあげる!!」

憧れの「お返し」に沸き立つ息子、早くも盛り上がりを見せております。笑
ずっとピュアでやさしい君でいておくれ。

じゃ、ホワイトデー、楽しみにしてます。。

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