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子どもにモテる魔法!〜パパのマジック10原則〜(15)了

あとがき

「人をびっくりさせるマジシャンになります!」
 地元小学校の卒業式。毎年、卒業生がひとりづつ将来の夢を発表する儀式かあります。2016年度の卒業生は124人。順番に将来の夢を発表してから卒業証書を受け取ります。すごいと思ったのは彼ら彼女らのほとんどが、職業名だけを言うのではなくて、どんな人になるのかという人格や他人への影響も含めて発表すること。
「ファンタスティックなプレーで観客を魅了するサッカー選手になります」「人をめっちゃ楽しませるユーチューバーになります」「患者さんに安心してもらえる看護師になります」。中には職業名を言う必要のない子もいました。「誰にでも優しく接しられる大人になります」。
 それだけでも感動いっぱいの卒業式ですが、僕がさらに感動したこと。それは様々な職業、そしてどんな大人になりたいかの発表の中に「マジシャンになりたい」と発表した子が4人もいたことです!
 この卒業式が行われたのは僕がPTA会長として来賓席に座らせていただいていた年でした。その年、僕は様々な行事で小学生たちの前で話をしたり、出し物(マジック)をする機会が多かったのです。さらに、毎朝小学校の校門前に立って、登校する児童たちに挨拶をしていました。
 ある朝、僕に買ったばかりのバイシクルライダーバックを見せて「和田さん、ダブルリフトできる?」って聞いてくれた男子。バイシクルライダーバックとは世界のカジノで使わていてマジシャンのほとんどが使っているブランドトランプ、ダブルリフトとはトランプマジックの技の名前です。
 その数ヶ月後に「人をびっくりさせるマジシャンになります!」と卒業式で発表したのは彼でした。
 マジシャンが目標の子が4人いたことが、自分の影響と考えるのは自意識過剰かもしれません。しかし僕がPTA会長を務めていた2016年は、特にマジックブームもなくテレビでマジックが大きく取り上げられることもなく、マジシャンのスターが登場した年でもなかったのです。
「ダブルリフトできる?」という彼の質問への僕はこう答えました。「それはヒミツです」。だって、マジシャンの技はいつもヒミツなんですから。彼はその答えに納得して校門をくぐりました。
 彼のマジシャンへの夢が自分だけの影響とは思いません。でも、少しは彼の後押しをする力にはなったんじゃないか、とすごく嬉しかったです。それが一方的な誤解でもかまわない。マジシャンになりたい子がいるだけで嬉しい。
 16年前の「ばんごはんたべさしたるわ」と、4年前の「マジシャンになります!」。ひとりの幼児と4人の小学6年生の言葉がマジックパパとしての活動をつづける原動力であり、この本を書き上げる動機でした。パパのマジックを楽しんでくれてありがとう。

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