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同期がいない君たちに、大人ができること(東奥日報を読んで想うこと)

 学校の同級生とは、ちょっと違う。仕事で仲良くなった人たちとも、かなり違う。不思議な存在、同期入社。昔は大量にいたらしいけど、今は若者がそもそも減っているんだから、おたくの新入社員、あなたの同期入社、何人いますか?
 ロスト・ジェネレーション世代の私たちって、大きい会社でも営業所に新人は一人だったとか、そもそも新入社員は一人だったとか。同期がいない彼らの気持ち、なんとなく分かるんですよね。


新入社員職業訓練「アカデミー」開校へ(2023/10/1東奥日報)

 「志望者が減り続け、人手不足が深刻化する建設関連業界」。うんうん、建設業界に関わらずだけど、人手不足はどこも深刻。頼みの綱の外国人の方々ですら、日本を見限るという話も。記事は「若手人材確保や早期離職防止に向け...」と続く。
 そうなんですよね。そもそも新卒(いや、中途もだけどさ)が取れなくて困ってるのに、そのうえ、せっかく入社してくれた若手が、しかも優秀な社員から「びっくり退職」していくという...まさに負のスパイラルに陥っている企業のなんと多いことか。

(地域の、複数企業の)新入社員を対象にした短期職業訓練施設,開校

 「西北五地区の建設関連業者でつくる五所川原職業訓練協会(白戸新一会長)は来春、新入社員を対象にした2カ月間限定の短期職業訓練施設 青森テクノアカデミーを五所川原市に開校する」。
 ナナメ読みすると、「ああ、新入社員教育する施設ねえ、普通だよね」と読み飛ばしそうになりますが、「西北五地区」のってとこがキモなんじゃないかなと。※西北五地区がちょっとマイナーなんだけど、西津軽郡、北津軽郡、五所川原の頭文字を取った地区で、決して西と北の5地区のことではないという…
 あ、脱線しましたが、地元企業が集まって新入社員教育をするよ、というのがこの取り組みのポイントなんじゃないかと。

職人気質の暗黙知、その前段階の形式知

 「職人は『背中で覚えろ』と指導されてきた人が多く、しっかりとした指導を新人にできない人もいる」。厳しいコメントだけど、そのとおり。もちろん、勘と経験って、どこの業界でも大事で「ちゃんと先輩のやること見て覚えろ」は絶対あると思う。暗黙知は形式知化しよう!と口で言うのは簡単だけど、職人の勘と経験が文字化できるわけがない(あ、動画だったらイケるのか...)。
 ただ、その前の、なんていうか最低限のことって、形式知化できるよね?新入社員には、せめてこれくらいは覚えて欲しいってこと。でも、新入社員が定期的に入ってこない会社って、新人教育マニュアルもなければ、ジェネレーションギャップもあるでしょう?そこの部分をまとめて面倒見てくれるって、いいよね。
※暗黙知と形式知については、野中郁次郎先生のSECIモデルをググろう!

増えれば増えるほどいいものってなーんだ?

 ごめん、なんかいっぱいありそうだけど、ここで言えばネットワーク外部性。記事で言うところの「多くの企業が参加すれば業界全体の労働環境の改善も期待できる」。ネットワーク外部性=みんな使ってるから便利=例えばLINEとかインスタ、ってことです。だからこの事業は、地元企業を巻き込めば巻き込むほど便利になっていくという仕組みです。

同期がいない君たちに、大人ができること。

 でもでも、恐らくきっと一番期待している効果は「地元で働きたいと思う若者が少しずつでも増え、地域の活性化につながれば」。これだよね。
 冒頭のびっくり退職だけど、上司や同僚が当該人物とコミュニケーションをちゃんと取れていれば、離職を防げたり、少なくともびっくりしないわけで。その時の一番のキーパーソンは、同期ってやつだと思うんだよね。
 たとえその会社に同期がいなくても、地域を見渡せば、気兼ねなく話せる同期がいっぱいいる。まだまだオレ(ワタシ)、ここで頑張れる。そういうことを狙っているのかなと思います。
 記事では「同様の取り組みは東北以外では10カ所ほどで実施されている」とあるけれど、それって「地域の人事部」のことかな。この取り組み、好きです私。これからもっともっと大事になる。それは...

 学校の同級生には仕事のことは何だか言いづらいし、仕事で仲良くなった人ってちょっと年齢差もあったりするし。自分と同じような状況で、分かり合える同期。たとえ御社に、職場に同期がいなくても、地域を見渡せば、分かりあえる同期がたくさんいる。そういう状況を作ってあげることが大人ができる最大の応援だって、この人たちは気付いたんだろうな。そんなことを想って、スマホを閉じました。おしまい。

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