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恋をしている

誰にかって?

チェーザレ・ボルジアにですよ。

この男をふたたびこの世に生かし、そして死なせたかった――。
誰よりも若く、美しく、そして冷酷だった男の青春。塩野文学初期の傑作。毎日出版文化賞受賞。

十五世紀末イタリア。群立する都市国家を統一し、自らの王国とする野望を抱いた一人の若者がいた。その名はチェーザレ・ボルジア。法王の庶子として教会勢力を操り、政略結婚によって得たフランス王の援助を背景に、ヨーロッパを騒乱の渦に巻き込んだ。目的のためなら手段を選ばず、ルネサンス期を生き急ぐように駆け抜けた青春は、いかなる結末をみたのか。塩野文学初期の傑作。

七生姉さまも、惚れてらっしゃるなー。
「この男をふたたびこの世に生かし、そして死なせたいなんて。
恋の極みじゃござんせんか。

(/o\)


男は見た。猛々しく繊細で、力強く美しい一人の権力者をーー。男の名はマキャヴェッリ。極限の統治技術を説いた稀代の毒書「君主論」を著した男。そうして、彼にこの本を書かしめた権力者はチェーザレ・ボルジア。16世紀。イタリア統一を夢見、ときに残虐にも見える方法で次々と版図を広げた男ーー。現代も生きるリーダーシップ論。権力と統治の方法を喝破した永遠の名著を完全まんが化。

力強く美しく、おまけに若く、それでいて冷酷なCool Beauty、チェーザレさまにぞっこんなのです。
( *´艸`)



相手は500年以上前の御方、

しかもその生涯はたったの31年。

妄想が膨らまないはずがない。
現代日本人の、織田信長や坂本龍馬と同じように。
しかもこのマンガのチェーザレさまがかっこよくてイメージが固定されてしまった。
絶対、黒が基調で、ロン毛オールバックに違いない。
背も高く、騎馬により余分な贅肉もついていないはず。
そしてその漆黒の瞳は、自分の行く道のみを見つめている。
(うわー「信長の野望」のビジュアルみたいだわ…髭がないだけで)


こうなると現世に生きる男は目じゃなくなるのです。残念ながら。
自分の理想を好きなだけ投影し続けられるから。
しかしこういう男は自分の野望にのみ情熱を傾けていて、女には目もくれないってのも相場が決まっている。泣


恋は認知症ですら劇的に改善させるらしいですね。その相手が今の現実世界の誰かでなくてもよしとしましょう。忍笑


さてさて今日も、愛しのチェーザレさまに会いにいこうか。
「君主論」を書くため毎夜、”かつての官服に袖を通し、古の宮廷に参上”したマキアヴェッリのように。

自分を裏切った部下たちを一網打尽にしたシニガリア事件、同時代人の歴史学者パオロ・ジョーヴィオをして「華麗なる裏切り」と言わしめた事件、
痺れるくらい素敵。


この後、とあることをきっかけとしてあれよあれよという間に没落していってしまうのだが…
それもまた。
夭折した人は、想像力を刺激してやまない。

もしこの人がもうあと数十年生きていたとしたら、その後の世界は如何に変わったのだろうか。
実際には、イタリア統一が成るのは19世紀を待たねばならない。万が一チェーザレがこのルネサンスの時代に統一できたとしても、彼が死んだら瓦解して、再び都市国家が乱立する時代に戻っていくような気がするなー。

そんなことを考えながら、また彼の生涯をなぞる。
きっと私も、彼をこの世に何度も生かし、死なせているひとりなのだろう。




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