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背中を押した友

「Hチャンに話を聞いて貰う!」
半ば興奮気味に母は言う。

自分の主張が通らないと、必ず母をも知る私の友だちに、自分の意見が間違っていないかを聞いて貰いたいと言って来る。

(えぇ、どうぞ。多分あなたの意見は通らないよ。と私は心の中で呟く)
母と一緒に居ると、私の精神はやられる。
自分の思いだけを振りかざす。
あなたはひとりでも生きて行ける、あなたのわがままには付き合えない。
これは私の出した結果である。

この半年間、私は私なりに努力と我慢をした。あなたに寄り添おうとした。
だが…あなたは誰かに依存してしか生きて行けない。
あなたはあなた、私は私であるはずなのに。
あなたは私に私を失くせと言う。
それはあなたが私を養っているから…。その思いがあるから。

共依存、早く自分で立ちなさい。
依存されると、私が壊れる。
そう言っても母は理解出来ない。何回お願いしても、切れるだけ。

Hは私と同い年、今彼女も娘との間で問題を抱えている。

私と母との関係が彼女にとってもデジャブに感じるという。
娘が私の立場、彼女は私の母の立場。
ただし彼女の娘は自立を果たしたから、母親との生活を解消する。

うちよりも一歩も二歩も進んでいるのである。

「次はあなたの番だよ」
彼女はそう言って、私の背中を押した。

息子にもずっと同じことを言われていたが、私の決心がつかず、うだうだしていた。
甘えていた。

いつまでも同じではいられない。
60歳は生まれ替わる年。
辛かろうが、キツかろうが、やり過ごせればいいのか。

変われ変われ、自分よ変われ…




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