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かまってちゃん

母がまだこの世にいた頃は

私も少し余裕があったようだった

でも唐突にいなくなり

私は自分を支えることで精一杯

自分すら支えられなくなっていた

わがまま息子もかまってちゃん

そして彼女もかまってちゃん

私には無理、無理無理無理

そんなに背負える力はない

今までは彼女の言うことをうんうんと聞けたけど
もう聞ける訳はない

わたしのこころはここにあらず

わがまま息子は良く言った
「ばあちゃん死んで、落ち込んでいるのはお母さんだけじゃない」

いくら息子がばあちゃんっ子だからといっても
そこは親じゃない
私の方が苦しくて、かなしくて、つらいことは分かるはず
そう思っているのはわたしだけか

所詮他人事

まだ親のわたしは生きている

息子だけでも手を焼いているところ
彼女も私に言って来る

「いつまでも泣くな」
「早く立ち上がれ」

さすがにそれは受け入れられない

多分ね、「わたしのことをかまってよ」
って言いたかったんだろうな

友だちの彼女、いつも仲良くしていたはずなのに 
ある時から歯車が狂う

でもわたしはあなたのことはかまえない
泣くなと言われても
自然と涙が出てきて
止まらない

人に「泣くな」と言えるくらい彼女は強いんだろうと思ったから

「あなたは強いから」と
わたしは彼女の前でその言葉が口をついて出た

そうしたら直ぐに
「わたしは強くない」ってピシャリ

あなたはわたしにかまって欲しくて
わたしと仲良くしていたのね
そう孤独だから

それからは態度が急に変わり

「あなたとは今は話をしたくない」と捨て台詞を残して立ち去る

わたしは訳も分からずにただ呆然
何、何、なにこれ…

これも神様のところで起こったこと

偶然はない

母がいなくなっただけでも苦しいのに

わたしに何を背負えというの

とりあえず会った時には
こっちから「こんにちわ」と声をかける

でも変な顔をされた

わたしは大丈夫
あとは知らん顔

本当は気分が悪い

これが試練というものなのか
めんどくさい
人間関係

かまってちゃんは息子だけで十分

それからわたしは彼女を避けるようになる

近寄らない
そばに来たら逃げる

帰り際、声をかけたい人のそばに彼女がいる

その人には声をかけ
黙って立ち去る

その瞬間
彼女から「またね」と声を掛けられる

わたしは冷ややかに
「はぁ」と彼女をみる

こころとは裏腹に
一瞬ニコッとしたのかもしれないが

それっていいことなのか
自問自答
仮面を被っていないだろうか
たまにやる八方美人

もう彼女のそばには近寄らないと決めた

以前のようにはなれないとわかったから

わたしは変わった
時がわたしを変えてくれた

孤独に耐えるのは自分しかない
孤独を他のもので紛らわさない

その時、わたしの修行はひとつ終わった


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