見出し画像

"忘れられない思い出"は夏に集約されている気がする

バレないよう足を運んだ地元の祭り、高校三年生最後の大会、二人だけの線香花火、缶ビール一本なんでもない話をひたすらに話す公園でのオール、花火大会に行かずに冷房をガンガンに掛けながら食べるガリガリ君の味、何もない日常のその人たちだけの時間。

夏は魔物だ、と思う。もう二度と取り戻せない想い出は夏に集約されている、気がする。春や秋、冬は季節によってやることが決まってしまっていて何処か味気ないけれど夏はみんな楽しんでいてそれぞれの夏がそこにはあるんだなって。

少しずつ長い時間をかけて傷をつけるというよりかは、一瞬で奥底まで傷(それは想い出とも言えるかもしれない)をつけてすぐに去っていく人のように。

朝起きたら鬱陶しいくらいギンギンに晴れていて蝉は鳴き、生物が呼吸して、空気は靄がかかって揺れている。熱中症アラームや、道行く人の扇風機、真っ青な空にゆったりとした雲。長かった太陽が落ち、月がハッキリと顔を出すと空気全体が何処か寂しさを含む奥ゆかしさを感じる。

"本当はあんなに暑くなりたくないんだ、暑い人が嫌いな人は夜だけでも楽しんで"そんな風に言ってるような二面性がズルいんだ。

"夏くらい眠らなくていい"と言った人、どうかずっとそのままで居てほしい。冷たい風が頬にあたる帰り道、もう隣には居ない曲を時々口ずさんでしまうことを許してほしい。いつまでも夏のエンドロールを見て見ぬふりをして僕たちは日々を進む。

サポートしてくれると嬉しいです