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自分の感情だからこそ、度し難い

度し難い…言い聞かせて、わからせようがない。救いようがない。

暖かいコーヒーを相棒に、夜の道を車が走っている。
車の中にはBGMも何もなく、私はじっと、車のライトが照らす方向だけを見ていた。

ほんのちょっとしたことで、仕事をミスしてしまった。
目的地なんてどこにもなくて、どこに行ってもいいのか分からないまま、私はアクセルを踏み続ける。

落ち込むといつも私は「ここにいる意味」について考えてしまう。
誰かが私を必要だよと言ってくれても、たったひとりの「お前などいらない」が私の体をすべて支配していく。

そのたったひとりは、この私だ。

私がいらないのは、私自身なんだとわかっている。
ネガティブをささやくのも、すべて私だ。
でも私は、自分の暴走を、止められないままでいる。
まるでこの車みたいだ。
どこに行くかもわからないのに、アクセルを踏む足を離すこともできない。

自分の感情だろう、自分のことだろう。
他人はどうにもならなくても、自分のことならなんとかなるはずなのに、どうにもならない無力感がある。

なんて度し難いのだろう、と思う。

他人を変えようとしているわけではない、自分の手の届かない範囲のことをどうにかしたいわけでもない。

たったひとり、一番近くにいる人間、自分の気持ちをどうにかしたいだけなのに。

それがどうにもできなくて、私はこうして夜道を走っている。

自己啓発本? スピリチュアル?

死ぬほど読んだ。
いろんなこともやってきた。

それでもこの生きづらさが軽減されることはない。

繊細さん、なんて言葉が最近はよく聞かれるようになった。
きっと苦しんでいる人はたくさんいる。

みんなきっとそうなんだ、自分の気持ちだからこそ「自分の努力でどうにかなる範囲」だからこそ、苦しいんだ。

いつか、この苦しさの夜を抜けたら。
私は、アクセルから足を離すことができたら。

綺麗な朝焼けが見られるのかもしれないなんて、期待を、赤から青に変わる信号を見ながら思ったりした。


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