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失敗も悩みも赤裸々にブランド経営の学びを書き続ける。Minimal - Bean to Bar Chocolate - (ミニマル)チョコレート代表 山下貴嗣さん#noteクリエイターファイル

noteで活躍するクリエイターを紹介する #noteクリエイターファイル 。今回は、自社工房でカカオ豆から板チョコレートをつくる Minimal - Bean to Bar Chocolate -代表の山下貴嗣さんに、Nサロン特別編として公開インタビューを行いました。

“最小限”の素材であるカカオ豆本来の味わいと香りを生かしたBean to Bar Chocolateを提供する専門店『Minimal』。Bean to Bar とは、カカオ豆からチョコレートバーになるまでの製造を全て行うこと。Minimalは、世界中のカカオ農園を訪ね、良質なカカオ豆を厳選し、こだわりの製法で、これまでにない新しいチョコレート体験を届けてくれます。

Bean to Bar Chocolateの先駆者として、業界やメディアから注目を浴びているのがMinimal代表の山下貴嗣さん。30歳のころ、勤めていた大手コンサル会社を辞めて、未経験からチョコレートの世界に飛び込みました。「チョコレートを、新しくする。」をビジョンに掲げ、2014年にMinimalを創業。5年目となる現在、都内に5店舗2工房を展開しています。

noteでは、壮大なビジョンを実現すべく日々奮闘する山下さんのリアルな経営の学びを共有してくれています。

時間と空間の制約を超えて自分の考えを伝えることができるnote

山下さんが本格的にnoteを始めたのは2019年1月。ブランドを立ち上げて3年間は、社長である山下さん個人は積極的に表に立つことなく、広告等による発信よりも、とことんプロダクトを突き詰めていくことに専念したそう。

「僕らは2100年にチョコレートをカカオ豆や産地で選ぶことが当たり前になる、そういう文化をつくりたいと思っています。僕は勝手に“Bean to Barの文明開化”を起こしたいと思っているんですけれど。だから、短期的な個人の人格よりも、プロダクトにファンをつけることを徹底しました」

ターゲットを明確に定め、チョコレートの質を高めることにこだわった結果、独自の物語が生まれ、広告を打たなくても3年間で1500以上の媒体で取り上げられるように。届けたい人たちへプロダクトの認知が広がっていきました。

3年が経ち、プロダクトを通じたブランドとしての人格が出来つつあった頃、山下さんは個人で発信することを決意します。

「少しずつ関わる人が増えていって、ブランドが体現するものと創業者である僕自身とが必ずしも重ならなくなってきました。僕自身がMinimalをどう捉えているのか、ブランドの作り手の一人として、熱量高く語りたいと思ったのが始まりです」

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2018年1月にTwitterを、5月にnoteを始めた山下さん。でも、最初は“心が折れた”と話します。

「経営会議でも僕自身が発信することを宣言したんですけど、noteを2本くらい書いた段階で、発信する意味がわからなくなっちゃったんですよ。自分が思っていることをわざわざ言う必要なくない?って」

そんな山下さんが2019年1月から月1〜2回ペースで発信を続けるようになったその理由は?

「再開したのは、経営会議で宣言した手前、何もしていない自分がかっこ悪いなと思ったからでした。でも書き始めたら、noteを通じて、自分なりに発信する意味が見出せるようになったんです。当初は、不特定多数の人に一方的に発信することに苦手意識があったんですが、noteを書くと必ず反応があって、noteを読んでお店に来てくださる人もいて。決して一方通行ではなかった。時間と空間の制約を超えて、より多くの人に自分の考えを伝えることができている実感値がありますね」

素直に、自分が書きたいことを楽しんで書く

山下さんはMinimalを育てる経営者の視点で、ブランドの思想から商品開発ストーリー、ビジネスノウハウまで、幅広くnoteを書いています。ネタ集めから執筆まで、書き続けるために意識していることはあるのでしょうか。

「Minimalの経営をする中で、気づいたことはなんでもすぐにメモするようにしています。題名だけの下書きがたくさんありますね。ビジネスの川上から川下までやっているのでネタが枯渇することはないんです。文章は一気に書きたいので、夜に5~6時間かけて書いて、朝7時半頃に投稿しています」

続けるために何より大事なことは、自分が書きたい内容を本心で書くこと。

「秘訣やノウハウは関係なく、noteは熱量を持って、自分の好きなことや自分が本当に思っていることを書けばいいんだと思います。僕はやりだすとこだわってしまう質で、ちゃんとしたことを書かなきゃと初めは肩肘張っていましたが、今は単純に書くことを楽しめています。続けられるのは、シンプルなデザイン設計や運営方針、周りで楽しんで書いている人たち、つまりnoteのおかげです」

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山下さんが書く楽しみを知った特に思い入れのある記事は、noteを再開したときに書いたこちら。

「自分がなんとか4〜5年ブランドをやってきた中で一番心が動いた瞬間のことを書いてみました。自分がやっていることの価値を再認識して、視界が開けたときのエピソードです。でも、自分の素直な思いと赤裸々な経験を書いたので、公開するのが怖くて1日置いているんですよ。本音で語っていいのかな?って身構えてたんですが、公開したら、多くの人が反応してくれて、吹っ切れましたね」

この記事をきっかけに、わかりやすい言葉、飾らない本音でブランド経営の学びを共有してくれる山下さんのnoteのスタイルが生まれたのです。

新しい世界へ向かう、仲間づくりのための発信

会社の代表として半ば義務的に書き始めたnoteはいつしか、山下さん個人の習慣となっていました。

「今は義務という意識は全くなくて、『何かあったらnoteに書こう』という頭になっていますね。ブランドとしては書けないことも、山下個人であれば、失敗も悩みも全部赤裸々に書けるわけで。結果的に、一緒に働く人たちやお客さんが読んでくれて、Minimalにとってもいい影響があったら最高ですよね。だから、noteはこれからも素直に書き続けたいです」

Minimalは山下さん個人のWEB上での発信の他にも、『Minimal JOURNAL』というA3見開きの冊子を毎月発行したり、対面でのワークショップを週2回のペースで開催したりしています。

「WEB上で不特定多数の人たちに思想を伝えつつも、オフラインのイベントで対面によって深いコミュニケーションを重ねることも重要だと思っています。僕らは、アナログなものに美しさを感じていることもあって、紙という限られたスペースで自分たちがやっていることを表現する冊子もつくっていて。

様々な方向から積極的に発信するのは、仲間づくりでもあるんです。僕らは大量生産大量消費に限界を感じているから、Minimalのチョコレートを通じて、生産者と製造者と消費者が“三方良し”な関係性をつくっていきたいんです」

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Minimalのチョコレートは、安価な単なる甘い“おやつ”でもなく、ブランドを楽しむ“高級品”でもなく、ライフスタイルを彩る“嗜好品”。大量生産のための効率的な分業ではなく、自然の営みに寄り添い、人間の五感や手をつかって一つ一つ丁寧につくられるチョコレートは、私たちのライフスタイル、その先にある社会に、問いを投げかけてくれるようにも思います。

山下さんのnoteで、Minimalのチョコレートで、“新しいチョコレートの世界”を体験してみてほしいです。


■クリエイターファイル
山下貴嗣_Minimalチョコレート

脱サラしてコンサル業界から未経験でチョコレート業界へ。「Minimal -Bean to Bar Chocolate-(ミニマル)」代表。1年のうち4カ月程度は赤道直下に買付に。noteではリアルなブランド経営の学びをお届けします。Twitterは@taka_minimal
note:@yamashita0902

interview & photo by 平野太一/ text by 徳瑠里香 


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