2023年8月21日(月) 91日目
よーこの話をする。よーこは私の高校時代からの友人の友人だ。馴れ馴れしくよーこと呼んでいるが面識はない。友人の中学時代の同級生で現在は疎遠になっているらしいよーこのことを、しかし友人と私は４０歳を過ぎた今でもたびたび語り続けている。

語り続けているといっても、私がよーこについて知っていることは２つしかない。よーこのお母さんは毎朝よーこを部屋まで起こしにいくが、よーこはいつも起きない。起こしにいく。起きない。起こしにいく。起きない。起こしにいく。起きない。毎朝毎朝果てしなくその攻防戦がくり広げられた結果、ついにお母さんは「なんであんたはそんなに起きないのっ！！！」と絶叫し、号泣しながら大激怒したというアットホームで心あたたまるエピソードがまず１つ。

もう１つ。北海道釧路市の真冬の朝。氷点下のなかを登校し教室に入ってきたよーこは開口一番「あ、スカートはいてくるの忘れちゃった」とぺろーんと言ってのけ、友人をふくめたクラスメートの多くに爆笑と驚愕と震撼を残したまま帰宅し、無事にスカートをはいて何事もなかったように再び登校した。思春期の女子が制服のスカートをはき忘れて登校するという暴挙について｢コートを着ていたから気づかなかった｣と、これまた人体と防寒に圧倒的な可能性を見出だす理由をかましたという。

友人からよーこのエピソードを聞いたとき、にわかには信じがたい反面うらやましくも感じた。よーこ。なんてマイペースでフリーダムでアグレッシヴな女。私もこのくらい破天荒かつエンターテイメントでありたいものだと憧れの感情すら芽生えた。

月日は流れ、ついに私は今朝、憧れのよーこに一歩近づいた。ズボンをはかずに仕事へ行った。正確に言うと、ズボンを忘れてレギンスのみで。仕事のまえにランニングをしようとしたのだ。勤め先の駐車場で車から降りるタイミングで気づいたので、誰に見られることも知られることもなく、よーこのように周囲へ盛大にインフルエンスすることも叶わず、ひとり静かに落胆してそそくさと帰宅。誰にも語り継いでもらえないので自分で白状した。ん、地味すぎる。マイペースでフリーダムでアグレッシヴなエンターテイメントへの道のりは遥かに遠い。

ショッピングセンターコース ２周
２，３８㎞/１５分４２秒

91日目。無事終了。
おつかれさまでした。
今夜も無事に櫻井さん。感謝。

＊＊＊＊＊