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ボロニア

原作  中村ひろし

尾張国清州城に織田信長の愛刀、圧し切り長谷部を盗みに入った伊賀を抜け忍したばかりの盗っ人、石川五右衛門がいた。

盗っ人とは家、そんじょそこらの盗っ人とは訳が違う……
伊賀の頭領、百地三太夫の弟子である彼は最強の忍であり抜け忍となった五右衛門は最強の盗っ人といえよう。


石川五右衛門『天下人の城ちゅうだけあって警備にゃあ歯ごたえあるが五右衛門様にかかりゃあ御茶の子さいさいよ笑』

江『おじちゃん誰?』

石川五右衛門『は!……何だちんちくりんの餓鬼じゃねーか、焦って損したぜ!』

江『ガキじゃないもーん』

初『どこにいるの江?』

江『お初姉様、、ここに……』

石川五右衛門は咄嗟に江の口を塞ぐ

石川五右衛門『何しやがるこの餓鬼ゃあ!バレるじゃ……は!!』

茶々『そなたは誰ぞ?』

石川五右衛門はあまりにも美しい茶々の姿に
ひと目惚れした……
伊賀の田舎では見掛けない絶世の美女がそこにいたのである。

石川五右衛門『……は?!ワ、ワ、ワシか?ワシはな天下の大泥棒になる石川五右衛門様じゃ!』

茶々『そんな盗っ人様がここに何のようかしら?』

石川五右衛門『ワシは天下の名刀、圧し切り長谷部を盗みに来たんじゃ!……来たんじゃが……気が変わった!ワシはお前が好きになった!お前を盗むことにする!』

茶々『あら……物騒な……
盗んでみれるなら盗んでみなさい。
私はそんな安い女じゃなくてよ笑』

石川五右衛門『抜かせ!』

初『だれか!曲者よ!』

羽柴秀吉『ワシの娘に何しとるんだーてー!』

石川五右衛門『くっ、糞っ!邪魔が入りやがった!……おい、娘!おまえ名前は?』

茶々『浅井長政とお市の娘、茶々じゃ!
お前呼ばりは許さぬぞ!』

石川五右衛門『くぅ〜強気じゃな〜!益々盗みとうなったわ! このワシが必ず盗んでやるからな!』

茶々『ほほほっ笑 楽しみにしとりまするぞ笑』


五助『旦那あ〜猿の軍勢が信長呼びやがった!早く逃げようよお〜』

霧隠才蔵『かー!はぁ……情けねーな!で、兄者、収穫は?』

石川五右衛門『ねえ!』

霧隠才蔵『ないっ?』

才蔵『ないって!明日からどうやって食って行くんですかい?!』

石川五右衛門『るせぇ!もっと良い宝見つけたからいいんじゃ!』

五助『それってもしかしてさっき旦那鼻の下伸ばしてた……』

石川五右衛門恥ずかしがる

才蔵『はぁ〜?天下の大泥棒になるって男が女に鼻の下伸ばしてたって言うんですかい!か〜!兄者も丸くなったもんじゃの笑』

石川五右衛門『馬鹿野郎!ただの女じゃねーよ!』

五助『ひゅーひゅー』

霧隠才蔵『兄者……顔赤いですぜ』

石川五右衛門『るっせぇ!』


数年後、秀吉が天下人となった僅か数年後に関ヶ原の合戦が起き、豊臣恩顧の大名らは次々に粛清されて行ったが……

1615年遂に豊臣家は天下人に近い男、徳川家康に拠点、大坂城を攻められるまでに至っていた。

そんな大坂城で最後の戦いが始まろうとしてる中、真田信繁が控える真田丸の隅にいるのは、、なんと、秀吉すら騙す変化の術で処刑を逃れた天下の大泥棒 石川五右衛門と
今や真田十勇士として大活躍している天才忍者、霧隠才蔵と武器商人となった五助であった……

石川五右衛門『茶々……ワシが盗みに来てやったぞ……』

五助『あ〜、漸く旦那にも春がくるんでやんすね〜』

霧隠才蔵『俺はてっきりもう、諦めて先年、秀吉の奴に切られたオトセさんが旦那と一緒になるって思ってやしたが……』

五助『才蔵のア•二•キ!旦那の恋心をわかってないでやんすね〜 旦那はずっと茶々様一筋でやんすよ〜ね〜旦那あ』

石川五右衛門『る、るせぇ!』

恥ずかしくて下を向いたり後ろを向いたりして急に同様する五右衛門

霧隠才蔵『かー!熱いね!お熱いね!兄者!』

石川五右衛門『ワシは好いた女子かっさらいに来ただけじゃ!
茶々、盗んだら出雲にでも雲隠れするつもりじゃ』

五助『天下の大泥棒が女子と駆け落ちって……ふぇっふぇっふぇっ笑』

石川五右衛門『るせぇ!るせぇぞ!五助!』

天王寺徳川本陣
徳川家康『まだ、降伏せぬか……やむえん!正純!カルバリン砲を大坂城天守に放て!』


本多正純『は!?しかし、千姫様の身柄は?』

徳川家康『致し方あるまい、これは賭けじゃが奴らにとってお千は人質、攻撃されそうな場所には匿うことはあるまい』

天海『流石にござりまする大御所!』

本多正純『さすれば!大筒を用意致せ!』


家臣『は!』

徳川家康『標的は前面天守!……放て!!』


ドン‼️

ガッシャン!ガラガラ

女中『キャーー!』

大蔵卿局『淀様!こちらへ!』

淀『五右衛門、、、早う盗みに来い……』

豊臣秀頼『やはり儂が撃ってでるしかあるまい!真田!後藤!ワシが参るぞ!』

淀の方『ならん!秀頼!戦いは大将が討ち取られたら終わりじゃ!大将は後ろにドンと構えてるもんじゃ!』

真田『しかし、お方様、この戦いは大将秀頼様がご出馬されれば勝てる戦にございますれば……』

淀の方『ええい!口説い!真田!貴様も人かどの武将なればその武力てこの戦い終わらせつみよ!』

真田、後藤『ぐぬぬ……』

真田、後藤が去っていく

秀頼、悔しながら去るが挙動不審な母、淀を怪しく思い物陰から淀の同行を観察する。

淀の方『大蔵卿……』

大蔵卿『は!……おい!こそ泥、出てきてよいぞよ』

石川五右衛門『天下の大泥棒にこそ泥ったぁそれはねぇんじゃねえかい?婆!』

大蔵卿『ば、ババア?! フン!』

怒って去る

石川五右衛門『盗みに来たぜ……茶々!』

淀の方『……遅いわ!』

石川五右衛門『茶々、、残念だが秀頼のことは諦めい……奴は落ちぶれても天下人の子……最後まで抵抗するつもりじゃ』


淀の方『………大蔵卿……私は』

大蔵卿『あとは任せて早うその盗っ人と逃げなされ……』

淀の方『大蔵卿さらばじゃ……』

豊臣秀頼『母上!豊臣を裏切るおつもりか?!』

石川五右衛門『ガキにゃあわかんねーだろーよ! 惚れた女を迎えに来ただけよ!』

豊臣秀頼『豊臣家を裏切ることは許さぬ
真田、後藤、長宗我部、毛利、明石、あのコソ泥を捕えよ!油で煮る殺してやる』

才蔵『おー!怖っ!可愛い顔して言ってること親父と一緒の事言ってやがる…』

五助『……猿の息子ってことでヤンスね💦』

後藤又兵衛『お方様から離れろ!』

真田信繁『才蔵!貴様!この裏切りものが!』

才蔵『真田の旦那!おりゃあ〜鼻っからアンタの部下になったつもりはないですよ!
儂は天下の大泥棒、石川五右衛門の最強の相棒ですから!』

五助『と、最強の商人!五助でい!フェっフェっ』



真田、後藤と五右衛門、五助、才蔵が戦うが

真田『所詮は忍びか!才蔵!』

霧隠才蔵『さすがは真田の旦那じゃ、儂じゃ歯がたたねぇか……』

石川五右衛門が背をみせたすきに真田が、、

石川五右衛門『ちゃ、茶々!、おい、なんてことを…茶々!茶々!』

五右衛門、淀の方を抱き抱える

淀の方『五右衛門…だ、いじょうぶ、か、え、、、』

石川五右衛門泣く
『うわぁあああー』

石川五右衛門の背中を豊臣秀頼が刺す

豊臣秀頼『儂を裏切る母上も貴様も皆んな死ねば良いんじゃ!はははっ!』

死んだと思っていた霧隠才蔵が豊臣秀頼を刺して、大坂城の奈落に一緒に落ちる…

霧隠才蔵『兄者……あっちでも地獄一の泥棒やろうぜ…先行って待ってる……』

五助『才蔵のアニキーー!』

真田信繁『ふん!』
後藤と共に去る

石川五右衛門『茶々、、やっと、、一緒になれるな、、、茶々、、、』

石川五右衛門、茶々にもたれかかり絶命する……

炎上する大坂城…


天王寺 徳川本陣

五助『徳川様、この堺の商人、五助、財産投げ打って仕えまする故、真田を倒してくだせぇ!』

徳川家康『……関ヶ原で儂についてくれた忍じゃったお主があの大泥棒の……其方の気持ちは汲んでやるわい…』

徳川家康『真田は今何処に?』

本多正純『大御所、既に道明寺にて討たれたそうでございまする』

徳川家康『そうか……』

五助、自分の首を小刀で斬り死ぬ

徳川家康『五助?五助!!………そうか、
五右衛門のところへ行ったか…』


赤い空、赤い血に染まる池や大地…が一面に広がる……ここは地獄…

五助『待って!待ってくだせぇよ旦那あ〜』

石川五右衛門『おせぇ!おせぇぞ!五助!』

霧隠才蔵『おめぇも伊賀もんなら早よこい!』

五助『へへへっ笑』

石川五右衛門の肩を叩く茶々

茶々『今度は私も大泥棒の…ね…』



石川五右衛門『応…』



                          完


















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