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焙煎豆の“追い焙煎(焼き直し)”について

たーーーいへんご無沙汰しております(土下座

前回記事投稿から1年と約2ヶ月。
身の回りの環境変化や色々あってなかなか記事を書く気になれず、ようやっと戻ってまいりました。

もちろん、その間もコーヒーに関する研鑽は自分なりに積んでおりましたのでご安心頂ければ🙇‍♂️

さて、某オープンチャットでお世話になっている僕ですが、それなりに片手鍋焙煎をやっていることを売り出しているので、焙煎に関するご質問を頂く事もあります。
その中で『あ、結構気になってる人いるんだなぁ』という内容を今回の記事にまとめてみました。

焙煎失敗時のリカバリー

過去の記事をご参照頂けると分かると思いますが自家焙煎において、それも焙煎に慣れるまで失敗はつきものです。
そんな中で手の施しようがないくらいの大失敗(黒コゲなど)は別として、浅煎り、中煎りなどで失敗した場合、焙煎度によっては“追い焙煎(焼き直し)”をすることでそれなりに美味しく飲めるようになったりします。

そもそも追い焙煎とは?

やることは簡単。
『一度焙煎された豆を再度火にかけて焙煎する』だけです。

例えば、浅煎りに挑戦してみたものの、しばらくエイジングをしても嫌な渋みやエグみ、青臭さが残ってしまいどう頑張っても美味しく飲めないコーヒーになってしまった場合、そのまま捨てるのはあまりにも勿体ない。
どうせ美味しくないし、捨てるつもりならダメ元で焼き直してみましょう。

追い焙煎が可能な豆とその理由

ここで大事なのは“追い焙煎が出来る豆であるかどうか“です。
一概に『この条件で無ければダメ』とは言い切れませんが、僕が今まで試した限りで追い焙煎可能な条件とは“2ハゼに入っていない焙煎度の豆であること”になります。
焙煎度を細かく8段階(ライト~イタリアンまで)で表現するならば“ハイローストが限界“と言ったところでしょうか。

追い焙煎の目的として“美味しく飲めない豆をどうにか飲めるようにする”ということが前提になります。
コーヒーの焙煎では焙煎中に“1ハゼ”と“2ハゼ”という大きな山場を二度迎えることになりますが、特に“2ハゼ”に関してはその有無で浅煎りの部類か深煎りの部類かに大きく分けられます。

この浅煎りと深煎りの条件の違いは”コーヒー豆に残された体力(HP)と耐久力の差“と捉えることが出来ます。

1ハゼが鳴った程度(浅煎り)ではまだ豆に余裕があり、追い焙煎に耐える体力(HP)と耐久力(2ハゼ)が残っているので、戦地(焙煎)に放り込んでもまだまだ活躍が期待できます。

ところが、2ハゼが鳴った後の豆に関しては残されていた体力も耐久力も既に使い果たしている状態なので、もはや瀕死と言っても過言ではありません。そんな状態で戦地に放り込んでも、そこから先の活躍は見込めません。

要するに浅煎りはともかく、“深煎りの豆は追い焙煎をしても美味しくなる余力(伸びしろ)がほとんど無い”ということです。

それゆえに焙煎の過程として、まだ2ハゼを残しているハイローストの豆が追い焙煎可能な焙煎度の限界となるわけです。

追い焙煎のやり方とコツ

毎度のことながら前置きが長くなりましたが、ここからが本番です。
では実際、追い焙煎はどのようになるかをお話していきましょう。

①焙煎開始時の注意

まず焙煎の火力やセッティングは通常時の焙煎と同じで問題ありません。
一番の違いは投入する生豆がすでに一度焙煎済みの豆であるという事。
すなわち“豆に含まれている水分が圧倒的に少ない”という事です。
本来、生豆に含まれる水分のおかげで鍋(焙煎機)を予熱しておいても序盤は豆が焦げず、水分の熱伝導の力を使って生豆の芯まで熱が入っていきますが、既に焼いた豆ではそれが見込めません。

それゆえに、予熱で熱くなった所に焙煎豆を放り込むと水分による熱の吸収や気化熱の作用が働かないために、豆の触れる場所(鍋底やドラム肌)が過加熱状態になり、撹拌が弱い場合はその接触部分が焦げやすくなります。
撹拌に自信のある場合は予熱をしてもかまいませんが、安全性を取るのであれば焙煎豆を投入してから火を点ける事をお勧めします。

②焙煎中の状態

では焙煎中はどのようになるか…ですが、ここでも基本的な所作は普段通りで問題ありません。
ただ、追い焙煎中の豆は違います。
豆に水分の無い状態でスタートすることにより、水が熱を奪う作用がほとんど影響しなくなるため、思っているよりもあっさりと豆の温度は上昇していきます。おおよそ1ハゼ到達の温度までは通常の半分くらいの時間でしょうか。

ただ、忘れてはいけないのは今焙煎している豆は『既に1ハゼを終えている豆である』という事。

では温度上昇の果てはどうなるのか?

安心してください。
履いてますy…
普段2ハゼが鳴る温度帯まで上がれば、ちゃんと2ハゼが鳴ります。

あとは任意のタイミングで煎り止めて冷却すれば“追い焙煎による深煎りコーヒー”の完成になります。

ごく少量の焼き直し。

まとめ

いかがでしょうか?
そんなに難しいこともなかったかと思います。
ただ基本的な焙煎に関する知識や経験がないと、なかなか追い焙煎という行為自体がどうなるのか想像が付きにくいと思います。

これさえ覚えてしまえば、難しいとされる浅煎り焙煎に臆することなく挑戦し、失敗することが出来るようになるのではないでしょうか?
また、買ったりもらったりした豆が皆さんのお口に合わなかった場合でも、浅煎りであれば追い焙煎をして美味しく飲むことが出来ると思います。

…え?

味は通常の焙煎とどう違うのか…って?

浅煎りならどんな豆でも追い焙煎出来るのか…って?

アディショナルタイム

ここからは個人的な意見や評価になるので、あくまで参考程度に軽い気持ちでお付き合いください。

まず味についてですが、やはり普通に深煎りにした豆と比べれば多少劣るように思います。
なぜなら通常焙煎の様に『狙った味になるようにアプローチ出来ていないから』と言ったところでしょうか。
とは言え、煎りたてであることには変わりないので古くなって劣化した豆に比べれば雲泥の差で美味しく飲めます。
どうにも飲めない浅煎り豆を無理やり飲んだり捨てる事を考えれば…ねぇ?

あと僕個人の実体験ですが、約1か月半ほどキャニスターに入れて常温保存した焙煎失敗の浅煎り豆(不味いうえに経時劣化した状態)を焼き直しましたが、あら不思議!
そんなことを感じさせないくらい美味しく飲めたので驚きましたw

あと、追い焙煎後の保存に関しては、やはりなんとなーくですが劣化は早いような気がします。(気のせいかもしれません)
なので、追い焙煎した豆はなるべく早めに飲み切ってあげる方が吉だと思います。

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