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一種のドラッグ、多国籍遠距離恋愛。 ①

ドラッグ。

1度始めたら、自分の力では止められなくなる。

よく言われるのが、「白いのだけはやるな。」この意味は想像に任せるとしよう。近ごろ、有名人の逮捕がワイドショーを賑わしている。本当に蔓延しているんだな、と怖くなる。

2月、フィリピン。田舎の語学学校の小汚いルーフトップで初めてその人に出会った。アルコールがだいぶ入った仲間たちが、ゲラゲラと笑いながら世間話をしているなか、その人は白い帽子を深めに被り、ちびちびと弱めのお酒を飲んでいた。

その語学学校は、少人数制で先生たちとの交流も密だった。みんなでご飯を食べに行ったり、お酒を飲んだりもした。先生含め全員が一コマ目に二日酔いで出席したこともあった。

本当に濃密で、日本にいたら自力では到底作り出せない環境下で毎日を過ごす日々。座学では絶対に学べない経験や文化がそこにはあった。そのなかには、間違いなく、その人と過ごした時間も入っていた。

始まりがあれば、終わりも見えてくる。徐々に時間は過ぎていき、それと同時にその人の帰国日が近づいていた。彼女は韓国に帰る予定だ。

「遠距離恋愛。しかもお互い第二言語の英語。無理だ、できない。」

私はそう思った。

ルーフトップから見た星空が、今までに見たことないぐらい美しく、悲しかった。


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