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初音未来媛命、祓祝詞を謡ふ

出来ました!

 ということでリニューアル版『祓祝詞』(はらひのりと)完成です!
 いや~思ったよりも苦労しました。そもそも旧バージョンが当時としては奇跡的にうまく作れてしまったものですから、そこからアップデートするとなるとハードルが高くて。でも自分自身、大好きで非常に気に入っている楽曲なので絶対に良いものにしたくて。最後まであきらめず細部に渡ってこだわりぬいた結果、大満足な一曲に仕上がりました!

 しかし『祓祝詞』に最初にメロディが付いた時は正直「これはアリなんだろうか?」と疑問に思ったのを覚えています。だって御神名のところは延々と似たようなメロディの繰り返し。最後もさほど盛り上がることもなく、わりとあっさり終わるわけで。最初は全然「いい曲が出来たぜ~!」って感じではありませんでした。それが伴奏を付けたことで化けてくれて。脳内自作ランキングで常にトップクラスであり続けることに。分からないものです。

細かくオケを見ていきますと

 まずは冒頭の鈴三連。これは最後の最後に加えました。動画と合わせた時に最初に少し溜めが欲しくなりまして。ただ前奏もそれなりにボリュームがあるので短く簡単なものがよいだろうとこんな形に。前奏はじめの篳篥の三連符の先触れみたいなイメージですね。

 次は前奏。これはリニューアル版『祓詞』のものを少しアレンジしました。まったく同じなのは負けな気がするのでちょこっとだけ変えて。ハモリメロディも追加。これは前奏の別メロバージョンを試しに作って重ねたら合う感じなので修正して使用。本編のハモリコーラスの伏線的な意味もあります。オケは鈴、ドラム、琴×2、爪弾きギター、途中からバイオリンも加え、楽器をたくさん使って厚くして。

 本編に入るとオケはドラムと爪弾きギターと琴のみと薄い構成に。そこから鈴、琴、バイオリンが段々と参加していく展開。さらに「いづのめの神」のところからは笛も加わります(ARIA PlayerのKnotweed Flute。日本語訳は不明。尺八じゃないのは確かなんだけど)。最後のサビでは笛から変わってストリングスが曲を盛り上げます。サビの入りからは琴も強調的な演奏に。
 そしてサビのラスト直前「畏み畏みも」のところは一時的に鈴とドラムと琴(×1)を抜いてオケを薄くし歌が強調されるように。後奏は前奏とほぼ同じ。

 全体を見ると旧バージョンより楽器が増えて音は厚くなっているものの、そんなに極端に増やしてはいません。旧バージョンを踏襲しつつちょこっと豪華にした程度ですね。
 当初はドラムを抜いたりもっとシンプルな構成のものも試してみました。それも悪くはなかったんですが、聴き比べるとこの曲に関しては旧バージョンのような構成のほうが合ってる気がしたもので。カッコイイは正義!

ボーカルについて

 メインボーカルについてはテキストが「はらえ(へ)」⇒「はらい(ひ)」に変わったくらいで大きな変化はなし。ミクさんはV2appendのSolid⇒V4X Solid(V5出力)に変わっているものの、調声らしい調声はほとんどしていません。ポルタメントが自動でできなくなったので手動で付けたり、一部発音が不良なところを音符分割したりベロシティをいじったり、その程度。
 祝詞シリーズに関しては感情が入らないほうがいい、無調声であるべき、そんな気が強くするんです。AI歌唱を使おうって気にはまったくなりませんね。想像できますし、特にそれを聴きたいとも思いません。おそらく需要はあるんでしょうけれど。

 コーラスに関しては、

からの流れで入れること自体は(当然ながら)決めていました。が、問題は御神名のところ。ずらす形でコーラスを入れてみようと思いついたものの、うまくいくかどうかはまったく分かりませんでした。
 何度もトライした結果、最終的にはなかなかイイ感じになったのではないでしょうか? 声はDarkも試しましたが、これは同じ声質が圧倒的に良かったです。
 あと『つみけが「れを」』のところだけダイナミクスを上げてあります。ここはメインのメロディと入れ替えようかなと思い付き、一回試してみたんですが、ちょっと違うと感じたのでボツに。でもこの明るいメロディラインはかなり気に入ったので強調したくて。どんなもんでしょうか? 感想が欲しいところです。

祓祝詞の特異性

 この祝詞は動画の説明文にもあるように日月神示の水の巻第三帖が出典となります。また古事記の伊邪那岐の大神の黄泉帰りの際の禊ぎ祓いの段現世に帰還・ケガレを祓う衣服から産まれた神々穢れから産まれた神住吉三神が産まれる)と内容をほぼ同じくし、それを再現するものでもあります。(ただ三貴子は登場せず、代わりに(?)祓戸四柱の神たちがひとまとめで登場するのがおもしろい。考えてみると祓詞でも禊ぎ祓いで祓戸の大神が生まれたとしているわけで、それは瀬織津比売・速開都比売・気吹戸主・速佐須良比売とイコールで結ばれるのか、など興味は尽きません)
 でも考えてみるとこの神話ってかなり特殊。だって穢れた物や、穢れそのものから聖なる神々が次々と誕生しているわけで。こんな神話は世界でもまれなのではないでしょうか(知らんけど)。
 これは、穢れは忌むべきものであっても、穢れという働きそのものは尊いものだという教えではないか。私にはそう思われます。たとえば大腸菌など細菌の働きが簡単に善悪で判別できないようなものじゃないかと。
 この見立てが正しいかどうかは分かりませんが、神話とは実に奥深いものだなあと感動しないではいられません。

リフレインが叫んでない

 しかしこの曲であらためて思うのはリフレイン/繰り返しの持つ力。以前、

こんな曲を作ったことがありまして。これは逆に最初から最後までリフレインまったくなし。長調の明るいメロディですが途中で短調が挟まって、飽きることなく聴けて、自分の中では「画期的ないい曲ができた!」と思って投稿しました。ところがどっこいまったく伸びず「こんなはずでは……orz」ってなことに。
 今でも曲自体は悪くないとは思うんですが、リフレインが無いっていうのは聴き手にも歌い手にも優しくないんですよね。単純に覚えにくいので。
 比べると『祓祝詞』の御神名の繰り返しは覚えやすく、聴くにしろ歌うにしろとにかくクセになる。楽曲というのは色んなフレーズの組み合わせで出来ているわけですが、印象的なフレーズの繰り返し(いわゆるリフ)はものすごく重要なんだなと、あらためて思い知らされた次第です。

こまけえことは(略)

 ともかく細かく見ていくといろいろ考察も捗って楽しいんですが、そういうことに興味が無い向きにも、単純に音楽として楽しんでいただけるものを目指したつもりです。祝詞は最高に美しく、最高にカッコいい! ぜひぜひ何度でも繰り返し聴いてくださいませ! ご意見、ご感想、拡散もよろしくお願いいたします!

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