見出し画像

愛されたい。~『正欲』を見て~

「正欲」を見た。
愛されたいと思った。
誰かを愛したいと思った。
「あなたはここにいて大丈夫だよ。」って言われたいと思った。

この作品を見て、
何の欲も湧かなかった私に、
欲が出てきた。

ある先生が私に言った。
すべてを言葉にする必要はない、と。

この映画を私の中にある
言葉では表現しきれない。

しかし、生きている中で
初めて、映画に触れて、
涙を流すという行為を教えてくれたのは、
まぎれもないこの作品。

一生、大切にしていきたいと思える
本当に素敵な作品だった。

正欲のあのセリフから。

本作の中に出てくる、

「地球の中に留学している感覚なんだよね。ずっと。
自然に生きられる人からしたら、
この世界はすごく楽しいものなんだと思う。
私が傷つく一つ一つが楽しくて。
私も、そういう目線で世の中を歩いてみたかった。」

という言葉。

最初に聞いたとき、
私はこの言葉の意味が分からなかった。

ましてや、
宇宙から、地球を。自分を見てみようなんて
感性を私は持ち合わせていなかった。

しかし、
磯村勇人演じる佳道が、新垣結衣演じる夏月に
一緒に生きよう。と
普通ではないプロポーズをした瞬間、
2人がベッドの上で、普通に抱き合って、
「いなくならないでね。」
と愛の形を育んでいた時、
何か感じるものがあった。

居場所。

振り返ると私は、
この世界に自分と分かり合える人間なんていないと
思って生きている。
だから、少しでも共感されると
溢れそうな涙を抑える必要があるくらいには、嬉しい。

目の前に起きることなんて、
大体想定する範囲のことしか起きないし、
あまり、ワクワクしない。
刺激を求めるが、
そう簡単に刺激などは見つからないのが現実だ。

周りの人が楽しそうにしている姿を見るたびに、
私の居場所はここにはない。とソワソワしてしまうし、
適応できない自分に気づいた途端、
自己否定をすることで、
人間の普通の感性を理解し、適応しようと努力する。

今日だってそうだ。
久々に、栄えている駅チカで買い物をしようと試みた。
しかし、
カップル、大人数の友人を連れたグループなどとすれ違い、
全く憧れない自分に苦しさと疎外感を持った。


これに近しい感覚なのかは分からないが、

普通と言われる人間だったらどれだけ、
この世界が輝いて見えるのだろう?
と、

何度も思っていた自分に気が付いたとき、
この映画のストーリーが進んでいくことに恐怖を覚えた。

2人は運よく、巡り合えたのかもしれない。
だからといって、私がそうなり得るとは限らない。

明日も明後日も来年も10年後も
誰かと居場所を共有できないままの
私なのかもしれない。

だからこそ、自分で自分の
居場所を作るべきなのだと思った。

それと同時に、
今までなかったはずの、
誰かに愛されたいなんて欲求が強くなる。

主人公の水を通して分かり合う2人の姿は非常に愛おしく、
そこに映る2人は明日を生きたいと願っているようにみえた。

合う人に会う。

若林さんの「ナナメの夕暮れ」の一文じゃないけれど。
「合う人に会う」こそが真理なのだと思う。

だから、自分と感性が同じ人に巡り合えるまで辛抱して
この世の中で生きていくのも悪くないなと思えた。

ストーリーに話は戻るが、
白黒はっきりしないことを嫌う
今までの私なら、
この映画の終わりに文句を言っていただろう。

しかし、今日の私は違った。
新垣結衣が最後に言い放った
「いなくならないからね」に、
この映画の全てが詰まっていると納得するどころか、
涙を流しながら、エンディングを迎えた。

私も誰かに愛されるべく、
明日に希望を抱き、生きたい。
なんて、思う素晴らしい作品に出会えました。

ありがとう。朝井リョウさん。


占い。

今日、誰かと話したい。
そう思っていた時に、
駅チカでやっていた占いが目に留まる。

前に1人待っていたが、
暇だしと思い、名前を書いて並んだ。
占いでは将来・仕事のことを聞く。

やっぱり3月は何をやってもダメな月らしい。
全部空回りしているよ。
なんて、言われた。

4月4日から良い方向に向かい、
8月に素敵には縁が舞い込んでくるらしいので、
それまで気長に待ってみようと思う。

あと2週間は私の人生の夏休み。

今後の私に期待です。

この記事が参加している募集

映画館の思い出

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?