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【投手】読むだけで近づく!指標で導く「独立リーグ→NPB」する魔法の自由分析考察

開いていただいてありがとうございます!
四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックスでオンラインインターンとして広報をしております。(2020シーズン~)
そこで四国ILを見てきた中でスカウトを注目させる、もっと言えばNPB入りする「ピッチャー」についてなんとなく感じたことをまとめてみたいと思います。以下、あくまで四国アイランドリーグplusの話。

NPBへの条件過去のデータから導く目標ラインは?

上図は2020シーズンから2022シーズンで主に規定投球回に到達したピッチャーのK/9奪三振率BB/9与四球率(今回は死球も含む)の散布図です。2020年ドラフトでカープから指名を受けた行木俊投手のみ規定投球回に到達していません。

色付きで名前が入っている7名の選手が「四国IL→NPB」を果たした選手で、黒字で名前が入っている選手は成績優秀だったもののNPB入りしていない選手です。

「支配的」な投球が夢を叶える方法の最もわかりやすい道。

2022年シーズンはソフトバンク藤井皓哉投手(高知FD)がセットアッパーとして大ブレイク、巨人戸田懐生投手(徳島IS)は14試合に登板し嬉しい初勝利を記録、阪神石井大智投手(高知FD)は18試合に登板し防御率0.75とブレイク目前、楽天宮森智志投手(高知FD)は育成指名から7月に支配下登録されると新人登板から22試合連続無失点の日本タイ記録(カープ栗林良吏投手と並ぶ)を残すといったように四国IL出身のピッチャーがそれぞれ活躍を見せました。

それらを踏まえて四国ILで求めたいラインはここです。

与四死球率:3.00以下
奪三振率:10.00以上

上図でいえば「いかに『右下』へ近づくことが出来るか」を追求するのです。NPB入りをした選手を含め、図に名前を入れた選手はほとんどが防御率1点台、チームのエースとして活躍した投手。当然ですが、NPBに行くためには独立リーグの中でエース級の活躍ができなければ、まず見てもらえません。仮に先発登板するとなれば「イニング数と同じ数の奪三振」「1巡(3イニング)で四死球は1つまで」が目安になります。これができるピッチャーは逆に言えば防御率は1点台を出すだけの実力がある「エース格」と言えるはず。(注:成績がよければ獲得してもらいやすいというものでもないのが難しいところ。宮森智志投手が193cm、中山晶量投手が188cmと高身長も1つの武器になり得る。)


目指せ、7回8奪三振2四死球ピッチング!
(与四死球率:2.57 奪三振率:10.28)


どんな投手ピッチャーとしてのスペックあれこれなら実現できる?

では「与四死球率:3.00以下」「奪三振率:10.00以上」で1シーズン走り切るためにはどんなピッチャーでいればいいのでしょうか?パッと思いつくのは「コントロールがいい」「球威のあるボールを投げる」といったこと。具体的にどういうことか、薄くて申し訳ないですがさらに掘り下げてみましょう。

ストレート

一球速報をもとにNPB入りした7名の投手のストレートの簡易スタッツを作成してみました。元データである一球速報の精度は相当低いそこそこ球種が書かれてないので、あくまで参考程度。

NPB平均のストレートのSwStr%空振り数/全投球数は7~8%とされています。奪三振率10.00を超えている4投手はストレートのSwStr%が10.0%以上を記録しており「強いストレート」がピッチングの大きな柱になっていたと考えられます。なおかつ70%近いストライク率が求められます。空振りを多く奪える強いストレートだからこそ、ストライクゾーンで勝負できるのです。当然ストライクゾーンでガンガン勝負できれば、四死球は減ってくるでしょう。

また空振りこそ多く奪えていませんが、中山投手のように低い被打率を誇り「前に飛ばさせない」ということも1つの質です。投高打低の傾向が続く四国ILのレベルを加味してもストレートで打者を押し込み、早い段階で投手有利のカウントを整えていくことは基本であり全てです。投手によってコントロールできる範疇ではないですが「ストレート被打率.200未満」というのも1つの参考になるラインかもしれません。

もちろん、ストレート最速150km/h到達は必須項目です。これは先発・リリーフどちらにも言えますし、もっといえばリリーフならば150km/h台連発しないとほぼNPB入りは不可能ですし、2年以内に155km/h以上が出る予感が欲しいです。先発なら力を込めれば150km/h台が出るんだなという印象を持てるピッチャーになることです。

自由研究ただの参考になるnote紹介
こちらのnoteによると ストレートで空振りを取る要素として
他の条件が同じならば
・リリースの高さは低いほうが空振りを取れる
・投球高さは高いほうが空振りを取れる
・縦の変化量は大きいほうが空振りを取れる
・球速は速いほうが空振りを取れる
・遅くても浮くストレートならゾーン内では、速いけど沈むストレートより空振りが取れる

戸田懐生投手が170cm、石井大智投手が175cmであり、宮森智志投手が193cm、中山晶量投手が188cmという点がSwStr%とは無関係とは思えない。別に極端に低いわけでもないが「高身長から投げ下ろす」タイプはストレートで空振りが奪いづらいか。身長の高い投手は年々増えている印象。この投げ下ろすタイプの投手は実力がないからストレートが当てられるのか、タイプ的に空振りが奪えていないのかは投手自身が考えるべきポイントなのかもしれない。それこそラプソードなどでのボールの解析が役に立ちそう。身長が低ければ低いで、数字上は空振りが奪いやすいとはいえシンプルに高い出力を出さねばならず、それは相当大変なこと。あと181cmで13.1%を弾き出してる藤井皓哉投手はシンプルに凄い。

【再掲】Namikiさんのnoteを参考にしています



変化球

ストレートと同様に、一球速報をもとにNPB入りした7名の投手のストレートの簡易スタッツを作成してみました。元データである一球速報の精度は相当低いそこそこ球種が書かれてないので、あくまで参考程度。ちなみにPitch ValueはSwStr%空振り数/全投球数である程度説明がつくものらしいです。

結論から入ると変化球で求めたいことは「縦変化で空振りが奪える強烈なボール」です。これはNPB入りした投手の共通点とも言えます。追い込んで以降、三振を取るために有効に使えるかという点でWhiff%空振り数/スイングした投球数に注目してみると、フォークのみ唯一空振りの方が多かった球種と言えます。「ストレートの軌道から落として消す」これが変化球の理想であり、最強なのです。ピッチトンネルってやつですね。

直近2022年ドラフトで指名を受けた中山投手はわかりやすく、追い込めばこの暴力的なフォークを押し付けて打者を抑え込んでいました。またこのNHKの取材によると宮森投手のNPBでのブレイクの要因の1つともいえるフォークはNPB入り後に習得したもので、四国IL時代はスライダーが主な武器でした。表現が難しいですが、縦変化がなかったからこそ四国ILでのK/9奪三振率がパッとしなかった印象ですし、今ほど難攻不落なイメージも当時は個人的にはありませんでした。

また戸田投手、石井投手、藤井投手など四国ILに限らず、独立リーグ出身投手のほとんどはNPBではリリーフとしての起用が主になります。その点を見据えても、わかりやすい決め球となり得る「縦変化」を搭載しておくことは重要なポイントです。ただ上記の3投手は四国ILで奪った三振の半分以上は変化球ではなく、ストレート。つまり、これだけ強烈な数字を残しながら、頼らないピッチングを構築できていたのです。そのレベルにまで来なければならない、NPBへの道は甘くない。。。そして四国ILでの圧倒的絶対的エースでも1軍の壁を超えることはそう甘くない。。。

おそらく投手のほとんどがスライダーを投げることができます。むしろ投げない投手を探すのが難しいぐらいに。ただ、それを決め球、自分の1番信頼できるボールとして良いのか。もちろん、カウント球として必要な球種にはなってきますが、もう1つ使える変化球を搭載しておいた方がNPB入りは近づくでしょう。
さらにスライダーについて言えば、四国ILでは全体的にNPB水準と比較して「遅い」という印象があります。NPBでは140㎞/h台のカットボールも多く使われ、スライダーといっても変化の仕方がいろいろあるとはいえ130㎞/h台中盤は欲しい。その中で独立リーグだと120km/h台のスライダーを投げる右投手もまだまだそれなりに。。。その球速のスライダーとなるとキレのあるというよりかは曲がりの大きい感じ。。。1つ前の野球。。。
誰でも150km/hを投げられる時代、球速を上げる方法が確立されてきているからこそ、その次のステップとしてカウント球としてストレートの次に多く投げるであろう「スライダー」の質、使い方も見直していくべきだと考えています。


球速帯

(左上)歳内 (右上)石井(左下)戸田(右下)行木
(左上)中山(右上)藤井(左下)宮森

かなり不慣れな試作ではありますが、NPB入りした選手たちの球速帯を表示させてみました。球種以上に球速の入力がされていない一球速報なので、本当にあくまでイメージを掴む程度に。

ストレートは最速が150㎞/hを超えてくることは必須条件と言えますが、アベレージとしては145km/hを切らないようなの出力だと魅力的に感じます。欲を言うと、先発投手であれば、試合の中で投げるストレートは1年間常に145km/h以上を出すぐらいのつもりで鍛えなければなりませんし、投げなければなりません。四国ILではストレートの最速148km/h平均143km/hぐらいのピッチャーが多い印象なので、ここで差をつけて「先発で球の速い投手」という印象を持たせてほしいです。

変化球の場合、特にスライダー、フォークといった球種は130km/hを割らないことが目安になるかと思います。ぬるい変化球で好成績を出すことができても、NPBに届くかと考えると厳しいのではないかと思います。もちろんスピードが早ければいいというわけではなく、変化量や軌道、再現性も必要となります。1つの切り口として「変化球の球速を上げる」というのもアリなのではないでしょうか。


コントロール

勝てる投手、力のある投手の1つの特徴として「投手有利なカウントが作れる」ことがあげられます。そこで目指したい数値として「ストライク率66%以上」を求めたいです。イメージとしては「3球投げて1B2Sのカウント」ということになるでしょうか。

そもそも、ストライク率ってどれくらいなのでしょうか?2020年シーズンのMLBのストライク率平均が「63.0%」で、2021年シーズンのNPBのストレートのストライク率が「65%」変化球のストライク率が「62%」とされています。こう見るとストライク率66%はそれほど高くなさそうなラインですが、独立リーグでは意外と届いていない選手がほとんどなのです。(こんな記事も参考に

正確な定義がどうか不明ですが、ストライク率で指す「ストライク」は「ボール以外」と解釈しています。つまり、見逃しストライク・ファール・空振り・アウト・ヒット・ホームラン・エラーをすべて含めるもの。ボール球を打ったゴロアウトをストライクとしてカウントしていいものか……という感じですが、集計の都合上、厳密な判別は不可能です。

試合数などの関係上、NPBなどと比較するとサンプル数が少なくなってしまうのですが、四国ILの中心投手のストライク率はおおよそ「62~64%」です。もうひと伸び欲しいところ。中心となる投手がこのラインということはそうでない投手はもちろん、それ以下の数値を出しており、ストライク率が60%未満の投手も相当数います。ストライクゾーンに投げられるようになるだけで成績がかなり改善される、投手として次のステップを目指せる投手は絶対に多いです。

さらにストライク率を改善するために考えたいのは「初球」です。当たり前ですが、制球が悪い投手は投手有利なカウントが作れません。ストライクが来なそうだとなれば、キャッチャーは仕方なしのストレートを要求しがちですし、打者もストレート待ちで構えておけばいいとなり、駆け引きの何もない非常に簡単な勝負になってしまいます。まず「初球にストライクを取れるようになること」でズルズルしないで済むのです。

ちなみにストライク率が高いからといって初球ストライク率が高いわけではありませんが、初球ストライク率が高ければストライク率もおおよそ高めに出る傾向がある気がしています。

「3球投げて1B2Sのカウント」

これを徹底できれば「ストライク率66%以上」というのは狙えるラインのはずですし、66%というラインを目指す価値も一定あると思うのです。せめて「2球投げて2B0Sのカウント」を減らしてもらいたい。。。

(あとシンプルにコントロールが悪い投手がフォアボールだのなんだのでランナーを溜めながら進んでいく試合は面白くないし、テンポも悪いし、見続けるのにエネルギーを使うのでしんどいです。笑)

なおかつ長いイニングを投げたいとなれば、力任せにガンガンいくのではなく、球数も少なくしながら打者を抑えられるとなおよしですよね。


現時点でのまとめ

こういうピッチャーになれば、スカウトに見てもらえるのではないかと今はなんとなく思っています。スカウトの前で高いパフォーマンスを発揮できるかといったところも大事になりそう。フォームの改善やトレーニングはきっとこれらNPBへのラインを超える高い成績を出すためのもの。独立リーグからNPBに行くには投手野手関係なく「自分の武器で勝負する」だけでは非常に難しいと思います。自分の武器や個性を理解したうえで「NPB仕様」に改造しなければなりません。自分の武器だけで通用するなら恐らく独立リーグに来る前の段階でスカウトの目に留まるはず。複雑怪奇だからこそ、独立リーグは面白い。

目指すラインは
「与四死球率:3.00以下」
「奪三振率:10.00以上」
「7回8奪三振2四死球ピッチング!」

最速150㎞/h以上を出す高出力
×
空振りを奪えるor前に飛ばさせない
高品質なストレート
×
空振りを誘う強烈な縦変化
×
ストライク率66%以上のコマンド力(1B2S)
×
NPBへの想いと運と縁

<文・分析>
S.N.

<あとがき>
6000字も書くな。長すぎるやろ。

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