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『ちちんぷいぷいって何? お江戸の効果抜群おまじない』の話


江戸では、おまじないが習慣として根付いていました。

「病気や天災に対処する科学的手段がなかったから『おまじない』に頼るしかなかった」というご意見も、マァたしかにおっしゃる通りです。
しかしおまじないを非科学的と切って捨てるは簡単です。けれど今に伝え残っているのは、どういう理屈かわからぬが『効く』からであります。

そして
土壇場瀬戸際がけっぷち、切羽詰まった時に限らず、
神頼みをせずにはいられない局面にさしあたってしまう時。
大事な場面を乗り切りたい、えいやと気合を入れたい時。
小さな悩みと向き合うために、心を安らかにしたい時。
あらゆる時の江戸っ子の心の支えになってくれたのが『おまじない』だったのです。

サテそんなワケで

験(霊験)を担いで生活した江戸っ子たちの
『おまじない』をご紹介。

『ちちんぷいぷい 痛いの痛いの とんでいけ!』

子供が怪我で痛い思いをしている時に痛みを紛らわせるために唱える呪文。
このちちんぷいぷい、何語だと思いますか?

実は日本語なのです!(わーお!)

歴史を紐解くいていきますと・・・三代将軍家光の乳母春日局(かすがのつぼね)
が、

泣き止まない家光キッズに対して

「知仁武勇は御代(ムミョウとも)の御宝」

といったことがはじまりと言われています。

『武士としての賢さや仁徳(メンタル)、パワーを兼ね備えている
お前は、徳川家の宝なのですから泣くのではありませんよ』

という意味でした。
そのうち
『チジン ブユウ ブユウ』→『ちちんぷゆう』→『ちちんぷいぷい』

とだんだんと変化していき、庶民にも定着していったものと思われます。
子供の頃意味もなく発していた『ちちんぷいぷい』が
まさかあの『春日局』のおまじない だったなんて!衝撃ですよね。
春日局もまさか「ちちんぷいぷい」まで変化しているとは夢にも思わないでしょう

そのほか、

『長っ尻の客を返す』おまじない

箒を逆さに立てて、手ぬぐいで箒先に頬被りしておきますと
客は早々に帰るそうです!


『母乳が出やすくなる』おまじない

橋の欄干にあるスライム型のオブジェ『擬宝珠』。
これが乳首に似ているということで
擬宝珠に水をかけることで出やすくなります!

実は擬宝珠は
ただのオシャレなオブジェではないのです。
幕府が管轄する「御公儀橋」にのみ設置が許された特別な建造物なのです。


『船酔いしない』おまじない
(他人にやってもらうおまじない)

①船酔いしたくない人が
座ろうとする場所に
指で 『賦』 という漢字を書きます。
その時、最後の『、』は打ちません。

②指文字を書いた場場所に座らせ、
最後の『、』を その人のおでこの真ん中にチョンと打ちます。

これで船酔いしません!


以上、お江戸のおまじないでした。

参考:
『大江戸復元図鑑』笹間良彦
『一日江戸人』杉浦日向子
『稚遊雪花月の内 月』歌川国芳
『大江戸見聞録』


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